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教員の役割について

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いわゆる講義における教員の役割と、大学院における研究指導における教員の役割というものは大きく異なっています。具体的なところは各教員の考え方に大きく依存しますので一般論を述べることは困難ですが、なんでお前教員なのにそれやってくれないんだよ、といったすれ違いが生じないよう、当研究室においては教員は研究を通じた学生の教育のためにこんなことをやる存在なんですよ、ということをまとめておきます。もちろん相手が学部生か修士課程か博士課程かで具体的なところは変わってきますが、基本的にこうなのよ、ということで1

大原則:信頼してはいけません。

  • そんなにキャパがあるわけではないので、基本忘れます2
  • あんまり考えず思い付きで適当なことを言います。
  • 実はあんまりわかっていません。
  • 何故かトラブルに好かれる3ので、予定変更は多々あります。

研究テーマを提供はします。

  • 学生の立場とスキルを考慮して4、適切と思われる5研究テーマを提供することは、指導教員としての義務のはずです。
  • 提供するテーマは、業界として重要で未解決のもので、研究室のリソースを踏まえてそれなりに実現可能性のある、と考えているものです。が、ひょっとしたらそうではないかもしれません。なので、学生は自分で当該テーマに関する先行研究等を調べる必要があります。
  • 一度は受け入れたテーマを変えたいという学生からの申し出に対して、拒絶せずに双方の合意点を探すことも、指導教員の義務です。

中長期的なスケジューリングはそれなりにします。

  • 最終目的がこれなので、大体これくらいまでにはこれくらいの結果が出てるようにしようね、といった超漠然とした指示は出します。
  • 特に大学院生に対しては、大体今後1年について、何月にどこどこで開催されるこの学会でこんな結果を発表できるようにしようね、といった提案をします6

研究についての議論はします。

  • 目的の達成のための計画、及び当初計画通り進まない場合、じゃあどうしようということに関する議論はいつでも歓迎します7
  • ただし、あくまで議論して一緒に解決法を探しましょう、ということであって、教員が解決法をみつけてあげる、もしくは知っているということではありません8

研究環境を整えるためにベストは尽くします。

  • こういった実験や解析をやりたいので、***を手配してください、という要求に対しては、無理のない範囲で応えるようにしています。
  • 国内外の学会参加に伴う費用は出します。

けど研究に必要な知識やスキルを教えることは教員の役割ではありません。

  • 何を勉強するべきだよ、ということは伝えます。けど勉強したかどうかをチェックする必要まではないと考えています。
  • 当該知識やスキルを教員側が有している必要はないと考えています。というかそんなの、無理。

学生の研究テーマに関する最新動向を把握するように頑張りますが、現実的に無理です。

  • 最新動向を把握するためにはここらへんを見ておく必要があるよ、ということを伝えるのは教員の義務だと思います。
  • けど具体的にどうなの、ということを把握するのは無理。むしろ学生の側からこんな状態です、という情報が来るようにするべきと考えています。

学会発表、論文発表のクオリティを上げるためのサポートをします。

  • 学会発表時の発表練習、投稿論文については、それなりに細かく指導/添削をします9
  • 特に博士の学生に対しては、在学中に何報論文が出せたかではなく、修了後継続的に自身で論文が書けるような能力を身に着けることを第一にして指導します。
  • ただし、学位論文に関しては投稿論文ほどの細かいチェックを行うことはありません10

留学のサポートはします。

  • 研究室として留学を積極的に奨励していますので、留学を希望する学生に対しては可能な限りのサポート11をするようにしています12

研究室内の全体調整はやります。

  • 研究室内において個人の利益と全体の利益が衝突しないような仕組みを作るのは教員の重要な役割です。
  • 研究室運営や後輩の面倒などの負担が過度に集中しないような調整は行います。

ルールはどうなっているのか、は伝えます。

  • これに関してはこういうルールになっているんだよ、ということは伝えます。もしくはその旨を研究室内wikiに書くなどして、研究室の誰もが当該情報にアクセスできるようにします。
  • そのルールは不条理/改善の余地があるので、こうしたほうがいいという提案には真摯に耳を傾けます。現状より合理的だと客観的に判断されうるものであれば、自身の裁量の及ぶ範囲では即対応しますし、そうでない場合も然るべき方に要望を伝えます。

  1. 端的には上司的なものなんだと思います。もちろん会社じゃないので100%そうではないですが、いわゆる小中高の先生と会社の上司との間のどこか的という意味で。大学院修了後は社会人ということを考えると、まあ妥当な話ですよね。
  2. さすがに、「あ、お前俺が忘れるように報告したんだろう」なんてことは言いません。
  3. 引き起こす、では決してありません。あくまで不可抗力的に、です。
  4. いい日本語です。
  5. いい日本語です。
  6. 指示ではないことに注意。
  7. 至急の仕事があるのでちょっと待ってね、ということはあるかもしれませんが。
  8. ただ、学生よりは年も取って、それなりに色々な(研究以外のことも含めて)問題を解決する(発生させる、ではないと思います)という経験はしてきていますので、一般論的になるかもしれませんが多くの場合においてそれなりの提案はできるとは思います。
  9. 初めての学会発表の場合(発表時間や使用言語にももちろんよりますが)、4,5回の発表練習も普通にあると思いますし、初めての論文の場合は、相当の回数の添削&修正が入った結果初稿の文章は1つも残ってないなんてことも多々あります。
  10. これは学位審査は学位研究発表と学位論文の両方に対して行われるため、学位論文に教員が添削を入れまくることは不正行為に近いものがあると考えているからです。ただし、図表が空白とか見ただけで不完全だろうというものに対しては事前にNoといいますが。
  11. 実際には情報提供+αくらい。金銭的なサポートは期待しないように。ただ少なくとも教務スケジュール的に厳しいという場合を除いては、行くな、ということはないと思います。
  12. 特に大学院生の留学に関しては、どこでもいいというわけではなく、ある程度自身の学位研究に関連したところに行くべき(実のところそうでないと相手にしてくれません)というのは事実です。それなりのコネクションがないわけではないので、そういうことならば***に頼んでみるよ、といえることは教員側の義務だと思っています。

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