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外部発表

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東北大学の大学院において学生に課されている「研究」は、各種学術会合参加や投稿論文という形での研究発表も伴っていると私は認識していますし、またそのため学生に適宜外部発表を行うことを要求しています。なんでそんなことやらされるの、と思う学生もいるかもしれませんし、そうでなくとも、仕方がないからやる(けどただで旅行ができるから多少はラッキー)、という学生が大半とも思います。まあやっているんだからいいんじゃない、無意識でも自分なりに咀嚼して将来なにかに気づいてくれれば、という考え方もありますが、外部発表させる意図を明確に述べておくことで多少は得るものが多くなる、もしくは気づきが早くなる、こともあるかと思いますので、私なりの意図をまとめておきます。

まず、教員の研究業績を増やすために学生に外部発表させているのでは決してありません。 かといって学生の業績のため、というのも必ずしも正しくありません。特に博士課程の学生もしくは進学を検討している学生に対しては研究業績という直接的な理由があることは否定しませんが、研究職に就く気がない、博士課程に進学せず就職する、という学生であっても、外部発表という経験を通じて得るものは大きいと考えています。

まず、外部発表を通じて、嫌でも、自身のやったことを、ある限られた時間なり紙面の中でまとめ、発表するということを経験することになります。これは実験をする、数値解析をする、という何かデータを取る作業、そしてそれを分析する作業とはまた異なった次元の作業です。特に最初のうちはデータはあるけれどもまとめられない、大量にあることは示せてもそれから何を言えるのかがうまく伝えられない、なんてことを痛感すると思います。まとめられない、というのは全体と最終目標が見えていないからです。将来上位の仕事をするのであれば、最終的に何を主張する必要があるのかをまず考え、そのためには何と何と何が必要なのか、という観点で作業を細分化し、下に振っていくという作業が必須になります(無論重要なのは自分自身でやるのでしょうが)。やったことをまとめる(そしておそらくはまとめる過程でデータが欠けている、即ち当初設定していた条件が不適切であった、ことに気づくと思います)、という作業を通じて、自分自身の目の前にあることだけではなく、全体と最終目標を認識したうえで全体計画を立てるということの重要さを認識できるようになると思いますし、またできればそのような能力が向上することを願っています。

次に、特に学会参加の場合、相当の確率で締め切り直前になってもっと早く***をやってよけばよかった、先に***をするべきだった、ということを痛感することになると思います。理解してもらいたいのは、明日までに云々といわれたわけではなく、学会参加自体は数カ月前には決まっていたということです。即ち、結局のところ、それは自分の工程管理能力がなかったということです。とりあえず何回か痛い目にあって反省することが、時間的な意味でも最終目標とそれに至るための全体計画を立てられるようになるためには、少なくとも私のような凡人には必要でした。

で、最後に、研究室の外の(ただし同じく研究に関する)色々な人たちと接する機会があります。同業種だけども他の組織の属している人との交流は大変刺激になるものですし、学生の間であれば損得抜きにして人づきあいができます。学会で仲良くなった他大の学生と、お互い卒業した後も交流が続いている、なんてことになると大変すばらしいと思います。余談ですけれども、どんな組織の中でも、専門性が高くなればなるほど、また立場が上になればなるほど、その組織の中で自分と同じ立場の人の数は減ってくるものです。 (色々と言われそうなので以下略)

外部発表に関するもうちょっと具体的な方針はこちらをご覧ください。


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