東北大学工学部機械知能・航空工学科においては4年次に卒業研究が課されています。そのため、学部で当研究室に配属になった場合、必然的に当研究室で卒業研究の指導(研究指導)を受けることになります。おそらく大半の学生にとっては初めての研究活動(を通じた学習、というのが正確と思います)と思います。
本来であれば研究とは試行錯誤を伴って進展するものですが、実際のところ10月~2月頭の4か月強しかない卒論に、全くどうやればいいかもわからないという課題を与えるのは不適切と思います。そのため、基本的には大体こうやれば結果「は」出る、ただし予想通りの結果になるかどうかはわからないという、かなりの程度は別途事前に検討を行った(もしくは先輩の引継ぎ的な)課題を与えることになります。それが嫌という人もいるとは思いますが、短距離走的なところがある卒論ですのでどちらに走るかは決めておかねばなりません。
また、卒論においては「こうやれば」も含めて、より具体的には、これについて勉強して、それからこれを使って検証して、こんな感じの予備試験をやって、そして最終的な試験を(多分数回)やれば、ということころまでそれなりに指示をします。研究なので必ずしも正しいとは限りませんが、少なくともこれまでの経験に基づく、一応の最適値を与えているつもりです。なので、まずは研究の背景と共に、指示された手順とその意図を理解してもらうことになります1。もちろん研究を進めていくうちに色々な方向修正は発生しうると思います。こちらに指示に100%従えというつもりは毛頭ありませんので、こうやったほうがいいと思う、こっちをやったほうがいいと思う、という意見があれば遠慮無く言ってください2。
正直、4年の夏の時点では、卒業研究を行うには知識とスキルが圧倒的に不足しています。ですので、初めの1,2か月、具体的には10,11月で、それらをまず身につけてもらう必要があります。また、十分に理解してという時間もないので、実際には、走りながら、必要最低限のものを、となると思います。教員、先輩によく話を聞いて、何が必要かということを早期に認識し、短期間で適切に対応してください。これらの知識やスキルというのは、これまでとは全く異なるものであることも多々あります。誰もがやったことがない、よくわからないものはやりたくないと無意識に感じてしまうものです。ただ、そこでとどまっていてはどうしようもありませんし、できることだけをやる、なんていうのでは将来はありません。まずはやってみてください。くどいですが、ただし、適切に教員もしくは先輩と相談・議論はするようにしてください。
達成目標としては、最終的な成果を翌年の春先の国内学会で発表できるように、即ち学会発表が出来る程度の質・量の成果を、というのが一つの目安でしょうか。やったけれども、最終的に結果が思い通りにならなかった、ということはあると思いますし、それをもって卒論ダメということはありません3)。あくまで誰も解いたことのない問題に対して、自分なりの(上述のようにかなり指示はしますが)アプローチで解決を試みた、という過程を評価対象としています。