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研究指導方針

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やっぱり誰が何と言おうと研究活動が研究室における最重要事項の一つであることは間違いが無いと思います。そのため、何故その研究そのようにをやるのか、ということについて誤解1があるとお互いにとって非常に不幸なことになりかねませんので、 当研究室の基本的な研究指導方針をまとめておきます。

色々な考え方はあるとは思いますが、当研究室においては、「実社会においては誰かがすでに解いた問題を早く解ける2ということではなく、誰も解いたことが無い問題を解けるということが真に求められている3。そのような能力を涵養するための手段として研究を行うことが大学の最終年次及び大学院において課されている」と考えています。即ち、研究内容そのものに関する直接的な知識や技術の習得ではなく、将来当該研究のみならずたとえ研究とも全く関係ない仕事に就いたとしても活きるであろう普遍的な能力4を研究活動を通じて身に着けること、が学生という立場で研究活動を行う(行わねばならない、かもしれませんが)最大の理由とみなしています。これは大学学部までの講義や学生実験、さらには受験勉強とは全く異なった形の学習です。

大前提として、研究である以上、基本的には「どうなるかわからない、どうすればわからない」ことなわけで、どんな結果が得られるかわからないことに対して、どうやればいいのかから考える必要があります5。そのため、結局どうなんですか、答えを教えてください/どうやればいいのかを教えてください、と考えられてしまうと、かなり致命的なすれ違いに発展してしまいかねません。どうなるかわからないし、正直どうやればうまくいくのかもわからないけれども、一緒に考えましょう、というのが基本的なスタンスです67。また、その過程でわからないことや必要なスキルというものも多々発生すると思います。それらについても、教えてください/教えてもらってないからわかりません、ということではなく、自分に何が不足しているのかを理解し、自分でそれを学ぶという能動的な学習のトレーニングなんだと認識してください8

そういうわけで、毎日手を動かしていれば毎日何かの結果が出る、的なことにはなりません910。ずいぶん時間をかけてやったことが結局全部無駄になったり、その一方半分ダメもとで11やったことが予想外にうまくいってしまったりと、いろんなことがあります。一応教員なので学生の評価は行わなければならないのですが、このような理由により、成果の多寡をもって学位研究のよしあしを評価するということはありません。

まあ、端的に言いますと、受け身でやっていたんじゃ最悪ただの作業になっちゃうんだから、自主的にやってよ、しっかりやっていれば絶対に将来につながる(と思う)から、ということです。筋トレもどの筋肉を鍛えているか意識するかしないかでずいぶん効果が違うらしいですし、いい仕事のためにはExternal PressureではなくInternal Motivationが必要で、そのためには主体的・自主的・能動的に物事に取り組むことが大前提、というのは確かだと思います12 。基準は高く、ただその分しっかりコミット13する、というようにしています。

と、偉そうに書きましたが14、「お前はどんだけ偉いんだよ」という指摘に対しては「私もまだまだなので一緒に研究を通じて勉強/成長しましょうね」と答えるようにしています15。 より具体的な卒業研究修士研究博士研究に対する指導方針は別にまとめておきます


  1. 誤解とはいいましたが、当研究室の研究指導方針が正しいという意味ではありません。各研究室がそれぞれの信念に基づいて、それぞれ異なる研究指導方針を持っているのが実情だと思います。ただ、研究室のメインは研究活動であることは間違いありませんので、こんな方針で研究指導するということは学生にとって重要な情報だとは思います。
  2. これが入学試験ではかられている能力なわけです。色々と議論や批判はあるのでしょうが、まずは型を身につけないと型は破れない、ということなんでしょう。
  3. 近年話題になっているAIはまさに、前例がある事柄を正確にこなすこと、また何かを知っている(だけ)ということの価値が暴落することを意味しているわけです。
  4. 一応問題解決能力としておきますが、東北大学のディプロマポリシーにて求められている能力を、分野を超えてより広くとらえたものと言えるかとは思います。
  5. さらにその先に行くと何をやればいいかを考える必要があるわけです。多分どんなビジネスでも同じですね。
  6. もちろん私自身は私なりにこうすればうまくいきそうという考えはありますが、学生がそれよりもいい/面白いアイデアを出してくれることを強く期待していますし、さらに言うならば、こうしたほうがいい/こんなことをやりたいという要望を出してもらえることを願っています。
  7. なので、何かを議論するときにはまず自分なりに考えたものを持ってくるようにしてください。「***の値はどうすればいいですか」ではなくて、「***なので***の値はこうするべきと思いますが、それでいいですか」というのが大学院学生だと思います。
  8. それだったら***に関して勉強したほうがいい、といったアドバイスはしますが、講義的に全て/手取り足取り教えて下さい、というのは無しです。基本的に勉強は自分でやりましょう。
  9. もちろん色々と自分なりにやるのは当然必要です。
  10. なので少しづつでも何か結果が出て無いと僕は嫌なんです、という方は当研究室をお勧めできません。結果的にやっぱり色々とやっている学生は最後には立派な成果が出ているのは確かですが。
  11. 時としてネタに走って
  12. なので、将来研究職に就くつもりもないし、研究に割く時間と労力は最低限にしたいです、というのも非常にもったいないことと思います。
  13. 直接的な手助けという意味では必ずしもありません。
  14. 我ながらすごいなと思います。
  15. なので、教員は全知全能であるべきだ(or教員は自分よりも圧倒的に優れているべきだ)、という方はほかの研究室をお勧めします。

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