理系の学生にとって研究室選びは非常に重要です。が、その一方でなかなか研究室というものがどのように運営されているのかは実際に研究室に所属してからでないとわからないのも確かです。なので、研究室選びに関して知っておいた方がいいと思われる一般論1をまとめておきます。
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別に当研究室を選んでねという意図は全くないので、ついでにGoogleの検索結果も2。
こんなのも見つけたので追記。細かいところは色々とないわけではないですが3概ねその通りだな、と思います。
まあ、個人的には結局は縁と運だと思うので、あんまり考えすぎるのもどうかなという気はしますが。
研究室というのは中小企業のようなものです。
まず最初に、研究室というのは研究室トップが社長を務める中小企業のようなものです4。より端的には、研究室の教員が仕事5をとってきて、学生と一緒に成果を出す6ことで研究室を運営している、という面が多々あります。そのため、どうしても人間関係は密になりますし、またそれに伴って程度の差こそあれ研究室の外とは壁ができます。同じ学年であっても他の研究室であれば顔と名前が一致しないということは全く珍しくありません。
研究室が違う=国が違う、くらいの話です。
上にも関連しますが、研究室が違うと何から何まで全く違うというのが実情です。研究内容のみならず、研究設備や指導方針だけではなく、予算7や各種ルールなど、同じ専攻に属していても同じものは一つとしてない、と思ってもらっても結構です8。なので、**研の学生は**しているのに/させてもらっているのに、という主張は根本的に的外れです9。
研究室の雰囲気はよく見ておきましょう。
外からの評価と中からの評価がまるで違うということは研究室に限らず往々にしてあることです。公式な研究室紹介や研究室のボスによる説明10は、基本いい感じのことしか言わないと思います11 。が、学生として加わるわけですから、学生の視点からどうなのということが、本来一番重要なはずです。研究室訪問等の際にも、教員と話すだけではなく、教員のいないところで研究室学生と色々と話してみることが重要です12。
研究室の研究アウトプットもよく見ておきましょう。
色々とありますが、研究活動が研究室としての最重要事項の一つであることは間違いないと思います。一方で、どれくらいアクティブに研究をやっているのかということは非常にわかりづらいものがあるのは確かです。もちろん分野によって大きく異なるのですが、各研究室/研究室の教員の研究アウトプットが一つの指標となることは間違いないと思います。
就職先と研究室は無関係と思って結構です。
全く無関係というのは言い過ぎかもしれませんが、ある研究室だとまず間違いなく**に就職できるとか、逆に**に就職するためにはどの研究室でないと駄目、といったことはまずありません13。なので、卒業生が**に就職しているからという理由で研究室を選ぶのは全く意味がありません14。詳細はこちら15。
学生の研究テーマは研究室の都合で決まる面が多々あります。
ぶっちゃけた話、研究室に配属になったからといって、その研究室のテーマのどれでもやらしてもらえるというわけではありません。先輩や同輩が既にやっている場合は同じテーマをやるのは難しいでしょうし、また現実的に一番大きな制約条件としては、その研究室でどのような研究プロジェクトが走っているかということに大きく依存します16。なので、**研究室に行けば**といった研究ができる、というのはちょっと期待しすぎで、**に関する研究ができる、くらいに考えておくべきです。
研究室の規模と教員の知名度はメリットでもありデメリットでもあります。
あくまで一般論ですが、研究室の規模が大きいほど、また知名度が高いほど、教員が各学生の指導にかけられる時間は減ることになります17。なので、研究室の規模と教員の知名度だけで研究室を選ぶことはあまりお勧めできません。教育を受けるという観点からは、どういった教育方針18なのか、どのように運営されているのかということを確認したほうがいいと思います。
あんまり期待しすぎないほうがいいと思います。
誰にとってもパーフェクトな組織なんてものは多分存在しませんし、誰かにとってパーフェクトな組織というのも多分あり得ないんだと思います。**研究室に入れば全てバラ色的な考えは多分不幸にしかなりません。身も蓋もない言い方ですが、あんまり期待せずに、よくわからないけれどもまあいいか、くらいの方がいいように思います19。
- ただし、多分に当研究室が所属する東北大学の工学部/工学研究科を前提としている内容(より直接的なものはこちら)とはなっていますので、そこは注意ください。
- 成功よりもむしろ失敗から学ぶことの方が多い、という意図のキーワードです。
- 「コイツが研究室の全権力を握っているので楯突けない。」というのは、かなり研究室(というか「コイツ」の人間性)による面が大きいように思います。当研究室のように学生を従わせようという気が教員側にそもそもない研究室の場合(学生からすると楽と思えるかもしれませんが、教員に従っていればOKという考えが通用しないという意味では、非常に高い基準で学生に接しているともいえるのかもしれません)、楯突くという行為自体が成立しないように思います。が、何か意見を言う=楯突く、とみなされる研究室も世の中にはあるのかもしれません。
- 法律上の正確な定義は別として、従業員が10~せいぜい数10名程度の、という意味と思ってください。もちろん大きな研究室から小さな研究室まで実際の規模は色々ですが、100人なんてことは普通はないはずです。
- よく言えば研究プロジェクト、より端的にはお金(研究費)。
- そしてもらったお金に見合った成果物をおさめる
- 教員が外部からお金をとってきて研究室を運営しているので、他の研究室の予算がどうなっているのかは全く分かりません。
- よく言えば独立性が高いということですが、これは学生にとっては良い面と悪い面があるのは事実です。
- もちろん教務的なものは公平であるはずで、**研の学生だから単位が多少、、、なんてことはないはず、です。
- 人間歳をとると面の皮が厚くなり、数分程度ならばいい人ぶれるようになるものなのです。
- 会社のコマーシャルや社長メッセージみたいなものですので。
- そこで学生の目が泳いでいるとか死んでいるというならば、ちょっと考えましょう。
- 昔はそのようなことは多々あったようですし、現在でもないとは言い切れない分野もあるようです(あの研究室の学生は信用できる、という評価に基づくもでもあるわけですから、一概に悪いこととは言えませんし)。が、少なくとも当研究室が所属するコース/専攻では全くそんなことはありません。
- くどいですが、当研究室が所属するコース/専攻では、です。
- ただし、博士学生の就職に関しては研究室≒指導教員に依存する面が少なからずあるのが普通です。
- これまた端的に言いますと、その研究をやるお金があるのかないのか、ということです。先立つものがなければ研究できないというのは残念ながら事実ですし、また大きなプロジェクトが走っているならば、それなりの数の学生が参加せざるを得ません。
- 教員に名前を憶えてもらえない、そもそも教員と全く会えないということも普通にあり得ます。
- 放置からスーパー手取り足取りまで様々でしょうし、また放置にしても無視的な放置なのか見守ったうえでの放置なのか、これまたいろいろだと思います。
- ただ、研究室の方針と合わないというのは不幸になる可能性が高いので、そこだけは押さえておいたほうがいいと思います。