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研修II要旨

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当研究室が属している機械知能・航空工学科学部の3年生必修科目である研修IIにおいては、欧文論文を読んで、その内容を1発表することが求められます。また、発表に加えて、論文の内容を2ページ2にまとめた要旨の提出も要求されます。当研究室における研修II指導のイメージをつかんでもらうために3、研修II要旨に関する具体的な指示・指導内容をここにまとめておきます。尚、当研究室における研修IIについてはこちら、発表についてはこちらにまとめています。

IMRAD形式で書いてください

IMRADとは科学技術論文の伝統的な形式の一つで、序論 (Introduction)、材料と方法 (Materials and Methods)、結果と考察 (Results and Discussion)、結論(Conclusion)の4つで4文章を構成するというものです5。もちろんこれ以外の形式もあり得ますし、IMRADが常にベストであるとは全く限らないのですが6、初学者はまずは基本スタイルを抑えるべきと思います。なので、研修IIの要旨は4節構成、上記の順としてください。

Introductionは3段落で書いてください

Introductionは何を何故やるかを説明するためのもので、論文であれば適切に先行研究を引用しつつ、取り組む問題の重要性と本研究の新規性を主張しなければなりません。が、流石に研修IIの要旨ではそこまでは無理なので、以下のように3段落でまとめてください7

  • 第1段落:こんな問題があります。とても重要な問題です。
  • 第2段落:第1段落で述べた問題に対して、これまでこんな取り組みが行われてきました。しかしながら、こういった理由でまだ十分とはいえません。
  • 第3段落:そこで本研究においては、こういったアプローチで問題の解決をはかります。

尚、段落とは1つのことを述べるために集められた文の集合であるべきです。このIntroductionの3段落構成というのがその端的な形ですが、全体を通して、各段落が何について述べているのかが明瞭になるようにしてください。単に分量が多いからという理由だけで段落を変えてはいけません。

Materials and Methodsでは結果を再現するために必要な情報を書いてください

科学技術論文において何よりも重要なのが結果の再現性です。それなりのスキルと経験がある読者が結果を再現できるよう、何をどうやったのかをしっかり書かねばなりません。が、これも流石に研修IIの要旨ではそこまでは無理ですので、次のResults and Discussionにのっける図の結果を再現するために必要な情報、例えば

  • 数値解析の場合:解析モデルの図、支配方程式と境界条件
  • 実験の場合:実験セットアップ、測定サンプルなどの図

を示した上で、何をパラメータとしてどこの何をどのように評価したのかを明瞭に書いてください。スペースの問題で難しいようであれば、重要度の高いものから順に8

尚、説明においてはまず全体を説明し、それから細部について、というのが大原則です。細部に関する説明のみを積み重ねて、最後の最後でようやく全体像がみえるというような順序での説明を行ってはいけません。当たり前と思うかもしれませんが、Materials and Methodsでこれが守られていないことが往々にしてあるのです。

Results and Discussionでは最も重要な結果だけで結構です

通常論文には結果の図がそれなりの数含まれています。が、流石にそれらをすべて要旨にのっけることはできません。最も重要な結論をサポートする結果の図を1つ2つ出してもらえば十分です。そしてそれらの図から何故何が言えるのかということを明瞭に説明してください9

Conclusionは目的と対応させてください

ConclusionはIntroductionの3段落目と対応させる形で書いてください。***を評価することを目的とします、と書いたのであれば、***を評価した、その結果**ということがわかった、のように。


  1. あたかも自分の研究のように
  2. R2年度時点。今後変更の可能性もありますので要注意。
  3. 本当の意図はこういったことはちゃんと抑えた上で要旨を作ってね、ということです。もちろん。
  4. そういえばConclusionのCはどこに行ったのでしょう?
  5. より詳細はこことかこことかを参照ください。
  6. 私自身IMRAD形式で論文を書くことはそんなに多くなかったりしますが。
  7. もちろん具体的な説明については論文の内容次第です。
  8. 尚、ここの「重要度」は多分に他にある情報なのかどうかに依存します。初学者にありがちなのが教科書に書かれている内容をここで長々と説明するというものです。他にあるのであればそれを引用すればよく、著者しか知りえない情報をしっかり書くことが論文としては重要です。
  9. というわけですので、要旨を書く際にはまずどの図を結果としてのっけるのかを決めるのが適切です(私自身修士の時に先輩から「論文を書くときはまず図を作れ」といわれたことをよく覚えています)。

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