当研究室が属している機械知能・航空工学科の必修科目である研修I、研修IIにおいては、研究室における研修に加えて、研修内容を他の学生の前でプレゼンすることが求められます1。
プレゼンテーションに対する当研究室の基本的な考え方はここやここ、ここにあるとおりです。が、それらはあくまで大学院生の研究発表という観点からのものです。なので、当研究室における研修のイメージをつかんでもらうためにも2、研修I、研修IIでのプレゼンテーションにおける具体的な指示・指導内容をここにまとめておきます3。
【重要事項】
時間厳守
授業時間が終わっているにもかかわらず長々と説明を続ける教員に殺意を感じたことは1回や2回ではないはずです。聴衆は皆さんのプレゼンが聞きたくてたまらないわけでは全くありません4。発表時間を超過するというのはそれだけで聴衆の大半に超悪印象を与えてしまうことをまずは理解してください。大体持ち時間±30秒5くらいが限度です6。
発表内容
自分が理解しており、説明ができる内容のみを発表してください7。発表スライドに書かれていることは全て、「それはどういう意味ですか」という質問に対して答えられなければなりません。尚、研修IIは他者の書いた論文の内容を発表するというものですので、論文に書かれていないのであれば論文を読んだだけではわかりようがありません。その場合は著者に直接メールしてください8。
発表の構成
大半の学生にとっては初のプレゼンテーションということで、まずは基本的なスタイルに沿って発表をしてもらうこととしています。具体的には、研修Iについては1.背景、2.目的、3.実施内容、4.結論(まとめ)、という4部構成、研修IIについては要旨と同じく1.背景、2.目的、3.材料と方法、4.結果、5.結論(まとめ)としてもらっています9。また、目的と結論は対応するものでなければなりません(目的:***を明らかにすることを目的とする→結論:***を評価し、***ということを明らかにした、のように)。
【発表資料準備10】
スライドは読ませるものではなく見せるもの
スライドに書かれた文章をただ読んでいるだけというのは、最悪のプレゼンの形の一つです。目的と結論のスライド以外は、基本的には文章を書いてはいけません。スライドは読ませるものではなく見せるものです11。短文ならばまあOK、といったところでしょうか。
番号付きの見出しと副題は重要
上にあるように、スライドの見出しは1.背景、のように番号をつけたものとしてください。より具体的なところは「3.1 解析モデル」のように副題として。そのスライドが何を説明しているのかが一目でわかるようにすることは重要です12。
スライド枚数
上の時間厳守とも関連しますが、適切な時間内に発表を終えるためには適切な枚数のスライドを準備しておくことが重要です。大量のスライドを準備して超駆け足でそれらを説明する13なんてことはやってはいけません14。目安としては1分1枚くらいで、10分のプレゼンに20枚のスライドを準備したりすると、まず間違いなく失敗します。
詰め込まないこと
一般論として、分量を増やせば増やすほど聴衆の理解は低下します。もっと説明したい、これも説明しないといけない、という気持ちは十分にわかりますが、内容的にややこしいのであれば、ばっさりと落としてしまうのも一つの手です15。
出典明記
自身が作ったのではない図や写真、データなど使う場合は必ず出典を明記しなければなりません。これ超重要16。
あ?視力検査か?17
当然ですがスライドの内容は聴衆から見えなければなりません。図や写真は十分に大きくしてください。また、注のようなものを別とすれば、フォントサイズは最低でも20ポイントに。
あ?色覚検査か?18
黄色、黄緑、灰色などの薄い色は思っている以上に聴衆からは見えづらいものです。グラフの線にはこれらの色を使うのは避けてください。基本は黒、赤、青。
口語的表現はダメ
あえて、というのもあるのでしょうが、かなりの高等テクニックですので研修I, IIの段階ではお勧めできません。基本他人行儀で。
書いてあったでしょ、は無し
悲しい現実として、聴衆は前のページに書かれていたことは覚えていません19。なので、それまでの内容が聴衆の頭の中に残っていることを前提としてはいけません。図Aと図Bを比較するのであれば、それらの図は絶対に同じページになければなりません。
箇条書きに注意
箇条書きは文法的に同じものを列挙するべきもので、例えば文と単語を箇条書きしてはいけません。当たり前だろ、と思うかもしれませんが、かなりの割合で皆さんこれをやるのです。
変なところで改行しないこと
当然と思うでしょうが、これまたかなりの頻度でやってくれるのです。
【発表について】
最初は原稿を作りましょう
そうでない人もいるのでしょうが、普通は研修I, IIの段階ではその場で何を言うか考えつつ発表するなんて芸当は無理です。このスライドでは何を言うといったレベルでもいいので、まずは原稿を作ってください。
聴衆にケツ向けていてはプレゼンじゃありません
プレゼンテーションとは相手に何かを伝える20ためのものです。なので、本来であれば今の自分の言葉が聴衆に伝わっているのかどうかを確認しながらプレゼンテーションを行うべきです。流石にそれは難しいので無理としても、せめて聴衆の顔を見ながらプレゼンテーションはしなければなりません。スライドが映っているスクリーンだけを見ていて21聴衆にはずっとケツを向けているなんてのは、もう全然ダメ。
結局は練習しかありません
残念なことに、うまくプレゼンできるようになるためには練習、それも実際の発表と同じ形式でのものを繰り返すしかありません22。将来研究職に就く就かないとは全く別に、とりあえずプレゼンスキルは磨いておきましょう。
- 令和2年度時点です。今後変わるかもしれません。
- 本当の意図は最低限こういったことはちゃんと抑えた上で発表資料を作ってね、ということです。もちろん。
- 当たり前すぎると思うかもしれませんが、あくまで研修I,IIプレゼンの指導ということでご理解ください。卒論発表や大学院生に対してはもちろん要求レベルはもっと高くなっていきます。
- むしろ早く終われと思っているはずです。本当のところ。
- なら短い分にはいいじゃないと思うかもしれませんが、それはそれでまずいわけです。
- 厳しいと思うかもしれませんが、実のところ当研究室の卒論以上でこれを満たせていないことはまずありません。なのでやればできるのです。
- 本当はわかっていないことをわかったふりをして発表することも重要なスキルですが、研修I, IIの段階でそこまで汚れる必要はないと思います。
- 論文を発表したのであれば読者からの問い合わせに答えるのは著者の責任です。
- 場合によってはさらに細分化が必要かもしれませんが、その場合は3.1, 3.2のようにその下のレベルで分割のこと。
- 当たり前な事ばかりと思うでしょうが、これらを遵守した学生の発表資料を私は見たことがありません。
- プレゼンとは口頭での説明+スライドによる視覚情報からなるものです。それらは相互補完的であるべきですので、口頭では十分な情報を伝えられない事柄のみをスライドに載せるべきなのです。
- で、当然ながら見出しや副題とは異なる内容のものをそのスライドに含めてはいけません。
- 発表者は十分に説明したという気になるのでしょうが、実のところ聴衆の理解には全くつながりません。
- そういった講義あったんじゃないでしょうか。
- これまた大量の内容をひたすら板書する講義を思い返してみてください。
- 出典を明示せずに他者の著作物を使うことは盗用とみなされます。それによる学位取り消しも実際に起きており、学生諸君は軽い気持ちでコピペを行ってはいけません。
- 某先生のお言葉より(当研究室ではこのような非紳士的な表現は使いません)。
- 某先生のお言葉より(当研究室ではこのような非紳士的な表現は使いません)。
- 言ったんだからわかっていて当然、という考えは諍いの種でしかないということは、きっと将来痛感することになると思います。
- 本当は伝えるだけでなく、さらに進んで相手に何かをしてもらうことが目的なのですが。
- さらにひどいのはスクリーンを読んで
- そうでない人もいるのでしょうが。