工学部機械知能・航空工学科第4セメスターで私が担当している電磁気学Aに関する連絡事項・注意事項のまとめ+αです。連絡事項については基本的には全て講義中にアナウンスしているはずですが。最近自分があんまり信用できないので、改めて。
尚、2021年度より本講義は他の4セメ講義と同様、機械系クラスと量子・エネ環クラスに分かれて行うこととなりました。また、2022年度はそれまでの砂川電磁気学に加えてグリフィス電磁気学も教科書となり1、さらに2023年度からは名称が電磁気学Aとなりました。
講義概要
静電場、静磁場、そして電磁誘導について講義します。残念ながら電磁波までは含められていません。また、いずれも真空における電磁場のみで、物質中の電磁場は電磁気学Bの講義範囲となっています2。
実のところ、現象自体は中学校や高校、場合によっては小学校ですでに習った事柄ばかりなのですが、それをベクトル解析を使うとどのように定式化/定量化できるのかということを理解することが目的です。
履修に際して
必要となる事前知識
ベクトル解析の知識は必須です。最低限、以下については十分に理解しておいてください。
- 体積分、面積分、線積分
- 発散(div)、回転(rot)、勾配(grad)
- ガウスの発散定理、ストークスの回転定理
これまでに何回かレポートで確認したところでは、電磁気学A履修開始時点で発散について正しく理解している学生の割合は半分程度、回転については1割ほど、といったところです3。いい機会と思いますので、これを機にベクトル解析もう一度勉強しなおしておくことをお勧めします。
教科書
- 砂川 重信、電磁気学の考え方 (物理の考え方 2) 、岩波書店
- DJ グリフィス、電磁気学I、丸善出版
を教科書としています4が、教科書が無くても問題が無いように講義はしています5。ただし、特に砂川電磁気学は非常にわかりやすく、おそらく電磁気学6の入門書としては最良の教科書の一つですので、買って決して損になることはないはずです。グリフィス電磁気学のほうは、もうちょっと広く深く電磁気学を学びたい人のため7といえると思います。
尚、講義はあくまで「電磁気学を学ぶ」という観点から行っています。なので、基本的には教科書に沿っていますが、教科書の内容をそのままその順序で説明しているわけではありません。全体の理解のために必要と思われる事柄については教科書に書かれていない内容、さらには電磁気学Aの範囲を超える内容についても講義では説明するようにしていますし8、その反面高校までで十分に理解しているはずの事柄9はかなり端折るか、もしくは飛ばすこともあり得ます10。
達成目標
最低限以下についてはわかって/できるようになってほしいな、と思って講義を行っています11。当然ながら電磁気学としては初歩の初歩ですし、以下がわかっていれば電磁気学はOKというわけでは全然ありません。電磁気学は非常に面白い(悲しいことに電磁気学Aの範囲のその先に進むと、なのですが)学問ですので、是非とも自分でもう少し勉強してみてください。
- 電磁気学一般について
- 4つのMaxwell方程式がどのような物理現象を表しているのか、またなぜそう言えるのかを説明できる。
- 近接作用と遠隔作用の違いを理解しており、電磁気学的にはどちらが正しいのかを説明できる12。
- 静電場に関して
- 電場、電位、電位差の概念/関係を理解しており、相互に変換ができる。
- ある電荷分布が与えられた場合に形成される電場を求めることができ、さらに電場中で電荷が受ける力を計算できる。
- 静磁場に関して
- 磁場を作り出すのは電流であり、電流ループモデルで13磁石が作る磁場/磁石に働く力が説明できることを理解している。
- ある電流分布が与えられた場合に形成される磁場を求めることができ、さらに磁場中で電流が受ける力を計算できる。
- 電磁誘導に関して
- 本年度は志田原先生分担なので志田原先生の講義内容を理解していればOK、のはず。
注意点
くどいですが上記のベクトル解析に関する理解がないと本講義内容を理解することは100%不可能です14。実のところ電磁気学Aとして試験に出題できる問題はかなり限定的なので、下にある問題&過去問の丸暗記でも単位認定に至るとは思うのですが、せっかくならばしっかりやりましょうよ、ということで。
成績評価
シラバス通りです。基本的には期末試験が成績評価のほぼすべてを占めると理解ください。
尚、100人近い受講者がいる講義ですので、評価はドライにやらざるを得ません。もう1点だけ何とか、ですとか、レポートで何とか、といったことは不公平・不平等につながってしまうので、個別対応はなし、ということでご理解ください。また、然るべき理由がある欠席に対して減点などは行いませんが、その一方で、特別対応も行わないこととしています15。
教科書との対応
上述の通り電磁気学Aは砂川電磁気学とグリフィス電磁気学の2冊を教科書としています。が、主として時間的な制約のため、教科書の内容をすべて講義できるわけではありません16。また、両教科書間にも記法の差異などがかなりあるのも事実です。ので、講義内容と教科書の内容の差異17を簡単にまとめておきます。
砂川電磁気学との対応
- 講義範囲は1章~8.1章です(余裕があればそれ以降もやりますが、試験には出しません)。
- 教科書ではgrad, div, rotとなっていますが、板書では∇を使うことが大半です。もちろん意味は全く同じです。また、∇は多くの場合「ナブラ」とよびますが、これは私の慣れです。
- 教科書では源の点(電荷や電流が存在する場所)を\vec{x^\prime}、場の点(考える電場や磁場の場所)を\vec{x}で表現していますが18、講義ではそれらを\vec{r^\prime}、\vec{r}と板書することが多々あります。また、前者については\vec{r_0}とも書くことが多々あります。単純に私の慣れで、もちろん意味は全く同じです。
- 相対性理論に繋がる内容19は最後にまとめて相対論の紹介と共にやるか、もしくは(時間が無かったら)割愛します20。
グリフィス電磁気学との対応
- 「デル演算子」という単語は多分ほとんど使うことがなく、「ナブラ」と呼ぶと思います。が、これは私の慣れです。
- グリフィス電磁気学の特徴の一つである間隔ベクトルは用いずに各種数式を書きます。多分他の講義では全く使わない記法なので混乱を招くと思うのと、またなるべく場の点と源の点を意識してもらいたいという理由からです。
- 第1章(ベクトル解析)は1,2年生の数学のおさらいなので、基本的に飛ばします。ただし、電磁気学を理解するために特に重要なガウスの発散定理とストークスの回転定理、およびそれらに基づく発散と回転の説明は行います21。
- 第2章の内容は基本的にすべて講義内容に含まれます。
- 第3章の内容では、鏡像法(3.2)、変数分離法(3.3)、四重極子以上(3.4の一部)は講義では取り扱いません。
- 第4章(物質中の電場)は電磁気学Bの範囲なので、講義はこれらの章を飛ばして進めます。
- 第5章の内容は基本的にすべて講義内容に含まれます。
- 第6章(物質中の磁場)は電磁気学Bの範囲なので、講義はこれらの章を飛ばして進めます。
尚、電磁誘導以降については志田原先生の説明のとおりです。
試験に関して
試験範囲
基本的には
- 静電場
- 静磁場
- 電磁誘導
の全てから出題します。なので、どれか1つだけに山を張るとまず間違いなく合格点に届きません。
電卓などは持ち込み不可です。つまり、電卓が必要になるような複雑な計算を求めることはありません。試
尚、量子エネルギー工学専攻の大学院入試情報ページには電磁気学の過去問と例題がありますが、そこの過去問が解けるようであれば電磁気学Aとしては十二分です22。
これを理解していないとまず間違いなく不可になる事柄
これまでの経験から、以下を理解していない場合はまず間違いなく単位認定に至りません。
- 電荷密度と電荷の関係
- 電流密度と電流の関係
- 磁束密度と磁束の関係
あまりにも基礎的と思ってもらえるならば結構ですし、あくまで必要条件であって十分条件では全くありませんが23。
最低限解けるようになっておかないとまずい問題
具体的に期末テストで問われる問題はどんな感じか、ということは講義初回に配布した過去問で確認してください。 それらと比べるとはるかに(でもないかもしれませんが)基礎的ですが、まずはこれ解けないとかなりまずいですよ/おそらく話になりませんよ24、という問題を以下にいくつか挙げておきます。かなり講義中に説明したものとかぶりますが25。
- Maxwell方程式の微分形から積分形への変換、及びその逆26。
- 比較的単純な電荷分布が作り出す電場の計算27。例えば以下28(いずれも電場には大きさと向きがあることを忘れずに)。電位及び当該電場中で電荷が電場から受ける力も当然わかっていること。
- 半径aの球内に密度ρで一様に分布している電荷が球の内外に作る電場29。これの少しだけ発展形で電荷密度ρが原点からの距離rのみの関数としてρ(r)と与えられている場合も30。
- 半径aの無限に長い円柱内に単位長さ当たりλで一様に分布している電荷が円柱の内外に作る電場31。これの少しだけ発展形で線電荷密度λが円柱の中心軸からの距離rのみの関数としてλ(r)と与えられている場合32も。
- 無限に広い平板上に面密度τで一様に分布した電荷が作る電場33。これに関連して平行平板コンデンサの内部電場34と静電容量35と蓄えらえているエネルギー。
- 半径aの球に電荷+Qを与えた場合の、球面の電位3637。これに関連して、半径aの球に電荷+Q、半径bの球に電荷-Q を与え、これをコンデンサとみなした場合の静電容量38。
- 径aの円筒と径b (\gt a)の円筒を同軸に組み合わせた円筒形コンデンサの静電容量。ただし軸方向長さはlとし、電荷は円筒側面に一様に分布するものとする。また端部での電場の乱れは考慮せず、電場は中心軸からの径方向成分のみを有するとしてよい39 。
- 電気双極子モーメントが40作る電場41。
- 比較的単純な電流分布が作り出す磁場42と比較的単純な磁場中で電流が受ける力の計算。例えば以下。
- 時間変動する磁場中でコイルに生ずる起電力。
- 【志田原先生の講義をよく聞きましょう】
これらがすぐ解けて、教科書の例題や章末問題(上記とかなり重なっていますが)が解ける、というくらいに準備してもらえれば、おそらくAかそれ以上の評価になると思います。また、上述の通り量子エネルギー工学専攻の院試電磁気学の問題が大体解けるくらいになっているのであればまず問題はないでしょう。
不正行為に関して
試験は「持ち込み不可」です。つまり回答に繋がりうる情報を持ち込んでいた48時点で不正行為となります。誤解を招かないようにくれぐれも気を付けてください49。
追試に関して
然るべき理由があり本試験を欠席した者に対しては追試験を行います。ただし、成績報告期限もありますので、本試験からかなり時間が経ってから追試を要求されても対応が取れません。追試を希望する場合は、本試験が受けられないことが分かった時点で速やかに私に連絡してください(意識不明で入院中等の外部との連絡が取れない状態でないならば、本試験終了後概ね1週間後を追試要求の期限とさせてください)。尚、便覧にあるように追試は授業担当教員判断ではなく工学部長判断です。私への連絡と併せて教務にも連絡し、学生便覧に沿って追試のために必要な手続きを行うことを忘れないでください。ルールでは工学部長からの書類がないと追試を行うことができないことになっています。
その他注意点
実際のところ試験で課される問題は電磁気学の基礎的な理解を問うものばかりです。が、上述のように試験範囲は広く、また高校までの知識で解ける問題というのもあまりありません50。さらに加えて、電磁気学は**力学とは異なった考え方51が必要となる学問です。そのため、一夜漬けで単位認定に至るかというと相当厳しいものがあります。それなりに勉強していれば決して試験問題は難しくないはずですので、くれぐれも直前になって、、、というのは避けるようにしてください。
出来ればもう少し
電磁気学Aの範囲からは逸脱しますし、もちろん試験に出すことはありません。が、せっかくだから下記についても少し勉強してみるといいんじゃないかな、と思うわけです52 。
- ヘルムホルツの定理
- ベクトル場を一意に決めるためには回転と発散が与えられなければならない、というものです。これにより、電場と磁場の回転と発散を与えるMaxwell方程式が、電磁場の支配方程式として必要十分ということが証明されます53。
- 空の色の電磁気学的説明
- 何故空は青いのか、夕焼けは赤いのか、ということも古典的な電磁気学から説明されます。結構YouTubeにこれ関係のビデオがあるので、興味あったら見てみてください。これとか(夕焼けの話はありませんが)。
- ローレンツ変換
- 光の速度が一定である、ためにはどんなふうに座標変換(的なこと)をする必要があるのでしょうか、といったことです。式自体は別に複雑なことをやっているわけではなく当然そうだよね、という程度のものですが、ここから時間や空間が延びたり縮んだりという、相対論の話が出てくるのです。
- この点を踏まえた修正はまだ十分ではありませんが、基本的にはこれまで通りの予定です。
- グリフィス電磁気学は真空の電場→物質中の電場→真空の磁場→物質中の磁場・・・という流れなので、結果としてグリフィス電磁気学ではいくつかの章を飛ばして進んでいくことなります。
- 流れの中に置いた羽根車が「押されて回る(上の羽を押す力と下の羽を押す力が違うから)」というのは間違っています。
- 上述のように2020年度までは砂川電磁気学のみでしたが、電磁気学B(当時はII)とのつながりもあり、グリフィス電磁気も教科書となりました。が、講義する内容自体が変わったわけではありません。
- はい、教科書の何ページを開いてください、といったことは言いません。
- に限らずこのシリーズはいずれも分かりやすいと思います。
- ただし、その分内容が多いので、講義では飛ばさざるを得ない部分が結構あります。電磁気学Aのためだけということであれば(&どちらか片方だけということであれば)砂川電磁気学をお勧めします。
- ただしそれを試験に出すことはありません。
- 磁場中で運動する荷電粒子にはたらく力とか
- 飛ばした部分を試験で出題することはありません、さすがに。
- 100点というわけではなく、単位認定の、という意味です。誤解無きように。
- 本当は電磁波まで進まないといけないのですが。
- 単一磁荷が存在しなくても。
- 100%理解することは不可能、ではなく理解することは100%不可能、です。
- より具体的には、先週欠席したので講義内容を教えてください/レポート課題を教えてください、といった要求は対応しないこととしています。もしこれを認めてしまいますと、極端な話、先週欠席したので私(だけ)のためにもう一度先週の講義を行ってください、ということにも対応せざるを得なくなってしまいます。どこまでがOKでどこまでがNGという明瞭な境界線を引くことが困難である以上、0か1かの対応とさせてください。
- 一方的に話すだけならばもちろんできるのですが・・・
- どちらかが間違っているとかそういう意味ではありません。
- p.25式(2.40)のように
- p.7マイケルソン―モーレーの実験、p.78ローレンツの力のパラドクス、等。
- 工学部の講義で相対論がないのはまずいと思うのですが・・・
- 教科書では1.3.4と1.3.5に相当します。
- 量子エネルギー工学専攻の電磁気学の出題範囲は電磁気学Aと講義範囲と一致しています。
- が、実のところ試験の結果からは大体1割強の学生はこれらを理解しているとは到底思えないない答案を出してくるのです。例えば電荷密度が\rho(\vec{x})で領域V内に分布している場合の電荷の総量を\rho Vと書いたりとか(正しくはもちろん\int_V \rho(\vec{x}) dV)。つまり積分という概念を理解していないということですので、正直電磁気学以前の問題なのですが。
- 端的には、試験前日になってこれらが全く分からないというのでは単位認定に至る可能性は極めて低いと思われます、ということです。なので、各単元が終わったあたりでの理解度確認的に考えてください。
- 難易度的には、ここの問題<期末試験<院試問題でしょうか。あんまり”<”の差は大きくないですが。
- 当然ガウスの定理とストークスの定理を使うわけです。電荷と電荷密度、電流と電流密度の関係も忘れずに。
- 基本的方針は電場の面積分が簡単になる(端的には電場のある成分×その面の面積となる、もしくは0となる)面を探して、\int_{S_0}\vec{E}\cdot\vec{n}dS=Q/\epsilonを使う。ただしそういった面が見つけられないのであれば\vec{E}(\vec{r})=\frac{1}{4\pi\epsilon}\int \frac{rho(\vec{r^\prime})}{|\vec{r}-\vec{r'}|^2}\frac{\vec{r}-\vec{r'}}{|\vec{r}-\vec{r'}|}dV' で力業に持ち込む。\vec{r}と\vec{r^\prime}の違いに注意のこと。
- 無限に広い空間に存在していることを前提。
- できる電場は明らかに球の中心から外向きで(ρが正である場合。負ならば逆だけれども最終的な結果は同じ。以下同)球の中心からの距離だけに依存する。よって、球の中心と中心が一致し半径rの球面S_0上での電場\vec{E}の面積分を考える。すると\int_{S_0} \vec{E}\cdot \vec{n} dS=4\pi r^2 E_rこれがS_0内に含まれる電荷の総量を\epsilonで割ったものに等しい(E_rは電場の径方向成分)。r\ge aならば当然\frac{4}{3}\pi a^3\rho/\epsilonでr\lt aなら\frac{4}{3}\pi r^3\rho/\epsilon
- 基本的な考え方は全く一緒。S_0内に含まれる電荷の総量を求める際に、電荷密度が一定ではないので単純に体積×密度とできず、積分を行う必要があるだけ。
- 基本的な考え方は球の場合と全く一緒。明らかにできる電場は円柱の中心軸から外向きで、中心軸からの距離だけに依存。なので、円柱の中心軸と中心軸が一致し、半径r、軸方向長さが単位長さの円筒面S_0を考え、S_0上で電場\vec{E}を面積分。円筒の上下の面では電場と法線ベクトルが直交しているので面積分の値は0、側面では電場と法線ベクトルは平行。よって円筒面での電場の面積分の値は\int_{S_0}\vec{E}\cdot\vec{n}dS=2\pi rE_r(E_rは電場の径方向成分)。これが円筒内部に含まれる電荷の総量を\epsilonで割ったものに等しくなる。
- 上と同じ。円筒内部の電荷総量を単純に円筒体積×電荷密度とできないだけ。
- 電場は平板に垂直に、平板から上側では上方向、下側では下方向に一様。平板を含み、中心軸が平板に対して垂直な、上下面の面積がSの円筒領域S_0を考え、S_0上で電場\vec{E}を面積分(本当は別に円筒でなくてもいいんだけれど)。円筒の側面では電場と法線ベクトルが直交しているので面積分の値は0。円筒の上下の面では電場と法線ベクトルが平行なので面積分の値は電場の垂直方向成分に円筒上下面の面積をかけたもの。円筒内部に含まれる電荷の総量はτ×S。よって\int_{S_0}\vec{E}\cdot\vec{n}dS=E_n\times 2S=\tau S /\epsilon(E_nは電場の垂直方向成分)。向きは電荷から遠ざかる向き(上下で逆向き)。平板上の各部分の電荷が作る電場を\frac{Q}{4\pi\epsilon r^2}を用いて重ね合わせることでももちろん計算可能(こちらの解法でも解けるようになっていること)。この場合楽なのはある点から半径r、厚みdrのリング状電荷分布が作る電場を計算し、それをr=0からr=\inftyまで積分するのが常套手段。
- 両方の電極からの電荷の寄与を考えて上の電場の2倍。両電極で電荷の正負が異なるので、平板間では電場を強め合い、それ以外の場所では打ち消しあうことに注意。
- 極板間で電場は一定、かつ向きは極板に対して垂直。なので両極板の電位差Vは電位に極板間距離をかけたものに等しい(本来は電場を線積分することに注意。積分経路に平行かつ一定なので、線積分がスーパー楽になったということです)。電荷Qと電位差Vが計算できるので、定義Q=CVから静電容量Cが求まる。
- 無限遠を0とする。
- まずは電荷が作る電場を求めて、電場を無限遠から球面まで線積分することで球面の電位を求める。球の中心から距離rのところの電場は\frac{Q}{4\pi r^2\epsilon}。向きは球中心から離れる向き。これを∞からaまで積分して-1をかければ(\vec{E}=-\nabla\phiなので)いい
- 前述の手順で各々の球の表面の電位が計算できるので、両者の電位差(電圧)Vは当然両者の差。これをQで割ればいい。
- 両円筒と同軸かつ中心軸からの距離がrである円筒状の閉曲面S_0を考える。この円筒側面に\vec{E}は垂直なので、S_0上での\vec{E}の面積分は2\pi rl E_r(E_rは\vec{E}の径方向成分)。両円筒にそれぞれ+Q、-Qの電荷を与えたとする(コンデンサにするために)と、S_0内の電荷の総量は、r\gt bでは0 (+Qと-Q)、b\gt r \ge aではQ、そしてa \gt r では0。なので電場は両円筒の間の空間にのみ存在し、E_r=\frac{Q}{2\pi\epsilon rl}。両円筒間の電位差はこれをaからbまで積分して\frac{Q}{2\pi\epsilon l}\ln\left(\frac{b}{a}\right)。静電容量は与えた電荷Qをこれで割ったものなので\frac{2\pi\epsilon l}{\ln(b/a)}。幾何学的な形状(と\epsilon)だけで決まっていることに注意のこと。
- 電気双極子モーメントから十分離れた位置に。
- 電荷qが距離r離れた場所作る電気スカラーポテンシャル\phi=\frac{1}{4\pi\epsilon}\frac{1}{r}を使うのが楽。位置(0,0,+s/2)にある+qの電荷と位置(0,0,-s/2)にある-qの電荷からのスカラーポテンシャルを足し合わせた後、s/r<<1としてテーラー展開。電場は-\nabla\phiから。
- 基本的方針は磁場の線積分が簡単になる(端的には磁場のある成分×経路長、もしくは0となる)閉ループC_0を探して\int_{C_0}\vec{B}\cdot d\vec{l}=\mu Iを使う。もしそういった経路が見つからないのであればビオ・サバールの法則をつかって力業で解く。
- 円筒の軸方向をz方向とする。明らかにできる磁場はz方向成分を持たず、円筒中心軸からの距離rだけに依存する。なので線積分の経路C_0として円筒と中心軸が一致し、半径
rの円を考え、\int_{C_0}\vec{B}\cdot d\vec{l}=\mu I を使うのが楽。この時左辺の値は2\pi rB_\theta(B_\thetaはBの周方向成分)となり、右辺はC_0に鎖交する総電流、つまりr \gt aの場合はI、r \le aの場合は(電流密度が一定なので総電流は面積に比例して)I\frac{r^2}{a^2}となる。 - これは上式の右辺の電流の計算において、電流密度×面積ではなく、電流密度を(当然半径rの面で)面積分することで計算すればOK。
- これはエレガントに解く方法がないのでビオ・サバールの法則を使わないといけない。円電流の中心を(0,0,0)とし、円電流の角度d\theta成分について考えると、こいつから(0,0,z)までの距離は(z^2+a^2)^{1/2}なので、こいつが(0,0,z)に作る磁束密度の絶対値は\frac{I\frac{d\theta}{2\pi}}{4\pi}\frac{1}{z^2+a^2}となる。d\thetaを0から2\piまで積分すると径方向成分は打ち消しあい軸方向成分だけが残るので、\int_0^{2\pi}\frac{Id\theta}{4\pi}\frac{1}{z^2+a^2}\cdot\frac{a}{(z^2+a^2)^{1/2}}d\theta=\frac{1}{2}\frac{Ia}{(z^2+a^2)^{3/2}}となる。
- 明らかにできる磁場はy方向成分のみを持ち、その向きはz\gt0とz\lt0で逆。ビオ・サバールの法則でがりがり積分計算してもいいが、エレガントなのは\int_{C_0}\vec{B}\cdot d\vec{l}=\mu Iを使うこと。C_0として、yz面に平行で、各辺はyもしくはz軸に平行な矩形ループを考える(ただしz軸に平行な辺の長さは極めて短いものとする)。C_0が電流と鎖交する場合、上記線積分の値は矩形ループのy方向の長さの2倍にB_yを乗じたもので、鎖交する電流の総量はシート状電流のy方向単位長さ当たりの電流Iに矩形ループのy方向の長さをかけたもの。よってB_y=\mu I/2
- ソレノイドコイルの中では磁場はソレノイドコイルの軸方向を向いているはず。ソレノイドコイルの中心軸を通る平面を考えると、これは上で考えた電流シートが平行に2枚並んでいるのと同じ状態(ただし流れている電流は互いに逆向き)。よってソレノイドコイルの軸方向単位長さあたりの周方向電流をIとすると、磁場はB_z=\mu I
- というのは難しいところですので、実際には「繋がりうる情報を試験中使用する意図があると判断される場所に置いていた」こととします。端的に言うと、机の上においてあるもの(の中、も含む)、及び容易に目に付くところにあるものは使用する意図があったとみなします。Maxwell方程式を腕に書いていたり張っているタトゥーシールが実はMaxwell方程式とかも駄目です(本物の刺青ならば電磁気学をそこまで愛してくれたということでOKと考えています)。
- 不正行為が発覚するとお互いにこの上なく嫌な経験をすることになります(経験上)。お願いだから不正行為は絶対にやらないでください。
- 電磁誘導のところは解けるかもしれませんが。
- 端的には「場」という考え方です。
- ただ計算問題の解き方を覚えるというのは大学の学問として非常に残念ですよね。
- グリフィス電磁気学の付録Bにヘルムホルツの定理がありますが、ちょっとわかりづらいように感じますので、ここにまとめておきました。