科学と社会(2014年度)

開講セメスター・単位:1学期1単位、担当教員:本堂 毅 准教授、所属講座等:理学研究科

「法と科学」

日程と場所

シラバスに記載の日程から変更になりました。

日程変更のお知らせ

2日間の集中講義形式:
10月31日(金)午後から夜、11月1日(土)午前から正午
10月10日(金)午後1時〜6時30分・10月11日(土)午前9時半〜12時
10/10(金)講義・ワークショップ・講演
  1. 1時〜4時:講義「裁判・社会・科学−科学裁判からの裁判学入門−」ワークショップ「安楽死裁判:法は答えを教えてくれるか?」
  2. 4時30分〜6時30分:講演「訴訟のなかの医療・科学−真実を知りたい、でも−」講演ポスターPDF

【講演概要】日本では、裁判が身近な存在とは言えず、その分、「専門家がきちんと事実を探求して法を適用して正しい裁判を行っている」と何となく信じているのではないでしょうか。でも、法の専門家でしかない裁判官が、科学や医学の領域についても十分な判断が出来ているとすれば、それはいかに可能なのでしょうか? 今回のセミナーでは、医療過誤訴訟を例に、裁判でどのように医療問題を扱っているのか、そこに潜む問題や改善の可能性等について考えつつ、「裁判」というものの意義についても問い直してみたいと思います。

10/11(土)講義・ワークショップ
場所:理学研究科 合同棟A棟2階 第三講義室(205)、第二講義室(204)

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授業の目的と概要

日本学術会議の声明「科学者の行動規範について」(2006)は「科学者の責任」で『科学者は、自らが生み出す専門知識や技術の質を担保する責任を有し、さらに自らの専門知識、技術、経験を活かして、人類の健康と福祉、社会の安全と安寧、 そして地球環境の持続性に貢献するという責任を有する。』と延べ,「説明と公開」では『科学者は、自らが携わる研究の意義と役割を公開して積極的に説明し、その研究が人間、社会、環境に及ぼし得る影響や起こし得る変化を評価し、その結果を中立性・客観性をもって公表すると共に、社会との建設的な対話を築くように努める。』と述べる.

科学的不定性(不確実性や多義性など)の高い状況でも,科学者は科学的評価を社会に伝えることが求められる.

しかし,理科の授業のような正しい答えがある状況ならともかく,不定性が高い状況で私たちは「中立性」や「客観性」をどのような形で保ち,社会との建設的な対話を築きうるのだろう. 社会には多様な立場や価値判断が存在するため,科学的定量評価が定まる場合でも,様々な社会的判断がありうる(多義性).そこに科学的評価の不確実性が加わるとき,科学者と,それを取り巻く社会制度は,どのようにあるべきだろうか.

科学者が社会的意思決定のために「意見」を求められる典型的な場は法廷である.裁判所への「意見書」を求められることもあれば,「証人」として法廷に立つことを求められる場合もある.

そこで,本授業ではゲストに法社会学者で,法廷での科学的知識の活用を専門としている渡辺千原氏(立命館大学法学部)を招き,法廷における科学を題材として,社会の中での科学や科学者の役割や位置づけを理解することを目的とする.

渡辺千原
立命館大学法学部教授
専門は法社会学。「法社会学は、社会における法の働き、法が社会をどう変えるか、など『六法全書』のなかの法ではなく、『実際に作動している法』を探求する学問ですが、法が使われ作られる裁判の有り様、とくにそこで医療や科学がどのように扱われていくかについて研究しています。」
京都大学法学研究科博士後期課程満期退学 法学修士(基礎法学)。

学習の到達目標

授業内容・方法と進度予定

集中講義形式:10月10日(金)午後1時〜6時30分・10月11日(土)午前9時半〜12時

講義と対話形ワークショップを併用し,過去の裁判例も引用しながら,法的判断と科学的判断の相違を考え,科学と社会の望ましい関係を考察する.集中講義後,論点を考察しレポート提出する.

教科書・参考書

  1. 渡辺千原:裁判における「科学」鑑定の位置─医療過誤訴訟を例に,科学(岩波)2010年6月号
  2. 本堂 毅:法廷における科学,科学(岩波)2010年2月号
  3. BSフジ・ガリレオX「法廷でぶつかる科学と法律」 (2013年11月24日放送) (ゲストの渡辺千原氏が出演しています.)

成績評価の方法

授業参加(50%),レポート(50%)

参考

2012年度(ゲスト 中島貴子先生)の「科学と社会」

質問など

履修に関する質問は、本堂 hondou(アットマーク)mail.sci.tohoku.ac.jp まで。

セミナーのあとに、懇親会を予定しています。 授業の前にご案内いたします。
懇親会への参加、不参加は自由です。