科学コミュニケーション(2014年度)
開講セメスター・単位:1学期1単位、担当教員:本堂 毅 准教授、所属講座等:理学研究科
授業の目的と概要
東日本大震災を機に,社会における科学や科学者の役割に関心や懸念が高まっています.
「社会における科学と社会のための科学」は,1999年の世界科学会議における「ブダペスト宣言」を凝縮したフレーズです.では,社会のための科学とは,どのようなものなのでしょうか.
この問題は,専門家と市民社会が共に考えるべき「公共の問題」です.この公共の問題を巡り,科学・技術の「専門家」と,一般には素人かもしれない市民は,それぞれ,どのような役割を持ち,相互関係すればよいのでしょうか. そして,その媒介役ともいえる報道機関にはどのような課題や特性があり,課題を解決するために,どのような取り組みがなされているのでしょうか.
本授業では,NHK報道局で長年,防災に関わる報道などに携わり,また京都大学等で防災科学に関わる研究活動も行われてきた近藤誠司氏をゲストにお招きし,授業参加者と共にこの問題を考えていきたいと思います.
近藤誠司先生(関西大学社会安全学部)(前NHK大阪放送局報道部専任ディレクター)にお越しいただきます。
近藤誠司先生のプロフィール
- ご専門:災害ジャーナリズム論、災害情報論
- 詳しい研究内容や紹介はこちら(個人のWEBサイト)をご覧ください。
20年間、NHKのディレクターとして災害報道に従事、現在、関西大学社会安全学部助教。
専門は、災害ジャーナリズム論。
京都大学大学院情報学研究科博士後期課程指導認定退学。博士(情報学)。
NHKスペシャル『メガクエイク』で科学技術映像祭・内閣総理大臣賞を受賞。
主な著書に、『ワードマップ 防災・減災の人間科学 いのちを支える 現場に寄り添う』(新曜社, 2011)など。
日時
2日間の集中講義形式です。
2014年7月25日(金)午後1時〜4時 場所:第3講義室(理学研究科合同A棟2F 205号室)
- 講義: 「リアリティの地平 〜情報と状報〜」
- ワークショップ: 「リアリティを可視化する」
2014年 7月25日(金)午後4時半〜6時半 場所:第4講義室(理学研究科合同A棟3F 303号室)
- 講演「リスク・コミュニケーションにおける社会的論争 〜災害報道の現場を例に考える〜 」
2014年 7月26日(土)午前9時半〜12時半 場所:第3講義室(理学研究科合同A棟2F 205号室)
- 講義: 「リアリティの地平 〜正解と成解〜」
- ワークショップ: 「羅生門プロブレム」
ポスター |
アクセス
理学研究科合同A棟の道のりはAccessのページへ
学習の到達目標
- 科学コミュニケーションの現場,特に報道の特性や課題,解決の試みなどを理解する.
- 専門家と非専門家(一般市民はもちろん,異なる領域の専門家も含む)がコミュニケーションを行い,防災などで実際に活かすための基本的視座や方法論を理解する.
授業内容・方法と進度予定
日時:2014年7月25日(金)午後1時から午後6時半、7月26日(土)午前9時半から午後12時30分まで。
ゲストに近藤誠司氏(前NHK大阪放送局報道部専任ディレクター)を迎え集中講義形式で開講する:
以下の要素に留意し,受講者の関心や希望に応じてトピックスや事例をひきながら,双方向的な授業を行う.
- 専門家と非専門家の関係性をめぐる問題構造(知と信の乖離/社会的成立解/羅生門問題)
- 専門家・行政・メディア・住民の関係性について(リアリティの共同構築モデル)
- リアリティ・ステイクホルダーのまなざし(ローカリティとインターローカリティ)
- リアリティ・ステイクホルダーのかまえ(コンサマトリーな防災/リスクを前にした共振)
参考文献
- 矢守克也・渥美公秀 編著 近藤誠司・宮本匠 著: 「防災・減災の人間科学―いのちを支える、現場に寄り添う」新曜社 (2011)
- 藤森立男・矢守克也 編著: 「復興と支援の災害心理学―大震災から「なに」を学ぶか」福村 出版(2013)
成績評価の方法
授業参加(50%),レポート(50%)
質問・問い合わせ
担当者 連絡先: 本堂 毅 hondou[アットマークを入れてください]mail.sci.tohoku.ac.jp
■開催週を変更する場合,担当教員から履修者に連絡を行う.
参考
懇親会のお知らせ(希望者,参加自由)
7月25日(金)午後19時頃から21時頃
毎年、講義のあとの懇親会は、専攻・研究科・大学を超えた,多様な集いの場になっています。文科系学生さんや文科系教員の参加もあります。参加・不参加は自由です。
人数を調整しますので、参加希望の方はお早目にお申込みねがいます。