アフリカ出身の東北大学同窓生が オンラインウェビナー「Afrian Alumni Vision for Africa」を開催しました

2022年8月21日、宮城県アフリカ協会(AFAM)に所属する東北大学アフリカ同窓生によるオンラインウェビナー「African Alumni Vision for Africa」が開催され、日本、アフリカ、そしてEU諸国などに在住するアフリカ出身の東北大学同窓生約73名が参加しました。

AFAMのアイザック・ヤウ・アスィードウ会長(1993年工学研究科にて博士号取得)は、「このイベントを足がかりに、東北大学とAFAMの協力関係を強化し、イベントに参加したアフリカ人同士のネットワークを深めていきたい」と開会の辞を述べました。

続いて、長坂徹也副学長(社会貢献・研究評価担当)が、AFAMは東北大学のネットワークを構築する上で欠かせない組織であると説明し、「創立115周年記念の年に、アフリカ出身の同窓生の皆さんと初めてのイベントを実現できたことを大変嬉しく思います。このウェビナーによって、アフリカの同窓生のつながりがさらに広がり、東北大学といっそう連帯できることを願っています」と述べました。

その後、5人のスピーカーが豊かな経験と見識に基づくプレゼンテーションを行いました。まず、東北大学グローバルラーニングセンターの渡邉由美子教授(Future Global Leadershipプログラムコーディネーター)が、東北大学への留学プログラムや留学生向けの奨学金について紹介するとともに、東北大学がケニア、南アフリカ、ナイジェリア、ザンビア、エジプトの大学と学部レベルの学術交流協定を結んでいることを説明しました。

ガーナで弁護士を務め、またガーナのGrid 株式会社で法務マネージャー代理を務めるセルマ・アウンビラ氏(2017年国際文化研究科にて修士号取得)が、貿易活動の面で統合された大陸としてのアフリカのビジョンを示しました。西アフリカの発展の最大の障壁は電気の供給不足であるとし、電力関連インフラを整備させれば、健康、教育、清潔な飲料水、安全保障などに重要な役割を果たすと説明しました。

ナイジェリアのアクレ工科大学の講師であるエマニュエル・ジェスヨン・ダンス氏(2020年情報科学研究科にて博士号取得)は、現在取り組んでいる活動を紹介しました。また、ダンス氏は、ナイジェリアのアクレ工科大学と東北大学の間に強い絆をアフリカ側で拡大し、アフリカの課題の解決に貢献したいというビジョンを示しました。

英国ケンブリッジにあるSilicon Microgravity社でMEMS設計・開発エンジニアを務めるハムザ・アブデリ氏(2021年工学研究科にて博士号取得)の発表では、自分の経験をもとに、研究における失敗は、その原因から多くを学ぶことで成功につながる方法が見いだせると話し、アフリカの若者たちに簡単にあきらめないよう語り掛けました。

また、アフリカの将来のために「つながる(Connect)」「考える(Reflect)」「触発する(Inspire)」「経験を共有する(Share Experiences)」という4つのキーワードを挙げ、国籍や文化、信条に関係なく、アフリカ人同士がつながり、スピーチやワークショップなどのインスピレーションを与える活動を行うことで、アフリカの若い世代の才能を引き出し、方向付けることが重要だと述べました。

最後に、ケニアでアフリカ女性健康財団の事務局長を務めるジェミマ・キビラ氏(2018年医学研究科にて博士号取得)は、ケニアを発展させる可能性のある分野は農業とテクノロジーであると指摘しました。ジェミマ氏は、テクノロジーを強化することで、農民が金融、農業投入物、農業知識、技能開発、市場にアクセスしやすくなると述べました。

ウェビナー終了前に、他の参加者から、5人のプレゼンテーションに対するコメントが寄せられるとともに、アフリカの将来に対して国際的な学習経験を持つ者が何をもたらすことができるかという点で、活発な議論が繰り広げられました。

留学中に貴重な教育や経験を得たアフリカの若者たちが、さまざまな分野で自国やアフリカ全体の発展に強い関心と意識を持っていることが感じられるイベントとなり、本学としてもこうした同窓生との連携を一層強化してまいります。