JAPAN
不確実な科学的状況での法的意思決定シンポジウム
国際科学技術社会論学会国際会議セッション(2010)
オーストラリアでのコンカレント・エヴィデンスの経験から
オーストラリア・ニューサウス・ウェールズ州最高裁判所
コモンロー主席判事
ピーター・マクレラン
近年私は、アジア太平洋地域の発展途上国の司法関係者との間で開催された多くの会議に参加してきた。こうした国の多くが比較的貧しく、先進国では効果的な司法コンカレント・エヴィデンス(詳細)を実現する上で必要だとされている物理的設備に投じることのできる資金が不足している。中には、より進んだ国の植民地であったにも関わらず、紛争の調停者としての裁判所の役割を共同体が受け入れるような法的伝統を有していない国もある。 司法と行政の間に緊張関係が発生するような国もある。そして多くの国で、慣習法を発展させるには、植民地時代から受け継がれた法制度との調和を図ることが必須となっている。
最近出席したトンガでの会議では、サモアの最高裁判所長官が慣習法の発展について演説を行った。その演説を聞きながら、認知されていたコモンローの厳しさの改善を図る一方で、問題の公正な解決法を提供する原則を確立しようと裁判官たちが懸命に努力していた衡平法の初期のことを私は連想していた。アジア太平洋地域の司法関係者とのあらゆるやり取りが、法とは決して静止した存在ではないということを気付かせてくれた。社会は常に変化しており、そして法制度もその変化に対応する。そしてこの対応が保留され、共同体の多くの人が変化を要求するようになってから実行されることも少なくない。多くの場合、変化の必要性が明らかになるのは、当初はおそらく苛立たしいまたは瑣末なことと思われていた事柄が問題として定着してしまったことが遡及的評価によって確認された場合のみである。変化への対応としては、裁判所が自らやり方を変更し、訴訟手続きに関する規則の適用や変更を行う場合もある。一方、問題に「政治的」側面が見られるようになれば立法府が介入する場合もある。後者の場合は、変化が突然実行されることが多い。そして単に裁判所が達成可能なタスクを与え制度を洗練させることだけを目的に議会が介入することはまれである。議会が介入する場合は、抜本的な変化を実行するためであることが多い。
以前は、専門家の支援が必要な争点があれば、裁判所が自ら用意した裁判所補佐人とも呼ばれる専門家と、当然ながら全当事者と無関係の専門家陪審員を用いていた。 専門家陪審員の名簿には、特定の職業の慣行や習慣に関連する事項に通じている都市部にいる人物が名を連ねることが多かった。特定の職業に関わる紛争においては、「当該職業に携わる人物で構成される陪審団」の活用が単に周知されていただけではなく、14世紀全体を通じてロンドンでは一般的な方式として実施されていた。 また、18世紀の首席裁判官(在任期間:1756~1788年)マンスフィールド卿の影響により、一時期の商事訴訟では、商業関連の問題の知識と専門家としての経験を買われて商人の陪審員が「法と商業をつなぐ恒久的橋渡し役」として採用されていた。
法廷専門家の歴史を包括的に扱った文献は存在していない。だが、すでに1299年にはロンドンの複数の内科医と外科医が、狼の肉の医学的な価値に関し裁判所への助言を行うべく召喚されたことを記した記録が複数存在している。 14世紀には、複数の医療過誤訴訟において外科医が法廷に傷を評価するように要請されたという記録がある。 17世紀には魔女に関連した複数の訴訟で内科医が法廷専門家として採用され、「自然現象に対する誤解」の真っただ中でその学識を提供し、「そうした自然現象の一部を、人類を悪の道に導かんとするサタンの企みによるものだとした」。 また18世紀の初め以降、専門的な意味で解釈することが妥当な場合に、実務および商業関連の書類の言葉遣いの適切な解釈を行う際の補佐役を法廷専門家が担っていたことが記録されている。
海事裁判所でも裁判官の 専門的助言役としての専門家の活用が一般的に行われていた。時にはこうした専門家が、裁判官にとっての「仲間の裁定員」と呼ばれることもあった。 16世紀には、海事裁判所の裁判官を、船員の組合である水先案内協会の2名の年長の会員が補佐することも多かった。
法廷専門家と裁判所補佐人は、実際には一種の専門家陪審員であった。彼らは司法管理による制約を受けず、反対尋問を受けることは禁止されており、そして彼らの助言は非公開で行われることも多く、当事者への助言の公開は要求されていなかった。現在、ニューサウス・ウェールズ州の土地・環境裁判所が、本案の上訴において同様の方式を採用している。
18世紀後半から19世紀初めにかけて対審構造が成熟しつつあり、裁判官と弁護士は自信をもって当時受け入れられていた対審構造の原則を主張していた。多くの分野において裁判官の役割は裁定員としての役割に制限されており、専門家が裁判官の右腕として活用されることはなくなっていた。これは、裁判所補佐人または法廷専門家の助言への裁判官の依存度があまりにも高く、裁判官が自ら判定を下していないという認識が広がったためである。そして裁判所補佐人となる法廷専門家はもはや補助的な役割に留まっておらず、意思決定者としての司法の主たる役割が失われてしまっていると懸念されていた。
こうした懸念を解消するために、訴訟の当事者が専門家証人を裁判に呼ぶことが増えていった。これらの証人は「特別」証人と呼ばれており、彼らによる証拠は意見証拠を禁止するコモンローの規則の例外として扱われた。 専門家証人は「新たな対審的な制度におけるフリーク」と呼ばれてきた。つまり「相容れない、調和しない存在だが、現代の対審的な法廷では不可欠かつ大きな影響力を有する」という意味である。
Folkes 対 Chadd 訴訟(港における腐食の過程について専門家が説明した訴訟)が行われる頃には、訴訟プロセスへの司法の直接関与は減少していた。各当事者が、自らの申し立てを主張し自ら証拠を出す権利を有していた。つまり一方に偏った専門家証言が認められていたのだ。 専門家証人が関わった訴訟は、織物貿易から税や迷惑行為に関する訴訟にまで及んでいた。だが問題は、現在我々もよく知るとおり、専門家ではない陪審員には、一方の当事者が召喚した専門家証人から信頼できる専門的な指導を受けるだけの能力があるか否かということであった。この問題への対処法として、「対審的な機構」と紳士的な社交の作法に従う「科学界の人々」を組み合わせることで公正な結果を得ることができるとされた。
産業革命は多くの変化をもたらしたが、法への影響も多大であった。そして多くの紛争で、産業公害、迷惑行為ならびに様々な機械による事故で生じた損害の結果が争われるようになった。そして新たな発明や製品の創出に伴い、特許法が発展した。専門家は多くの訴訟において極めて重要な証人となり、訴訟の数もまた大幅に増えた。専門家陪審員や裁判所補佐人とは違い、専門家証人は当事者から独立した存在ではなく、意志決定過程において独立した役割を演じることはなかった。専門家証人の誠実性ならびに彼らが法廷で述べる意見の完全性について、批評家たちは懐疑的な目を向けるようになった。1860年の “Chemical News” 誌では、科学的証拠に対する幻滅が語られている。
「Palmer訴訟、Turbane Hill鉱物訴訟、Smethurst訴訟 は、当該訴訟では科学が全く信頼に値しないものであることを世界に知らしめるように科学者たちが誘導された例だと言える。大衆は、司法調査において化学者や顕微鏡使用者が公正さを保証するやり方で法廷で真実を示すことができると信じ込まされてきたが、そのため、専門家の間でも真実に関する意見が一致しないことがあるとわかったことは大きな打撃であった。(中略)そして現在、裁判官も大衆も、中毒関連の訴訟においては科学的証拠に一切信頼を寄せていないということは認めざるを得ない。」
またTal Golan博士は著書 “Laws of Men and Laws of Nature”(人間の法と自然の法)で、専門家証拠に関する当初の社会的な不信について述べている。
「コモンローにおける科学的専門知識に対する不満は、科学者である専門家証人の登場以来続いてきたものであり、19世紀中盤にはこうした衝突の意味とその解決策を巡る議論には、現在軽率にも新たに持ち上がったと考えられているあらゆる特徴がすでに備わっていた。(中略)どちらかといえば、これはおそらく現在の衝突がより深く根付いたものであることを示すものであり、(中略)これらの衝突は、人間と制度の病理の産物であるというよりはむしろ、人間の法律と自然の法則を調和させ真実と正義を人間の基準へと合わせるために必要な現行の社会的交渉の複雑性を明らかにするものであるということを明らかにしている。」
20世紀にも法制度は大きな変化を経験した。深刻な犯罪では今も陪審裁判が採用されているが、刑事裁判の90%以上が陪審を用いずに処理されている。民事的文脈の陪審裁判はほぼ消滅した。この方式は、非専門家の陪審員を通じて共同体の価値観を示すことが重要だと考えられている名誉棄損裁判で今も維持されている。これを除けば、少なくともニューサウス・ウェールズ州では民事での陪審裁判は稀である。
20世紀後半になって、裁判における対審構造の多くの側面が疑問視されるようになった。二つの要素がこれに影響している。共同体における生活水準の向上に伴い、あらゆる業種で人件費の単価も上昇した。製造業や農業だけでなく、訴訟においても同様である。その結果、最終的な成果を得るまでの経費が手頃となるようなプロセスの効率性を求める要求が高まった。過去30年間で冷蔵庫や自動車やワインの価格が実質的に下がっているにも関わらず、裁判制度では同様の経費の減少は見られないのである。そしてAnthony Mason卿の表現を借りれば、その結果として対審構造に対する「信頼の低下」 が生じている。そして「対審的裁判の将来」と題された論文中で 彼はこう論じている。「訴訟に伴う厳格さと複雑性、訴訟にかかる時間の長さと(政府・当事者双方にとっての)経費の高さは長い間批判の対象として注目されてきた。」
究極的な形での対審構造はかつては最も効果的な紛争解決法として受け入れられていた。共同体が司法プロセスの時間と経費に現在ほど関心を抱いておらず、いかなる事例でも経費の問題が現在ほど面倒ではなかった時代には、大半の人が対審制度の長所があらゆる短所を上回っていると認めていた。そして対審制度で認められていた個人の自律性も優先されていた。だが現在ではもはやそうはいかない。対審制度には、すでに多くの地域で修正が加えられている。Glesson 最高裁長官は刑事裁判に関連して、以下のような対審制度についての発言を最近行っている。。
「この方式の欠点の一つは、対立する当事者間に合理的な力の均衡(「武器対等の原則」と呼ばれることもある)を想定していることである。甚だしい不均衡があった場合は制度が無効となる可能性もあり、不均衡を是正するために裁判官が積極的な役割を演じることを余儀なくされる場合もある(中でも先例のない被告人に対する刑事裁判は最も顕著な例である)。」
過去30年間、ほぼ全てのコモンロー管轄区域において、民事裁判プロセスの詳細かつ批評的な検討が行われてきた。他の問題も扱われておりその対応策が考案されてきたが、裁判所による訴訟管理は現在では一般的であり、専門家証拠は現在も引き続き重要な問題とされている。
訴訟経費の問題とは別に、特に医療的な争点について、専門家証拠が用いられる場合の司法による意思決定の質についても疑問が寄せられてきた。だが批判の対象は裁判官ではない。裁判官が判決を下す際に拠り所としなくてはならない証拠の完全性が問題視されているのだ。 意思決定者としての陪審を廃止することは、代わりに司法官が論理的に考えた判決を下すことを意味する。これらの理由は、専門家を含む個人の出す証拠が裁判官に及ぼす影響ならびに彼らの証拠が問題解決において果たしてきた役割を明らかにするであろう。そしてこのことによって、両当事者やそれ以外の者が、裁判官の論法が健全か否かを判断し、裁判官が誤解したり証拠に基づいて誤った考えに陥ったりしているか否かを評価することが可能となる。決定を行う上で不可欠な学識分野について特別な知識を有する人物は、裁判官が適用した「科学」が当該分野の一流の人物たちが受け入れている科学と一致しているか否かを評価することができる。裁判官が誤った考え方をしている場合は、当該分野の専門家がその過ちを特定することができる。いかなる過ちであっても、司法プロセスに対する信頼を無効化する可能性がある。そして過ちが繰り返されれば、多大な社会不安を生じる可能性もある。
専門家証言の収集と精査にあたり当事者にかかる経費の高さと、証言の完全性に関する疑問を理由に、多くの批評家が従来のアプローチを受け入れることの是非に関する懸念を表明してきた。こうした懸念はほぼ世界的に見られ、これに対する対応策はいまだ策定中である。
これらの問題については、裁判所が引き続き対処することが極めて重要である。多くの管轄区域での経験から判断する限り、裁判所が、特定の紛争の解決について共同体が寄せる期待に応えられるように自らのやり方を修正できないのであれば、立法府が行動することになる。その行動が既存の制度の修正に留まらない場合もあり、ニューサウス・ウェールズ(NSW)における労働災害保証訴訟に見られるように、意志決定機関としての裁判所の廃止につながる可能性もあるのだ。NSWにおける自動車事故・人身傷害法の大幅な改革は、紛争解決における裁判所制度の不適切性が認知されていることへの対応策でもある。
こうした紛争解決の際の問題に対する議会の対応が他の訴訟分野で繰り返されない理由はない。これに対し、専門家向けの裁定機関で、専門家の過失に関する訴えを解決することも可能であろう。またはニュージーランドで行われたような普遍的な「無過失」事故補償計画を考案することも可能であろう。裁判所が、共同体の紛争を解決する上での現在の役割を維持するつもりであれば、実践専門家と協力して、できる限りプロセスの効率性と意思決定の完全性を保証するような手法を考案することが重要である。
EXPERT EVIDENCE IN NSW ニューサウス・ウェールズにおける専門家証拠
2006年12月以来、統一民事訴訟規則(UCPR)ならびにニューサウス・ウェールズ州最高裁判所コモンロー部門のための実践指示書によって、民事訴訟での専門家証拠の扱い方に様々な変更が加えられた。これらの変化は、専門家証人の完全性と信頼性の向上を目的とするものである。民事訴訟法(2005年版)の「最優先目的」では、「当事者が支払う経費を係争中の問題の重要性と複雑性に比例するものとする」ために、裁判所が可能であれば訴訟を管理する必要があることが確認されている。
専門家証言方式の変更には、(1) 既存の、裁判所の任命による専門家というオプションに加え、全当事者間の合意によって任命された単独専門家を置くこと、ならびに (2) 専門家の数ならびに証言のやり方を管理する権限の裁判所への付与が含まれる。 こうした変更は、2005年にNSW法改革委員会が「専門家証人」と題された報告書で述べた結論を反映したものである。
Court-controlled use of expert evidence
裁判所の管理のもとでの専門家証言の利用
(英国で知られる)「許可規則」が完全な形で採用されなかったにも関わらず、UCPRの修正点は、裁判所による専門家証言の管理の度合いを大幅に高めている。修正された規則では、裁判所が召喚する専門家の数を制限すること、ならびに特定の争点で専門家による証拠提示の許可を与えないことが認められた。
規則31.17では、専門家証拠に関連する第31部の第2節に規定された主目的を包括的に説明している。この目的は、「訴訟における真の争点の公正、迅速かつ安価な解決法」であり、第56項で規定される民事訴訟法 2005年版(CPA)とUCPRの最優先目的に照らして理解しなくてはならない。
規則31.17ではこの主目的を以下のように説明している。
(a) 裁判所が専門家証拠の提示を管理できるようにすること;
(b) 訴訟における専門家証拠を、これを解決する上で合理的に必要とされる証拠に制限すること;
(c) 複数の専門家を抱える訴訟当事者にとっての不必要な経費の発生を防ぐこと;
(d) 裁判の利害を損うことなく実際的に可能であれば、当事者が契約した、または裁判所が任命した単独証人が争点について訴訟中に専門家証拠を提示することを可能とすること;
(e) 訴訟で公正な裁判を実施する上で必要であれば、2名以上の専門家(ただし必要以上の人数は認めない)が争点について訴訟中に証拠を提示することを認めること;
(f) 裁判所ならびに訴訟の当事者との関係から専門家証人の義務を宣告すること。
この変更はその直後に、当事者が裁判での専門家証拠の提示を希望する場合または提示する可能性があることが明らかになった場合にまず裁判所の指示を仰がなくてはならないと規定した規則31.19に反映されている。この規則では、裁判所が別途の命令を出さない限り、指示がなければ裁判所で専門家証拠を提示してはならないということを明確に定めている。規則31.20には、裁判所が検討の上で出すこと可能性がある指示の多岐にわたるリストが含まれている。いずれの規則も、あらゆる裁判での専門家証拠の使用に対する多大な管理権限を裁判所に与えるものである。
規則31.20に規定される指示の例を以下に挙げる。
裁判所が訴訟を管理することは、その柔軟性の維持に劣らず重要である。「可能な限り最大の柔軟性を認める専門家証言に関する制度」は、複雑性や重要性の程度も様々である多様な種類の問題に関する様々な裁判所の様々な要件や慣行の調整を図る役目を果たす。英国とは異なり、NSWの裁判所は、「許可規則」を不要とするCPAとUCPRを通じて「訴訟管理権限を大幅に強化」 してきた。訴訟管理により完全に対審構造を排除するのではなく、裁判所は訴訟管理を行うことによって実際に起きていることにより関心を抱き、提示したいと希望する証拠を得る上での「当事者の責任と特権」を整理することができるのである。策定された訴訟管理の枠組み内で専門家証拠の提示についての管理が行われるが、この枠組みには、個々の訴訟で当事者の希望を司法の利害にフィットさせることが可能な柔軟性や能力が認められている。
Single experts 単独証人
Woolfの改革以降の英国での単独合同専門家の利用については賛否両論がある。こうした専門家は、「専門家証拠に関するWoolf卿の報告書の中でおそらく最も意義があり、かつ議論を呼ぶ提案」と表現されてきた。全当事者が合意し裁判所が任命する単独証人は、ニューサウス・ウェールズの土地・環境裁判所では4年以上に渡り広く活用されている。
当事者が召喚する合同専門家証人について、NSWLRCの報告書では次のように述べている。
「合同専門家証人を任命する主たる目的は、偏りのない代表的な専門家の意見を促すことによって裁判所が公正な判決を下すのを補佐することである。もう一つ重要な目的は、この方式をとらなければ提示されるであろう専門家証拠の量に制限を加えることで、当事者ならびに裁判所が負担する経費と遅れを最小限に抑えることである。」
UCPR第31部第2節第2段(規則31.37~31.45)では当事者の単独証人について規定している。裁判所は、訴訟のいかなる段階であれ、全当事者が合同で専門家と契約するように命じることができる。 「当事者単独証人」は、全当事者の合意により契約・選定される。 ここで主導権を握るのは当事者である。そして当事者による専門家の選定は合同専門家証人のコンセプトにとって不可欠である。 この変更について、NSWLRCの報告書は以下のように述べている。
「委員会は、合同専門家証人を用いることで、現在各当事者が専門家証人にを召喚する方式と結びついている党派的側面を弱めることが可能となり、均衡の取れた代表的な意見を持つ専門家の利用を促進することができると考えている。同様に、合同専門家証人の利用は、多くの場合において、民事訴訟で生じる公的ならびに私的な経費と遅れを減らす潜在的な可能性を秘めている。こうした理由から、裁判所が利用できる一連の選択肢に合同専門家証人を追加すれば、訴訟における実際の争点の公正かつ迅速で安価な解決が促進されと見込まれる。」
また改正された規則では、裁判所の証人であり、「当事者の単独証人」とは異なる「裁判所任命専門家」の役割も引き続き認めている。
当事者の単独専門家が特定の争点に関連して召喚された場合に、裁判所の許可なくして両当事者がその争点に関してさらなる専門家証拠を提示することを規則31.44では禁止している。規則31.52も特定の争点に関して裁判所が任命した専門家の証拠に関連して同様の規制を設けている。これらの規則では、一つの争点について一人の専門家を置くことを想定している。
比較的議論の余地の少ない争点である場合や、または理論や考え方の衝突を生じるほどに賛否両論のあるものではない場合は、単独合同専門家を用いることが望ましいだろう。最近、 Casey 対 Cartwright [2007] 2 All ER 78訴訟 という低速時の道路交通で生じた人身傷害に対する損害賠償訴訟では、英国の控訴院が単独専門家証人の利用について論じている。
同控訴院は、訴訟を訴訟経費と請求損害賠償額との関係を適切に保ちながら遅延なく完了しなくてはならないという最優先原則を参照することで専門家証拠の許可の可否を決定する際の、自由裁量権の行使についてコメントしている。 Dyson 控訴院裁判官(ならびにKeene および Hallett 両裁判官)の発言を以下に紹介する。
「単独合同専門家についても発言すべきであろう。こうした専門家は訴訟全般、特に争われる金額が低い訴訟において重要な役割を果たす。だが我々は、(中略)いずれにせよいくつかのテストケースとなる訴訟で高裁レベルでの判決が出されるまでは、裁判官は、単独合同専門家の因果関係に関する争点での専門家証言を命じるにあたっては慎重を期すべきだということを認めている。なぜなら、因果関係に関わる争点は議論を呼ぶものであるからだ。」
UPCRの規則31.35 (c) ~ (h) ではコンカレント・エヴィデンス方式のプロセスの利用について規定する。このプロセスは、専門家が2名以上であれば、専門家が共同して裁判所に証拠を提示する方式のプロセスである。
NSWLRCはこの方式を支持しており、以下のような多くの利点を認めている。
規則31.15では、実施可能な多数の手順を認めている。
コンカレント・エヴィデンス
オーストラリアの民事裁判手法におけるこれまでの最重要改革の一つが、専門家証拠収集のためのコンカレント方式の採用である。コンカレント・エヴィデンスはオーストラリアで最初に開発され、ニューサウス・ウェールズ州最高裁判所のコモンロー部門、同州の土地・環境裁判所、クイーンズランド州の土地・資源法廷、オーストラリア連邦裁判所、行政上訴法廷等のオーストラリアの様々な裁判所や裁定機関で利用されている。また陪審無しで裁判官が開廷したニューサウス・ウェールズ州の3件の殺人に関する裁判でもこの方式が採用されている。
ニューサウス・ウェールズ最高裁判所におけるコンカレント・エヴィデンスについては、実務指針において特別に規定されている。以下がその規定である。
「単独専門家が任命される場合や、裁判所がこれに代わる方式での専門家証拠の提示を認める場合を除き、専門家証拠はコンカレント方式で提示されるものとする。」
また「統一民事訴訟規則 2005」(NSW)にも、コンカレント・エヴィデンスを推進するための規定が含まれている。該当規則は r 31.35 であり、この内容については別表Aに引用する。
ではこの方式は、どのように機能するのであろうか? 特定の訴訟の必要性に応じて変更を加えることは許容されるが、コンカレント・エヴィデンスでは全当事者が契約した専門家が従来の方式で意見書を作成することが求められる。この意見書は交換され、そして現在豪州内の多くの裁判所で行われているように、当該専門家たちは当事者やその他の代理人抜きで接触し、意見書について議論をしなくてはならない。この議論は対面でも電話でも行うことができる。次に当該専門家は、彼らが合意した事柄、そしてさらに重要な合意できない事柄の要約を含めたポイントをまとめた文書を作成することを求められる。専門家たちは合同で宣誓を行い、裁判官が弁護団と共に、合意しなかった事柄の要約を用いて、裁判官を議長とする合意に至らなかった争点についての「指示による」議論の検討課題目録を決定する。このプロセスは特定の争点または その下位区分となる争点について、法廷で自らの意見を述べる機会を各専門家に与えるものである。そして専門家たちが互いに質疑応答を行うことが推奨されている。また弁護団も、専門家のある特定の意見が十分に明確な表現となり、かつ反対意見に対する検証が行われるように、議論の途中で質問をすることができる。プロセスの終了時には裁判官が、全ての専門家が自らの立場を十分に説明する機会を得られたことを確かめるために全体的な質問をすることになる。
第2回提出、ここまでです。
これまでに私は土地・環境裁判所でも最高裁判所でも多くの場面でコンカレント・エヴィデンスのプロセスを活用してきた。2006年には、心停止に陥り重篤かつ永続的な脳の損傷を負った当時18歳の若者による賠償請求について裁判官を務めたことがある。若者は担当していた一般開業医を訴えていた。この訴訟に争点では、原告の状況を想定した上での医師の義務について他の一般開業医からの証言が求められた。また心臓病学に関する主要な争点も一つあった。
偶然にも両当事者は計5名の一般開業医を呼んでいた。この開業医たちがコンカレント方式で証拠を証言した。彼らは法廷のテーブルに座り、1日半かけて、構造的かつ協力的なやり方で、彼らの専門知識の範囲内に該当する争点について議論した。開業医たちはそれ以前にも数時間会合を開いており、合同意見書を作成し、これを提出していた。おそらく従来のやり方で彼らから証拠を集めるのであれば、少なくとも5日間は要したであろう。そして彼らのお互いへの質問や、さらに価値あるその質問への回答という利点を享受することもできなかったであろう。
また4名の心臓内科医も共同で証拠を提示した。うち1名は米国から衛星通信により参加し、残りの3名は法廷内のテーブルに座って参加した。彼らからの証拠については1日を要した。この医師達は、効果的に心臓病に関する複数の問題を一つの疑問点にまとめてこれを明確に示し、そして見解の相違もあったが、この疑問点に関する各時の立場を明確に説明した。報告書を見たところ、心臓内科医たちならびに当事者の弁護士たちはこのプロセスを歓迎していたと考えられる。
私が弁護士になって35年以上になるが、法廷でのこの一日は私の経験の中でも最も意義のある一日だった。全員が最高レベルの専門知識を有する4名の医師達が、究極的な問題の解決にあたり私を補佐すべく争点について議論を繰り広げたこの場に居合わせて議長役を務めたのは名誉なことであった。
コンカレント・エヴィデンスは、専門家たちが従来採用してきた意思決定プロセスを法廷内で実現する手法である。仮に我々が外傷を負い、入院を余儀なくされ、そして命を救うための大手術が必要になる可能性がある場合、医師団がやってきて協議して手術の実施の是非を決定するだろう。医師団には、外科医、麻酔医、内科医、そしてもしかすると心臓内科医や、神経科医、または多くの専門分野の中でも特に我々の抱える問題の専門知識を有する専門家が含まれるだろう。この専門家たちは会合を開き、状態を論じ、主任にあたる人物が手術実施の是非を最終的に決定するであろう。この議論の中では全員の見解が示され、分析され、議論の対象となる。 この病院が訴訟を起こすことはないであろう。これが従来型の専門家による意思決定プロセスであるとしたら、この方式を法廷でも採用すべきではないと考えられるのは何故だろうか?
これまでの経験から、もし全員が最初からプロセスを理解しており、特にそれが専門家と弁護士間の議論ではなく、裁判官に情報を提供することを目的とする構造的な議論になることを理解しているのであれば、こうした審問の管理は困難ではない。 それを推奨するというわけではないが、隣に座っている専門家同士が最後にはファーストネームで呼び合っていることも多い。議論開始時の短い時間の中で、緊張感から開放されるのが感じられ、これが通常型の証拠収集プロセスにも好影響を及ぼす。そして通常は内気な人物や遠慮がちな人物もリラックスして議論に集中することができるのだ。
これまでに、コンカレント方式での証言を行ったことのある多くの証人ならびにこの方式が用いられた訴訟に出席していた弁護士と話す機会があった。通常は不慣れなこともあって参加前には弁護士が乗り気でない場合もあるが、一度この方式を経験した弁護士から批判的な意見を聞くことはほとんどなかった。手続きの変化に対し、専門家ならびに彼らの属する専門的な組織からは圧倒的な支持が寄せられている。それは、この方式であれば自分の意見をよりうまく伝えることができ、弁護士からの質問への回答だけに役割が制限されないので、より効果的に自らの見解を述べ、他の専門家(たち)の見解に意見を述べることが可能だと彼らも気付いたからである。相手側の弁護士ではなく専門家である同業者に対して回答しなくてはならないため、彼らの出す証拠がより入念に検討されるということを彼らは躊躇なく認めている。また弁護士の手管によって自らの証拠が不正に歪められるリスクが少なくなるとも彼らは考えている。つまりこの方式は、従来のやり方よりも大幅に効率的なのである。現在のやり方であれば、主に尋問とさらに反対尋問に多くの日数を要する可能性がある証拠を、他のやり方で必要な時間の半分またはわずか20%の時間で得ることができるのだ。
担当した訴訟の一部では、一度に8人の証言したこともあった。ある訴訟では12人もいた。そして4人の専門家が協力して証拠を証言した訴訟は数多い。私の経験では、意思決定者に関する限り、問題についてお互いに会話中の専門家を観察する機会が得られ、かつ、お互いの質問に対する質疑を行うことも可能であることから、どの専門官の意見を受け入れるかを裁判官が判断する能力は大幅に高まると言える。ある人物の専門知識に弁護士による翻訳または粉飾が加えられたり、周知のように時に弁護士の影響力が多大であったりする状況の代わりに、専門家の意見が自らの言葉で表現されるようにするのがこの方式である。また判決文を書く上での利点もある。裁判官は、訴訟中の同じ時点での全く同じ質問に各証人が答えている時の筆記録を入手できるからである。
コンカレント・エヴィデンスはより弁の立つ証人にとって有利であり、口下手な証人にとって不利ではないかという質問を受けることも多い。だが私の経験ではそうした事態にはならない。各専門家は同業の専門家に彼らの面前で回答をしなくてはならないので、回答の専門的な内容から注意が逸れる場面は少なくなる。弁護士に対し回答しなくてはならないことについては、論理的な見解を述べる討論の場というよりは最終的に勝たなくてはならない論争にあたると多くの専門家が考えているが、コンカレント・エヴィデンス方式では、この義務から解放されることで、経験が少ない人物や、もしかすると内気な人物であっても、はるかに有能な証人へと変貌するのである。私の経験では、内気な証人にとっては、従来型の証拠収集方式で狡猾な弁護士を相手にするほうが、法廷の監視のもとで共に適切な知的レベルでの議論を維持しなくてはならない状態で同業者の専門家を相手にする場合よりも、はるかに威圧されてしまう可能性が高い。私がそれを必要だと感じたことは稀であるが、もちろん裁判官が介入して各証人が自らの意見を表現する適当な機会を確実に手にするように働きかける機会も裁判官には与えられることになっている。
コンカレント・エヴィデンスとは本質的には、争点を特定し可能であれば共通の解決法に達することを目指して様々な専門家と全当事者、その弁護士、そして裁判官が参加する、裁判官を議長とした議論である。合意が不可能な争点について裁判官を議長役とする構造的な議論を行うことで、専門家は、お互いに直接応答することが可能な討論の場で、弁護士による制約を受けることなく、自らの意見を述べることができる。そして裁判官にとっては、一人のアドバイザーの意見に縛られずに、法廷で厳しく尋問を受ける複数のアドバイザーの意見を活かせるという利点がある。
第3回提出、ここまでです。
THE PHASED TRIAL 段階的裁判
ニューサウス・ウェールズ州最高裁判所のコモンロー部門は、裁判プロセスの進化に向けさらなる大きな一歩を踏み出した。
コンカレント方式の専門家証言を採用した結果、従来型の民事裁判構造の見直しが余儀なくされた。
従来型のプロセスでは、 被告が非専門家証拠と専門家証拠を提示する前に、原告は陳述を完全に行い、非専門家証拠と専門家証拠の両方を提示し、さらに「陳述を完了」しなくてはならない。この順序は被告側にとって有利である。いわば被告側に原告を「待ち伏せ」する機会を与えるようなものだからだ。宣誓に則り原告側の事情説明が行われてしまえば、被告側はこれらの事情に関する原告側専門家の見解を把握した上で自らの方向性を計画することができる。被告側には、自らが利用できる非専門家証言について選択を行う自由があり、選択の結果、一部の証人を使わない可能性もある。原告側の証拠に照らし合わせた結果、被告側にとっては不利になりかねないと思われる証人を使わないことを被告側が選ぶ可能性はさらに高くなる。経験を積んだ弁護士であれば誰しも、戦略的な抜け目のない決定を行う機会を察知することができる。この原告側には与えられていない法廷での有利性は、原告側が証明の義務を負うという考えからこれまで正当化されてきた。
従来型のプロセスは、裁判を非効率化する場合がある。専門家は、関連性のある事実履歴について受けた指示に関連して自らの証拠を準備することが求められている。 こうした事情の説明が変更される可能性があるのは、原告側の非専門家証言の提示中、あるいは原告側の証人の反対尋問中であり、特に後者の場合が多い。また、被告側が自らの非専門家証言を行う際にも、時には大幅な説明の変更がなされる場合がある。指示に変更があれば専門家の意見も、時には極めて大幅に変わらざるを得なくなるのだ。
ニューサウス・ウェールズの統一民事訴訟規則では現在、専門家証人が「原告が陳述を完了する前であれ完了後であれ、裁判のいかなる段階であっても証拠を提示する」ように裁判官が指示を出すことが認められている。そして裁判所はこの規則のもとで「訴訟における専門家証拠の利用に関連して、裁判所が妥当だと考える指示を出す」 全般的な権限を維持している。オーストラリア首都特別地域の規則にも同様の裁判所の権限が規定されている。
その効率性、さらに専門家の裁判プロセスにおける自らの役割に関する認識に実際に変化を引き起こす見込みがあることから、証拠提示の順番の変更も一般的に行われている。いかなる理由であれそれが特定の訴訟において不適切となるのではない限り、今では全ての事実証拠は一切の専門家の召喚前に収集することになっている。何らかの複雑性を伴う訴訟である場合は、事実証拠に続いて短期間の休廷、場合によっては数日間またはそれ以上の休廷期間を設けることができ、その間に専門家は筆記録を確認する機会を与えられる。これにより専門家は、関連する事実説明の一貫性の度合いや相違のある箇所を理解することができる。そして専門家が、受け入れられた事実と議論が分かれる事実とを明確に理解した状態で証言を行うことが可能になる。このプロセスは当てずっぽうの考えを排除し、議論を洗練させる。そして正しい結論を導こうとする裁判官を補佐するにあたっての専門家同士の協力が促進される。この方式を我々は「段階的裁判」と呼んでいる。
この方式が用いられるようになってからまだ日は浅いが、この方式は裁判プロセスの完全性と効率性の両面で大幅な利点をもたらすと我々は考えている。そして今や様々な州裁判所、連邦裁判所、そして家庭裁判所の裁判官が、関連する事実証拠の一部または全てが出されるまで専門家証拠の証言を延期する権限を有することが認められている。
別表 A
統一民事訴訟規則 2005(NSW)
規則31.35 - 専門家証人による意見証拠
二者以上の当事者が、同一の争点または類似した複数の争点に関する意見証拠を提示するために専門家証人を召喚するあらゆる訴訟、またはその目的で専門家証人を召喚する意思を裁判所に示すあらゆる訴訟において、裁判所は以下の指示のうち、どの一つ以上の指示を出してもよい。
(a) 裁判において以下の行動を求める指示:
(i) 該当する一つまたは複数の争点に関連する全ての事実証拠、または裁判所が指定する証拠が提示された後に、専門家証人は証拠を提示すること、あるいは
(ii) 原告が陳述を完了する前であれ完了後であれ、裁判のいかなる段階であっても専門家証人が証拠を提示すること、あるいは
(iii) 二名以上の専門家証人を召喚することを希望する各当事者が、該当する一つまたは複数の争点に関連して自らの当事者側の陳述を完了すること。ただしその後裁判内で専門家証人の証言を提示する場合に限られる。
(b) 争点に関連する全ての事実証拠、または裁判所が指定する証拠が提示された後、各専門家証人が以下の内容について述べた宣誓供述書または供述書を提出することを求める指示。
(i) 専門家証人が、すでに提示された何らかの意見を支持しているか否か、あるいは
(ii) そうした証拠に照らし合わせて、専門家証人がすでに提示された何らかの意見を修正することを望んでいるか否か。
(c) 専門家証人が以下の行動をとることを求める指示:
(i) (パラグラフ (d)、(e)、(f)、(g)、(h)に従って供述を行い、主尋問と反対尋問で尋問を受けることが可能になるように)前の専門家に続いてすぐに宣誓を行うこと、ならびに
(ii) 証言を行う際は、法廷内の証言を行うのに適した場所(必ずしも証人台でなくてもよい)を占有すること。
(d) 各専門家証人が、該当する一つまたは複数の争点について、自らの一つまたは複数の意見の口頭説明を行うことを求める指示、
(e) 各専門家証人が、別の専門家証人による一つまたは複数の意見について自らの一つまたは複数の意見を述べることを求める指示、
(f) 特定の方式または順序で、各専門家証人が反対尋問を受けることを求める指示、
(g) 以下の方式で、パラグラフ (c) で言及される状況で証拠を提示する専門家証人に対する反対尋問または再尋問を行うことを求める指示:
(i) 別の専門家証人の反対尋問と再尋問を開始する前に、一人の専門家証人の反対尋問と再尋問を完了する方式、または
(ii) 全ての専門家証人の反対尋問と再尋問が完了するまで、一つの問題に関連する争点ごとに、または一度に一つの争点について交代で各専門家証人の尋問を行う方式、
(h) パラグラフ (c) で言及される状況で証拠を提示する専門家証人が、言及されるやり方で共に証拠を提示する証人と共同で、他のいかなる専門家証人に対しても質問することを認めることを求める指示、
(i) パラグラフ (c) で言及される状況での証拠の提示に関する裁判所が適切だと考えるその他の指示。
# マクレラン判事が再来日し,コンカレント・エヴィデンスの講演を行います!(2012年8月)
# 実際のコンカレント・エヴィデンスの模様はこちら(日本語版)
ーーーーーーーーーーーーーー 原文 ーーーーーーーーーーーーーー
JAPAN
Legal Decision-making under Scientific Uncertainty Symposium
International Meeting of the Society for Social Studies of Science Session
AUSTRALIAN EXPERIENCE OF CONCURRENT EXPERT EVIDENCE
The Hon Justice Peter McClellan
Chief Judge at Common Law
Supreme Court of New South Wales
In recent years I have participated in a number of conferences with the judiciary of developing countries in the Asia Pacific region. Many of these communities are relatively poor and lack capital to fund the physical facilities which we accept as necessary for an effective judiciary. Some countries, although having been colonised by more developed countries, lack a legal tradition which ensures the acceptance by the communities of the role of the courts as the arbiters of disputes. In some there may be tensions between the judiciary and the executive. In many places the development of customary laws must be reconciled with a legal system inherited from colonial times.
I recently attended a conference in Tonga where the Chief Justice of Samoa spoke of the development of customary law. As I listened to him I was reminded of the early days of equity as the judges struggled to develop principles which would provide a just solution to a problem while ameliorating the perceived harshness of the common law. Every exchange I have with judicial colleagues of the Asia Pacific region reminds me that the law is not static. Society is in constant change. Legal systems respond to those changes. The response is often reserved and comes when the demand for change is expressed by many in the community. In many cases the need for change is only apparent when a retrospective assessment confirms that what may have been first thought to be an irritant or inconsequential has become an entrenched problem. Sometimes it is the courts which respond by changing their procedures, adapting and altering the rules by which litigation is conducted. Other times when the problem develops a “political” dimension the legislature intervenes. When this occurs the changes are likely to be abrupt. Parliaments rarely intervene to merely refine systems a task which can be accomplished by the courts. They are more likely to intervene to impose radical change.
In earlier days when issues requiring the assistance of experts were involved courts used their own experts, sometimes referred to as assessors, and expert jurors who, of course, were independent of the parties. Expert juries were frequently empanelled in urban areas and in matters involving practices or customs of a particular trade. In trade disputes, the use of “juries of men of that trade” was not only known, but was common in the City of London throughout the 14th century. For a time commercial cases under the influence of Lord Mansfield, who was the Lord Chief Justice during the 18th century (1756-1788), merchant juries were used for their knowledge and professional experience in mercantile affairs as a “permanent liaison between law and commerce.”
There is no comprehensive history of court experts. However, records as far back as 1299, record that physicians and surgeons in London were called to advise the court on the medical value of the flesh of wolves. During the 14th century, surgeons were asked by the court to provide an assessment of wounds in medical malpractice cases. In the 17th century, cases involving witchcraft utilised the assistance of physicians as court experts who applied their learning in the midst of “misapprehensions over natural phenomena and attributed some of these to Satan’s attempts to mislead the human race.” There are records from the early 18th century of court experts assisting in the proper construction to be placed on the wording of business and commercial papers, where a specialised meaning was appropriate.
Experts as specialist advisers to judges were commonly utilised in the Admiralty courts. At times they were referred to with the judge as a “fellow adjudicator.” In the 16th century, judges of the Admiralty courts were often assisted by 2 elder brethren of the Corporation of Trinity House which was an association of seamen.
Court experts and assessors were in reality a form of expert jury. They were free from the restraints of judicial control, could not be cross examined and their advice was often given in private and not required to be disclosed to the parties. Today the New South Wales Land and Environment Court utilises a similar structure in some merit appeals.
By the late 18th century and early 19th century, the adversary system was maturing and judges and practitioners were asserting its accepted principles with confidence. The judge was confined to the role of umpire and in many areas the expert had been removed from the judge’s right hand. A perception had developed that judges were too dependent upon the advice of assessors or court experts and were not making their own decisions. There were concerns that the court expert, assessor, was no longer subsidiary and the judiciary had lost its primary role as a decision-maker.
These concerns were resolved by the increasing use of expert witnesses called by the parties to the proceedings. Described as “special” witnesses, their evidence was received as an exception to the common law rule forbidding opinion evidence. The expert witness has been described as a “freak in the new adversarial world, an incompatible and inharmonious, yet indispensable and influential figure in the modern adversarial courtroom.”
By the time of Folkes v Chadd (a case where experts explain how a port went to decay), direct judicial involvement in the litigation process had diminished. Each party had the right to argue their case and produce their own evidence. Partisan expert testimony was accepted. Cases involving expert witnesses ranged from textile trade to tax litigation and nuisance cases. The problem then, as is familiar to us today, was whether lay jurors could receive reliable expert guidance from expert witnesses summoned by a party. The response was that the “adversarial apparatus” together with “men of science” who adhered to the gentlemanly code of honour would ensure a just outcome.
The industrial revolution brought many changes. Its impact upon the law was significant. Many disputes now involved the consequences of industrial pollution, nuisance and the damage occasioned by accidents from machinery of various kinds. The world of patent law developed apace with the creation of new inventions and products. The expert became an essential witness in many cases. And the number of cases increased significantly. Unlike expert juries and assessors the expert witness did not enjoy independence from a party and did not have an independent role in the decision-making process. Commentators became sceptical of their honesty and the integrity of the opinions they expressed in court. Disillusionment with scientific evidence was expressed in the Chemical News of 1860.
“The Palmer case, the Turbane Hill mineral case, the Smethurst case, are instances in which scientific men have been led to exhibit science to the world as utterly unworthy of reliance in such cases. The public had been taught to believe that in judicial investigations the chemists and the microscopists would be able to place the truth before the court in such a manner as to secure justice, and it was a terrible blow to find that the professors were at variance among themselves as to the truth… At present, it must be confessed, neither the judge, nor the public, have any confidence in the scientific evidence in cases of poisoning.”
In his book “Laws of Men and Laws of Nature” Dr Tal Golan speaks of early disquiet about expert evidence:
“Discontent with scientific expertise in Common Law courts has existed as long as there has been scientific expert witnesses, and by the mid 19th century, the debate over the meaning of these conflicts and the ways to resolve them had all the features that today are blithely assumed to be new … If anything it may suggest that current conflicts are more deeply ingrained and … reveal that these conflicts are less a product of human and institutional pathology than they are an illustration … of the complexity of the ongoing social negotiations needed to harmonise laws of men and laws of nature and to cut truth and justice to human measure.”
Our legal system has undergone significant change during the 20th century. Although trial by jury is still utilised for serious crime, more than 90% of criminal trials are disposed of without a jury. In a civil context trial by jury has all but disappeared. It is maintained in defamation where an expression of community values through lay jurors is believed to be significant. Otherwise at least in New South Wales a civil jury trial is a rarity.
In the latter part of the 20th century a number of aspects of the adversarial system of justice have been questioned. Two forces are at work. As the standard of living in the community has risen the unit cost of labour for any task has also risen. This is as true of litigation as it is of manufacturing or agriculture. The consequence has been an increasing demand for efficiency of process to ensure that the cost of the ultimate product remains affordable. Although the price of a refrigerator, motor car, or bottle of wine has in real terms reduced over the last 30 years the same is not true of our system of justice. The result as Sir Anthony Mason commented has been an “erosion of faith” in the adversarial system. In a paper titled “The Future of Adversarial Justice”, Sir Anthony commented: “The rigidities and complexity accorded litigation, the length of time it takes and the expense (both to government and the parties) has long been the subject of critical notice.”
The adversary system in its ultimate manifestation was once accepted as providing the most effective means of resolving a dispute. When the community was less concerned with the time and cost of the judicial process and in any event those costs were less onerous, most people accepted that its benefits outweighed any detriments. The primacy of individual autonomy which it acknowledged could be afforded. This is no longer the case. The adversary system has already been modified in many areas. Gleeson CJ has recently said of the system in relation to criminal trials:
“One of its weaknesses is that it assumes a reasonable balance of power (sometimes called equality of arms) between the opposing parties. A gross imbalance can defeat the system, and there are circumstances (of which the most obvious is a criminal trial of an unrepresented accused) where the judge is obliged to play an active role in order to redress the imbalance.”
In almost every common law jurisdiction in the last 30 years a detailed and critical examination of the civil justice processes has been undertaken. Although other issues have been addressed and responses developed, case management by the Court is now universal, expert evidence has been and remains a critical issue.
Apart from the cost of litigation the quality of judicial decision-making has been called into question when the evidence of experts, particularly with respect to medical issues is involved. The judges are not the subject of the criticism. The concern is with the integrity of the evidence upon which they are required to adjudicate. The abolition of the jury as the decision-maker means that there is now a reasoned judgment from a judicial officer. Those reasons will disclose the impact upon the judge of the evidence of individuals, including the experts, and the part their evidence has played in the resolution of the problem. It provides a capacity in the parties and others to judge whether the judge’s reasoning is sound and assess whether the judge has misunderstood or been misled by the evidence. Those with special knowledge of areas of learning critical to the decision are able to assess whether “the science” applied by the judge is consistent with that accepted by leaders in the particular field. If the judge has got it wrong members of the profession can identify the error. Any error has the potential to erode confidence in the judicial process. Repeated errors may lead to considerable disquiet.
Both because of the cost to the parties of the receipt and scrutiny of expert evidence and because of questions about its integrity many commentators have expressed concern about whether our conventional approach to it is acceptable. The concerns are almost universal. The responses are still developing.
There is a critical need for the courts to continue to address these problems. As experience in many jurisdictions indicates, where the courts are unable to modify their practices to meet the community’s expectations in the resolution of particular disputes the legislature will act. That action may go beyond modification of an existing system and, as in the case of workers’ compensation in NSW, result in the abolition of a court as the decision-making body. The significant reform of the Motor Accident and Personal Injury laws in NSW is in part a reaction to the perceived inadequacies of the court system for the resolution of disputes.
There is no reason why the response of the Parliament to problems in the resolution of these disputes could not be repeated in other areas of litigation. Claims in professional negligence could be resolved in expert tribunals. Universal ‘no fault’ accident compensation schemes could, as occurred in New Zealand be devised. If the courts are to maintain their present role in resolving the community’s disputes it is critical that together with the practising profession procedures are devised which, so far as possible, ensure efficiencies in process and integrity in decision-making.
EXPERT EVIDENCE IN NSW
Since December 2006, the Uniform Civil Procedure Rules (‘UCPR’) and Practice Directions for the Common Law Division of the Supreme Court of New South Wales have made a number of number changes to the way expert evidence is dealt with in civil litigation. The aim of the changes has been to encourage the integrity and reliability of expert evidence. The “overriding purpose” in the Civil Procedure Act 2005 confirms the necessity for the courts to control, where possible, the litigation so that the “cost to the parties is proportionate to the importance and complexity of the subject-matter in dispute”.
Changes to the expert evidence regime include: (1) single experts appointed by agreement between the parties in addition to the existing option of court-appointed experts and (2) powers in the courts to control the number of experts and the manner of the giving of their evidence. The changes reflect the conclusion of the NSW Law Reform Commission in 2005 in its report “Expert Witnesses.”
Court-controlled use of expert evidence
Although the permission rule (as it is known in the United Kingdom) in complete form was not adopted, the amendments made to the UCPR provide for significantly greater control of expert evidence by the courts. The amended rules allow the courts to confine the number of experts called and to refuse to allow an expert to give evidence on particular issues.
Rule 31.17 provides a comprehensive statement of the main purposes of Division 2 of Part 31, which relates to expert evidence. They must be understood in light of the overriding purpose of the Civil Procedure Act 2005 (CPA) and UCPR provided in s 56, being the “just quick and cheap resolution of the real issues in the proceedings.”
Rule 31.17 states the main purposes as follows:
(a) to ensure that the court has control over the giving of expert evidence;
(b) to restrict expert evidence in proceedings to that which is reasonably required to resolve the proceedings;
(c) to avoid unnecessary costs associated with parties to proceedings retaining different experts;
(d) if it is practicable to do so without compromising the interests of justice, to enable expert evidence to be given on an issue in proceedings by a single expert engaged by the parties or appointed by the court;
(e) if it is necessary to do so to ensure a fair trial of proceedings, to allow for more than one expert (but no more than are necessary) to give evidence on an issue in the proceedings;
(f) to declare the duty of an expert witness in relation to the court and the parties to proceedings.
The change is immediately apparent in Rule 31.19 which provides that if parties intend to adduce, or if it becomes apparent that they may adduce expert evidence at trial, they must first seek directions from the Court. The rule clearly states that in the absence of directions expert evidence may not be adduced at the trial, unless the court orders otherwise. Rule 31.20 contains a wide-ranging list of directions, which the court may consider giving. Both rules endow the Court with extensive control over the use of expert evidence at any trial.
Examples of the kind of direction for which Rule 31.20 provides include a direction:
Control of litigation by courts is as important as maintaining flexibility. A “regime as to expert evidence that permits maximum possible flexibility” serves to accommodate different requirements and practices in different courts for different kinds of subject matter of varying degrees of complexity and importance. Unlike the UK, NSW courts have “strengthened case management powers enormously” via the CPA and UCPR making a “permission rule” unnecessary. Instead of displacing the adversary system altogether, case management allows for the courts to take a greater interest in what occurs and discipline “responsibility and prerogative of the parties” to procure the evidence they wish to adduce. A developed framework of case management, within which the giving of expert evidence is controlled allows flexibility and a capacity to fit the desire of the parties to the interests of justice in an individual case.
Single experts
The use of single joint experts in the UK following the Woolf Reforms has been controversial. They have been described as “arguably the most significant and controversial recommendation of Lord Woolf’s Report concerning expert evidence.” Single experts, agreed by the parties and appointed by the Court have been extensively used in the New South Wales Land and Environment Court for more than four years.
In relation to joint expert witnesses called by the parties, the NSWLRC Report said:
“The primary objective of the appointment of a joint expert witness is to assist the court in reaching just decisions by promoting unbiased and representative expert opinion. Another important objective is to minimise costs and delay to the parties and to the court by limiting the volume of expert evidence that would otherwise be presented.”
UCPR Part 31 Div 2 Subdiv 4 (Rules 31.37 – 31.45) provides for parties’ single experts. The Court may order at any stage of proceedings that an expert be engaged jointly by the parties. A “parties’ single expert”, is engaged and selected by agreement of the parties. The parties take the initiative. The selection of the expert by the parties is integral to the concept of the joint expert witness. Of this change the NSWLRC Report said:
“The Commission believes that the use of joint expert witnesses can reduce the partisanship that is today so closely associated with expert witnesses called by each party, and encourage the use of experts with balanced, representative, views. Similarly, the use of joint expert witnesses has the potential, in many cases, to reduce the public and private costs and the delays associated with civil litigation. For these reasons, adding the possibility of a joint expert witness to the array of options available to the court is likely to facilitate the just, quick and cheap resolution of the real issues in the proceedings.”
The amended rules also preserve the role of the “court-appointed expert” who is the court’s witness and different from the “parties’ single expert”.
Where a parties’ single expert has been called in relation to an issue, Rule 31.44 prohibits the parties from adducing further expert evidence on that issue, unless by leave of the Court. Rule 31.52 provides a similar control in respect of the evidence of a court-appointed expert in relation to an issue. The rules provide a presumption in favour of one expert per issue.
Single joint experts may be desirable where the issue is relatively uncontroversial or the subject matter is not so contentious that it presents conflicting theories or schools of thought. The English Court of Appeal in Casey v Cartwright [2007] 2 All ER 78, which was a case of damages for personal injury in a low velocity road traffic claim, recently discussed the use of a single expert witness. The Court commented on the exercise of discretion to determine whether expert evidence should be allowed by reference to the overriding principle that litigation must be concluded without delay, keeping an appropriate relationship between the cost of the litigation and the amount of damages sought. Dyson LJ (with whom Keene and Hallett LJJ) said:
“We should say something about single joint experts. They have an invaluable role to play in litigation generally, especially in low value litigation. But we accept … that, at any rate until some test cases have been decided at High Court level, judges should be slow to direct that expert evidence on the causation issue be given by a single joint expert. This is because the causation issue is controversial.”
UPCR Rule 31.35(c) – (h) provides for the use of the process of concurrent evidence. This is the process in which, if there are more than one, the experts give their evidence to the court together.
The NSWLRC endorsed the procedure and identified a number of benefits:
Rule 31.35 permits a number of possible procedures:
CONCURRENT EVIDENCE
One of the most significant reforms in the civil trial process in Australia has been the concurrent method of receiving expert evidence. Concurrent evidence was pioneered in Australia and is utilised by various Australian courts and tribunals, including the Common Law Division of the New South Wales Supreme Court, the New South Wales Land and Environment Court, the Queensland Land and Resource Tribunal, the Federal Court of Australia and the Administrative Appeals Tribunal. It has also been used in three murder trials in New South Wales where the judge was sitting without a jury.
A Practice Note makes particular provision for concurrent evidence in the New South Wales Supreme Court. It reads as follows:
“All expert evidence will be given concurrently unless there is a single expert appointed or the Court grants leave for expert evidence to be given in an alternate manner.”
Provision has also been made in Uniform Civil Procedure Rules 2005 (NSW) to facilitate concurrent evidence. The relevant Rule is r 31.35 which is extracted in Appendix A.
How does it work? Although variations may be made to meet the needs of a particular case, concurrent evidence requires the experts retained by the parties to prepare a written report in the conventional fashion. The reports are exchanged and, as is now the case in many Australian courts, the experts are required to meet without the parties or their representatives to discuss those reports. This may be done in person or by telephone. The experts are required to prepare a short point document incorporating a summary of the matters upon which they are agreed, but, more significantly, matters upon which they disagree. The experts are sworn together and, using the summary of matters upon which they disagree, the judge settles an agenda with counsel for a “directed” discussion, chaired by the judge, of the issues the subject of disagreement. The process provides an opportunity for each expert to place his or her view before the court on a particular issue or sub-issue. The experts are encouraged to ask and answer questions of each other. Counsel may also ask questions during the course of the discussion to ensure that an expert’s opinion is fully articulated and tested against a contrary opinion. At the end of the process the judge will ask a general question to ensure that all of the experts have had the opportunity of fully explaining their position.
I have utilised the process of concurrent evidence on many occasions, both when I was in the Land and Environment Court, and in the Supreme Court. In 2006 I sat as the trial judge in relation to a claim by a young lad who was aged 18 at the time he had a cardiac arrest and suffered catastrophic and permanent brain damage. He sued his general practitioner. The issues required evidence from other general practitioners about the duty of a doctor given the plaintiff’s circumstances. There was also a major cardiological issue.
As it happened, the parties called a total of five general practitioners. They gave evidence concurrently. They sat at the bar table together and in one and a half days discussed in a structured and cooperative manner the issues which fell within their expertise. They had previously conferenced together for some hours and prepared a joint report which was tendered. In all likelihood if their evidence had been received in the conventional manner it would have taken at least five days. I would not have had the benefit of the questions which they asked each other, and, of even greater value, the responses to those questions.
Four cardiologists also gave evidence together – one by satellite from the USA, the others sitting at the bar table in the courtroom. Their evidence took one day. The doctors were effectively able to distil the cardiac issue to one question which was identified by them and although they held different views, their respective positions on the question were clearly stated. The reports to me indicate that the process was welcomed by the cardiologists and the parties’ advocates.
I have been a lawyer for in excess of 35 years. That day in court was the most significant I have experienced. It was a privilege to be present and chair the discussion between four doctors – all with the highest level of expertise, discussing the issues in an endeavour to assist me to resolve the ultimate question.
Concurrent evidence is the means by which we can provide in the courtroom the decision-making process which professional people conventionally adopt. If one of us suffered a traumatic injury which required hospitalisation and the possibility of major surgery to save our life, a team of doctors would come together to make the decision whether or not to operate. There would be a surgeon, anaethetist, physician, maybe a cardiologist, neurologist or one of the many specialities which might have a professional understanding of our problems. They would meet, discuss the situation and the senior person would ultimately decide whether the operation should take place. It would be a discussion in which everyone’s views were put forward, analysed and debated. The hospital would not set up a court case. If this is the conventional decision-making process of professional people, why should it not also be the method adopted in the courtroom?
Experience shows that provided everyone understands the process at the outset, in particular that it is to be a structured discussion designed to inform the judge and not an argument between the experts and the advocates, there is no difficulty in managing the hearing. Although I do not encourage it, very often the experts, who will be sitting next to each other, end up using first names. Within a short time of the discussion commencing, you can feel the release of the tension, which infects the conventional evidence gathering process. Those who might normally be shy or diffident are able to relax and contribute fully to the discussion.
I have had the opportunity of speaking with many witnesses who have been involved in the concurrent process and with counsel who have appeared in cases where it has been utilised. Although, generally because of inexperience, counsel may be hesitant before being involved I have heard little criticism once they have experienced the process. The change in procedure has been met with overwhelming support from the experts and their professional organisations. They find that they are better able to communicate their opinions and, because they are not confined to answering the questions of the advocates, are able to more effectively convey their own views and respond to those of the other expert or experts. Because they must answer to a professional colleague rather than an opposing advocate, they readily confess that their evidence is more carefully considered. They also believe that there is less risk that their evidence will be unfairly distorted by the advocate's skill. The process is significantly more efficient than conventional methods. Evidence which may have required a number of days of examination in chief and cross-examination can now be taken in half or as little as 20 per cent of the time which would otherwise have been required.
I have had cases where eight witnesses gave evidence at the one time. I know of one case where there were 12. There have been many cases where four experts have given evidence together. As far as the decision-maker is concerned, my experience is that because of the opportunity to observe the experts in conversation with each other about the matter, together with the ability to ask and answer each others’ questions, the capacity of the judge to decide which expert to accept is greatly enhanced. Rather than have a person's expertise translated or coloured by the skill of the advocate, and as we know the impact of the advocate is sometimes significant, you have the expert's views expressed in his or her own words. There are also benefits when it comes to writing a judgment. The judge has a transcript where each witness answers exactly the same question at the same point in the proceedings.
I am often asked whether concurrent evidence favours the more loquacious and disadvantages the less articulate witnesses. In my experience, this does not occur. Since each expert must answer to their professional colleagues in their presence, the opportunity for diversion of attention from the intellectual content of the response is diminished. Being relieved of the necessity to respond to an advocate, which many experts see as a contest from which they must emerge victorious, rather than a forum within which to put forward their reasoned views, the less experienced, or perhaps shy person, becomes a far more competent witness in the concurrent evidence process. In my experience, the shy witness is much more likely to be overborne by the skilful advocate in the conventional evidence gathering procedure than by a professional colleague with whom, under the scrutiny of the courtroom, they must maintain the debate at an appropriate intellectual level. Although I have only rarely found it necessary, the opportunity is, of course, available for the judge to intervene and ensure each witness has a proper opportunity to express his or her opinion.
Concurrent evidence is essentially a discussion chaired by the judge in which the various experts, the parties, the advocates and the judge engage in an endeavour to identify the issues and arrive where possible at a common resolution of them. In relation to the issues where agreement is not possible, a structured discussion, with the judge as chairperson, allows the experts to give their opinions without constraint by the advocates in a forum which enables them to respond directly to each other. The judge is not confined to the opinion of one advisor but has the benefit of multiple advisors who are rigorously examined in public.
THE PHASED TRIAL
In the Common Law Division of the New South Wales Supreme Court we have taken a further significant step in the evolution of the trial process.
A consequence of using concurrent expert evidence is the need to reconsider the conventional structure of a civil trial. The traditional process requires the plaintiff to present its complete case, both lay and expert evidence, and “close its case” before the defence presents its lay and expert evidence. This sequence favours the defence. It provides the opportunity for the defence to “ambush” the plaintiff. Once the plaintiff’s version of events is on oath, the defence is able to plot its path knowing of the view of the plaintiff’s experts about those events. The defendant has the freedom to select from its available lay evidence and may choose to discard some witnesses. More likely it may choose to discard experts who may, in light of the plaintiff’s evidence, be seen as less favourable to the defendant. The opportunity for strategic, tactical decisions is obvious to any experienced advocate. This forensic advantage, not available to the plaintiff, has traditionally been justified because the plaintiff bears the burden of proof.
The traditional process can make for an inefficient trial. Experts are required to prepare their evidence with regard to the instructions they receive as to the relevant factual history. The account of those events may change either when the plaintiff’s lay evidence is given, or more likely when the plaintiff’s witness are cross-examined. It may also change, sometimes significantly, when the defence has called its lay evidence. If the instructions change then so must the expert’s opinion, sometimes quite significantly.
The New South Wales Uniform Civil Procedure Rules now permit judges to direct that an expert “give evidence at any stage of the trial, whether before or after the plaintiff has closed his or her case”. The court retains a general power under these Rules to “give such directions as it considers appropriate in relation to the use of expert evidence in proceedings.” The Rules of the Australian Capital Territory courts contain a similar power.
Both because of its efficiency and the prospect of real change in an expert’s perception of their role in the trial process, it is common that we change the order in which evidence is given. Unless for any reason it will be inappropriate in a particular case, all of the factual evidence is now received in advance of any expert being called. If the case is one of any complexity the factual evidence may be followed by a short break, perhaps a couple of days or occasionally longer, during which the experts will have an opportunity to review the transcript. This will enable them to understand the extent to which the relevant factual accounts are consistent and where they diverge. It ensures that the experts are able to give their evidence with a clear understanding of the facts which are accepted and those which are in dispute. The process eliminates the guesswork and enables the controversy to be refined. It encourages the experts to cooperate with each other in assisting the judge to arrive at the correct conclusion. We refer to it as a “phased trial.” Although it has only been used for a short while, we believe it has significant benefits both for the integrity and efficiency of the trial process. Judges of various State courts, the Federal Court and the Family Court now have express power to defer expert evidence until some or all of the relevant factual evidence has been led.
APPENDIX A
Uniform Civil Procedure Rules 2005 (NSW)
Rule 31.35 - Opinion evidence by expert witnesses
In any proceedings in which two or more parties call expert witnesses to give opinion evidence about the same issue or similar issues, or indicate to the court an intention to call expert witnesses for that purpose, the court may give any one or more of the following directions:
(a) a direction that, at trial:
(i) the expert witnesses give evidence after all factual evidence relevant to the issue or issues concerned, or such evidence as may be specified by the court, has been adduced, or
(ii) the expert witnesses give evidence at any stage of the trial, whether before or after the plaintiff has closed his or her case, or
(iii) each party intending to call one or more expert witnesses close that party’s case in relation to the issue or issues concerned, subject only to adducing evidence of the expert witnesses later in the trial,
(b) a direction that, after all factual evidence relevant to the issue, or such evidence as may be specified by the court, has been adduced, each expert witness file an affidavit or statement indicating:
(i) whether the expert witness adheres to any opinion earlier given, or
(ii) whether, in the light of any such evidence, the expert witness wishes to modify any opinion earlier given,
(c) a direction that the expert witnesses:
(i) be sworn one immediately after another (so as to be capable of making statements, and being examined and cross-examined, in accordance with paragraphs (d), (e), (f), (g) and (h)), and
(ii) when giving evidence, occupy a position in the courtroom (not necessarily the witness box) that is appropriate to the giving of evidence,
(d) a direction that each expert witness give an oral exposition of his or her opinion, or opinions, on the issue or issues concerned,
(e) a direction that each expert witness give his or her opinion about the opinion or opinions given by another expert witness,
(f) a direction that each expert witness be cross-examined in a particular manner or sequence,
(g) a direction that cross-examination or re-examination of the expert witnesses giving evidence in the circumstances referred to in paragraph (c) be conducted:
(i) by completing the cross-examination or re-examination of one expert witness before starting the cross-examination or re-examination of another, or
(ii) by putting to each expert witness, in turn, each issue relevant to one matter or issue at a time, until the cross-examination or re-examination of all of the expert witnesses is complete,
(h) a direction that any expert witness giving evidence in the circumstances referred to in paragraph (c) be permitted to ask questions of any other expert witness together with whom he or she is giving evidence as so referred to,
(i) such other directions as to the giving of evidence in the circumstances referred to in paragraph (c) as the court thinks fit.