ロレーヌ大学と共同ワークショップを開催、及び 共同博士学位プログラム合意書に署名

共同ファンド創設を発表する大野総長

東北大学は、2019年9月17日(火)~20日(金)にフランス・ロレーヌ大学と現地で共同ワークショップを開催し、本学から大野英男総長、植木俊哉理事・副学長のほか、関係部局から教職員・学生合わせ約40名が出席しました。(一部のワークショップは、9月23日(月)~24日(火)に開催。)

このイベントは、これまでの両大学の交流実績を基に、交流の深化と今後の新たな連携を構築することを目的として両大学長の合意により開催されたものです。学術セッションとして、長年の研究交流があるスピントロニクスと数学の他、近年、交流が始まった燃焼学、そして新たな分野としてヘルステクノロジー分野におけるワークショップが行われました。また、双方の事務職員も交えた国際交流や留学生交流担当者によるワークショップも同時に行われ、さまざまな分野での連携が図られました。

スピントロニクス ワークショップに参加した有沢洋希さん(理学研究科修士2年)は、「口頭発表後に海外研究者から’自分の研究分野と重なる所があるから詳しく研究結果を教えて欲しい’と議論を持ちかけられた際には、国際会議を通じて海外研究者とのコミュニティを広げていく過程を肌で感じた。また、昼食時間を利用して海外教授に研究の質問をする機会があり、全ての質問に真摯に、気軽に答えていただいた。疑問点が解消された喜びよりも、教員と学生の距離の近さに対する驚きの方が大きかった。ワークショップ全体を通して、どの先生方も内容・身分問わず議論を歓迎している印象を受けたので、次回の国際会議では物おじせずに積極的に議論・質問をしていきたい。」と今回の経験を踏まえ、今後の抱負を語りました。

ヘルステクノロジー ワークショップに参加した山谷礼輝さん(医学系研究科修士2年)は、「海外での発表は初めての経験であり大変緊張したが,自分の研究テーマを伝える喜びと海外の研究者の方と議論する楽しさを得ることができた。ロレーヌ大学の発表テーマは,モーションセンサーや脳波など生体信号と心理学手法の融合,バーチャルリアリティや機械学習の応用,実際の患者様に対する臨床研究など興味深いもので、彼ら/彼女らのバックグラウンドの紹介や研究テーマの重要性の説明が濃厚であったと感じた。私に対する質問も,その研究テーマに興味を持った理由や研究テーマの社会的位置づけなどが主であり、今回の経験を通して、自分の研究に対する課題を見つけると同時に、自分の研究を説明する際の重要な点を学ぶことができた。」と感想を寄せました。

同じくヘルスサイエンス ワークショップに参加した榊浩平さん(加齢医学研究所 日本学術振興会特別研究員)は、「ロレーヌ大学では、最先端のテクノロジーを実生活へ応用することを目指した研究のアプローチをしており、ビーコンと加速度センサーを用いた高齢者の日常活動動作センシングなど、所属する加齢医学研究所の研究内容と通じる点も多く、新たな知見が得られて勉強になった。個人的には、初めての英語圏以外への訪問で、お互い第二言語である英語を用いた会話が新鮮だった。改めて、英語を学べば世界が大きく拓けるということを肌で感じることができた。英語で研究発表と聞くと身構えてしまう方もいるかもしれないが、研究というある程度の共通の知識や認識があるため、英語が多少拙くても意味や意図を汲み取ってくれる。東北大の学生も、機会を見つけぜひ勇気と行動力を持って積極的に挑戦してほしい。」と自身の経験を踏まえ、エールを送りました。

最終日には、”How to strengthen collaboration between Lorraine and Tohoku University”をテーマとしたラウンドテーブルが行われ、両学長の他、フランス高等教育・研究・イノベーション省(Ministry of Higher Education, Research and Innovation)、フランス国立科学研究センター(CNRS)、フランス グラン・テスト政府(Administration of the Grand Est Region)、日本学術振興会ストラスブール研究連絡センター (JSPS Strasbourg Office)の代表者が出席しました。ラウンドテーブルで大野総長は「学生や若手研究者の交流をエンカレッジし、新たなアイデアが生まれる機会を用意したい」と発言し、ロレーヌ大学のMutzenhardt学長からは「双方の特色を生かした戦略的な連携により、大学間交流を質的に高めたい」との発言がありました。また、CNRSやJSPSからは、段階や規模に応じた各種研究支援プログラムの活用が述べられた他、両大学の連携がもたらす成果に期待が示されました。

ラウンドテーブル後には、共同博士学位プログラム合意書の調印式が行われました。研究交流を通じた専門人材育成の枠組みを整備することによって、両大学の連携は教育面にも発展することになります。

式典の最後に、両学長から共同研究ファンド*の創設が発表されました。本学から合計450万円、同様にロレーヌ大学からも合計45,000ユーロが拠出され、3つの共同研究プロジェクトを支援することで、今後調整が進められます。また、2020年秋を目途に仙台でのワークショップ開催も併せて表明されました。今回のワークショップを通じて、本学とロレーヌ大学とは、研究交流から教育連携に続く体制を構築し、今後、日仏大学間連携の新たなロールモデルとなることが期待されます。

*東北大学‐ロレーヌ大学の共同研究ファンドの学内公募等は追って通知予定。

ワークショップの様子(スピントロニクス)
ワークショップの様子(燃焼学)
ワークショップの様子(数学)
ワークショップの様子(ヘルステクノロジ―)
ワークショップの様子(国際交流)
ラウンドテーブルの様子