2025年6月9日(月)と10日(火)の二日間にわたり、東北大学にて本学と米国・ワシントン大学が共同で設置するAOS(University of Washington-Tohoku University : Academic Open Space)の活動の一環で「Quantum Materials Workshop and Lab Tour」が開催されました。本イベントは、ワシントン大学と東北大学の研究者が一堂に会し、量子マテリアルに関する最新の研究成果を共有・議論する国際ワークショップです。これまで年に2回のペースでシアトルと仙台にて相互に開催しています。企画・開催には、 好田誠教授、佐藤宇史教授、大内二三夫特任教授そして江藤哲郎特任教授らが中心となって携わりました。
ワシントン大学からは Prof. Xiaodong Xu、Prof. Di Xiao、Prof. Ting Cao の3名が来日し、東北大学側は好田誠教授、佐藤宇史教授らをはじめとする複数の研究者が参加しました。
6月9日:研究室見学と意見交換
初日は片平・青葉山キャンパス内の研究室を巡るラボツアーが実施されました。好田研究室を皮切りに、加藤・小澤、⼤塚・野村、そして佐藤研究室を訪問。各研究室では、電子スピン波、2次元物質、量子構造デバイスなどの研究内容について活発な意見交換が行われました。

6月10日:量子マテリアルワークショップ開催
ワークショップは東北大学AIMR(材料科学高等研究所)にて開催され、国際的な第一線の研究者による講演が行われました。
• Prof. Xu は「量子異常ホール効果の光制御」について、
• Prof. Xiao は「フラクショナル・チャーン絶縁体波動関数の構成法」について、
• Prof. Cao は「相関トポロジカル相のAI駆動第一原理計算」について講演しました。
また、東北大学からは、佐藤教授によるマイクロARPESを用いた電子状態解析、好田教授によるSnS結晶成長、そして理研から岩佐義宏グループディレクタによる2次元・トポロジカル物質における非相反輸送現象など最先端研究も披露されました。

ワシントン大学との国際連携へ向けて
今回のワークショップは、量子マテリアル研究の国際的な連携強化を目的としており、参加者の間では今後の共同研究や人材交流に向けた具体的な話し合いも行われました。
東北大学・好田誠教授は次のようにコメントしています。
「本ワークショップでは、理論と実験の両面から最先端の研究成果が共有され、日米の研究者の間で多くの共通点や補完関係が見いだされました。今後は、これらの接点を起点として研究テーマを具体化させるとともに、学生や若手研究者の交流を積極的に進め、長期的かつ持続可能な国際共同研究の枠組みへと発展させていきたいと考えています。」
ワークショップの締めくくりとして、東北大学・山口昌弘副学長より閉会の挨拶が行われ、今回の交流を通じて得られた国際的な信頼関係を土台に、今後の継続的な研究連携と人的交流の発展に大きな期待を寄せました。
このような取り組みを通じて、量子マテリアル分野における国際的研究ネットワークの形成と深化が期待されています。
問い合わせ先:
グローバル戦略室
TEL:022-217-4844
Email: kokusai-r*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)