P.T.Bでの研修を終えて

D2 齋藤 悠佑

 

2008年5月21日から8月22日までの約3ヶ月間、ドイツの国立研究機関であるPhysikalisch-Technische Bundesanstalt(P.T.B)に滞在し、研究活動を行って参りました。研修期間中私が所属した研究グループは、Dr. Danzbrinkが率いるWorking Group 5.25・Scanning Probe Metrologyで主にSFM設計開発、並びに計測システムの最適化、マイクロ、ナノ領域における計測基準の校正等を行っています。グループの行っている各研究の詳細に関しましてはhttp://www.ptb.de/en/org/5/_index.htmを参照して下さい。研修内容に関しまして以下に概要を報告いたします。

まず私が滞在したP.T.Bの所在地であるBraunschweigの基本情報についてまとめます。ドイツは連邦制で16の州から成ります。Braunschweigはそのうちドイツ北西部にあるニーダーザクセン州の第2の規模の都市です。北緯52度程に位置していますので、私が滞在した期間中は日照時間が長く、特に夏至の頃にはPM10時頃まで外が明るい状態で当初は驚きました。日本との時差はサマータイム実施期間中でしたので-7時間となります。中世におけるハンザ都市の1つで、かつて北部ドイツを治めていたハインリヒ獅子公の拠点都市でもあったという歴史ある街です。交通の便もよく近隣の都市とはアウトバーンで接続されており、郊外から市街地へのアクセスも良好です。中央駅にはICE、IC等の高速鉄道も発着します。また農業、商工業が盛んであり、緑が豊かである点、またドイツ最古の名門工科大学に加えP.T.B、F.A.L(連邦農業研究所)等の研究機関を擁し、2007年度には全独で科学の街として選出されている点を鑑みますと、杜の都学都仙台に共通する部分があり親しみを感じる都市でもありました。

次にP.T.Bについて、P.T.Bはドイツ連邦経済技術省に属する研究機関で、主に計測基準、標準に関する基礎技術研究並びに開発をドイツ国内外の企業・大学と共同で行っています。研究施設はBerlinとBraunschweigに2か所にありますが、主な研究設備はBraunschweigに集中しています。研究施設は市街中心部から約8 km程離れた郊外に立地しており、この点は東北大学青葉山キャンパスと似た境遇であるといえます。木々に囲まれた非常に閑静な環境で、多くの野鳥や野生のウサギ、鹿、リス等を施設敷地内で見かけました。

研究テーマに関しては低ノイズタッピングモードAFMのコントローラー設計をお手伝いさせて頂きました。主にHDLを用いたハードウェア設計という事で、私の研究テーマである光センサの光学設計に対して、その光センサのアプリケーションの1つとして位置付けられているAFMシステムの開発というより踏み込んだ内容であったため、研究に関する視野、見識が広がり有意義な研修となったと感じております。

最後にこのような貴重な機会を与えて下さった高教授並びに日本学術振興会の関係各位、滞在期間中に公私において私をサポートして下さったDr. Dai並びにDr. Danzbrink、さらに研修期間中に様々な面で私をサポートして下さいました研究室のスタッフと研究室の皆様に心より感謝いたします。