Category Archives: 研究会
京都で繁田真爾著『「悪」と統治の日本近代』書評会開催!
2019年12月22日(日)、京都のしんらん交流館にて、「繁田真爾『「悪」と統治の日本近代-道徳・宗教・監獄教誨』を読む――著者を迎えての書評会」が開催されました。同書は、本ゼミの繁田先生が2019年7月に上梓した、日本近代仏教史関係の研究書。このたびの書評会は、京都を研究拠点とする皆さんによって企画されました。 当日ははじめに、名和達宣先生(真宗大谷派教学研究所)、広川義哲先生(龍谷大学)、谷川穣先生(京都大学)から、同書に対する書評が行われました。評者の先生方からは、同書の内容に内在しながら一定の評価を示しつつ、それぞれの研究の立場や知見から、批判的かつ建設的でもある、とても力のこもった問題提起をしていただきました。 これに対するリプライが繁田先生からあったのち、近藤俊太郎先生(本願寺史料研究所)の司会のもと、会場の参加者の皆さんとともに、活発な議論が行われました。年末の忙しい時期でしたが、会場には30名を超える方々が参集しました。 現在、本ゼミの重点的な研究課題である近代仏教史研究。西日本の研究拠点である京都の皆さんと研究交流をすることができた、とても貴重な機会となりました。
上映会を開催いたしました!
2019年10月20日は、菅尾健太郎監督 「トレス・ジョイアス〜多文化社会で輝く仏教〜」の上映会・トークイベントを開催いたしました。このイベントは、10月12日(土)に開催予定でしたが、台風19号の影響で延期となり、20日(日)に開催いたしました。 「仏・法・僧」という三章に分かれているこのドキュメンタリーで描かれた「ブラジル仏教」の事例を通して、文化の「越境性」をめぐって、いろいろと考えさせられました。「西洋人」という自己認識をもつ多くのブラジル人が、「東洋の宗教」たる「仏教」を受容する上での諸問題が描かれ、上映後のトークも非常に盛り上がりました。 菅尾先生、お越し頂きありがとうございます!
第21回「仏教と近代」研究会を東北大で開催!
京都・東京・仙台の三都市を拠点に活動する「仏教と近代」研究会の皆様が、2019年10月19日にこちら東北大学国際文化研究科棟で集まりました。前半は学位論文の構想発表がメインで、後半は本ゼミポスドクの繁田先生の新著『「悪」と統治の日本近代』の書評会が開かれました。 修士論文を執筆中のゼミ生・呉佩遙氏「近代日本における「信仰」概念の展開」および山口陽子氏「加藤咄堂の思想と行動」の報告に続いて、博論提出間近の武井謙悟氏(駒大)が「近代日本における仏教儀礼の変遷」という題目で、非常に興味深い成果を報告しました。雨天にもかかわらず全国から参加者が集まり、京都からは近藤俊太郎先生、東京からは碧海寿広先生や総合司会の大澤絢子先生、そして学内からはクラウタウ先生とゴダール先生に加え、文学研究科の佐藤弘夫先生や引野亨輔先生も出席され、構想発表の院生たちにとってはとても貴重な機会となりました。 後半の『「悪」と統治の日本近代』書評会には、上記の近藤先生に加え、京都アメリカ大学コンソーシアムのアダム・ライオンズ先生も三か月ぶりの来仙で参加されました。近藤先生は昔からの繁田先生との間での「論争」を表現する形で本書を批評し、ライオンズ先生は教誨師の問題を中心として評されました。 仙台なので、懇親会は駅近くの「利久」で開催しました。牛タンと日本酒で、議論は新幹線の終電時間まで続きました!(そして二次会に残った方は、日付が変わるまで…) 遠くからお越し頂いた皆様、ありがとうございます!
「日蓮主義」研究チーム、仙台で集合
本ゼミ担当教員のゴダール先生が率いる科研グループ「越境する日蓮主義の基礎研究」の打合のため、若手のホープである阪大のユリア・ブレニナ先生、そして分野を代表する存在で、新著『日蓮主義とはなんだったのか』(講談社)を出された佛大の大谷栄一先生が来仙し、本講座の図書室を訪問しました。3月に来られた林淳先生に続き、「東北大学近代日本ゼミの守護仏」が本講座を訪問するのは、大谷先生が二人目となります。次は吉永進一先生を何とかして仙台にお招きしなければ!
アダム・ライオンズ先生ご講演!
アダム・ライオンズ先生(ハーバード大学宗教学科出身、京都アメリカ大学コンソーシアム博士研究員)がこちら東北大学の国際日本研究講座で、日本における「教誨師」をめぐってたいへん興味深い講演をしてくださいました。教誨師をつとめておられる方お二人にもお越し頂けました!ライオンズ先生の歴史研究や理論枠はもちろんのことですが、人間としての教誨師の実際問題への視座にも感銘を受けました。先生の近著『Karma and Punishment: Prison Chaplaincy in Japan』を楽しみにしております! Adam Lyons gave an eye-opening talk at Tohoku University's Modern Japan Seminar, on the work of prison chaplains in Japan. Adam has done extensive interviews and fieldwork for his research. And there were … Continue reading
第20回「仏教と近代」研究会に参加
2019年7月13日、東京で開催された第20回の「仏教と近代」研究会(於國學院大學)にゼミ生が参加してきました。亀山光明氏は「近代日本仏教における戒律研究の課題と展望」という題目の下で、執筆中の博士論文の全体構想を報告し、他に木村悠之介(東京大学大学院)「近代神道における革命・出版・青年―神風会から会通社へ」および牧野静(筑波大学大学院)「宮沢賢治における追善」の報告もありました。後半は、大澤絢子と宮部峻による丹羽宣子氏の新著『〈僧侶らしさ〉と〈女性らしさ〉の宗教社会学――日蓮宗女性僧侶の事例から』(晃洋書房、2019年)の書評会がありまして、大いに盛り上がりました。
マックス・ワード先生ご講演「治安維持法・再考」
2019年6月13日に、マックス・ワード先生(ミドルべリー大学准教授)がこちら東北大学国際日本研究講座でご講演され、新著『Thought Crime: Ideology and State Power in Interwar Japan』の内容も紹介してくださいました。ワード先生は、1930年代を考える際のキーワードとなる「転向」および「国体」という二つのタームに焦点を当て、それらが1920年代からどのような変遷を遂げていったのか、詳しく説明されました。この時代の思想史研究者が分析用語としてもよく使う言葉ではありますが、ワード先生のご講演はそれらの「歴史性」を再確認させてくれるものでした。 On June 13, Max Ward gave a thought-provoking talk on his new book, "Thought Crime: Ideology and State Power in Interwar Japan," at Tohoku University. Ward focused on two concepts that … Continue reading
ジョン・パーソン先生ご講演「帝国日本における右翼と学問」
2019年5月24日に、ジョン・パーソン先生(ニューヨーク州立大学オールバニ校助教授)がこちら東北大で非常に興味深いご講演をされました。先生は原理日本社の事例を踏まえつつ、1930年代から40年代にかけての特別高等警察が創造(想像)したものとしての「右翼」概念の歴史的形成を語られました。先生の近著『Arbiters of Patriotism: Right-wing Scholars in Imperial Japan』も楽しみにしております! Yesterday @johnnyppp John Person gave a stellar talk at Tohoku Uni on the pre-1945 right and the state. In the 1930’s, the Thought Police shifted their attention from leftwingers to the extreme … Continue reading
岩田先生ご講演「近代仏教の布教方法――近角常観と東北大学」
2019年5月16日に、岩田文昭先生(大阪教育大学教授)が近角常観(1870-1941)を軸に、大正期の学生文化や近代仏教建築を広く紹介されました。近角のネットワークも確認しつつ、近代における仏教と精神分析との関係を語る上でキーパーソンである古沢平作(1897-1968)への影響も取り上げられました。終了後の懇親会でも話が続き、「生きがい」としての近角研究を主張されました(笑)。岩田先生、仙台までお越し頂きありがとうございます! Prof. Iwata Iwata gave a fabulous talk at Tohoku University on the popularity of Chikazumi Jōkan in Taisho period Japan, student culture, and modern Buddhist architecture. There was also a Chikazumi branch in Sendai with Tohoku University students. pic.twitter.com/n4fjziTiS9 … Continue reading
トーマス先生ご講演「20世紀日本における「信教の自由」言説」
2019年5月13日に、ペンシルベニア大学助教授のジョリオン・トーマス先生(プリンストン大学宗教学科出身)がこちら東北大学でご講演されました。先生は数ヶ月前に発表された自著『Faking Liberties: Religious Freedom in American-Occupied Japan』の内容を紹介しつつ、近年の宗教論研究との関係で、近代日本における「信教の自由」という概念の生成と定着をめぐってたいへん有意義な課題について話されました。トーマス先生大ファンのゼミ院生・山口陽子さんは特に大喜びでした!