• Fast Neutron Laboratory, Tohoku University, JAPAN

PIXE分析(元素分析・元素マッピング)

PIXEの概要と原理

加速器からのプロトンビームやヘリウムイオンなどの粒子ビームを加速して物質に照射すると、その物質固有のエネルギーを持つ特性X線が発生します。このX線の発生断面積は 非常に大きく、微量の元素からの特性X線の測定が可能となります。X線の測定には一般的にSi(Li)半導体検出器を用います。物質中に含まれている元素の量は、その特性X線のカウント数から求めることが出来ます。PIXE(Particle Induced X-ray Emission)とは粒子線励起X線のことですが、この原理に基づいた元素分析法のことを一般にPIXE分析と称しています。 PIXE分析法の主な特徴は以下の通りです。

  • 多元素同時分析が可能です
     ※測定可能な元素はNaより重い元素です
  • 微量分析が可能です
     ※数十µgの少量の試料でも分析できます
  • 大気中にビームを取り出すことで液体試料なども測定が可能です
  • サブミリビームやマイクロビームを使って試料を走査することで元素マップの取得が可能です
▲PIXE分析体系
▲特性X線の発生機構

PIXE分析例

我々の分析システムでは、サブミリビームやマイクロビームを使って試料を走査することで元素マップの取得を得意としています。サブミリビームを使う場合は数cm角領域の元素マップを、マイクロビームを使う場合は最大1mm角領域の元素マップを取得が可能です。特にマイクロビームを使う場合は数µmの分解能で微量元素マップを取得できるので、エアロゾルなどの環境試料や細胞などの生体試料の分析に適しています。

右図は技術を応用して計測した生体サンプルの分析結果です。この図が示す通り、例えば、細胞内部の元素分布を画像として観察できます。高解像力のイメージング性能もさることながら、この技術の魅力は多元素を同時に、かつ、ppmオーダーの精度で含有元素量を定量できる点です。

▲µPIXE分析で得られた元素マップ