光ファイバ断面内に複数のコアを有するマルチコアファイバは日本が世界を牽引して開発してきたものであり、本ファイバの実現により1本のファイバで配信可能なデータ量は10倍以上に増大している。
本研究室では、このマルチファイバを用いた大容量・高密度光通信技術の開発とともに、量子通信への新たな展開を目指している。
図1に2コアファイバを用いたTwin-Field Quantum Key Distribution(TF-QKD)と呼ばれる高度な量子通信システムの構成を示している。
TF-QKDでは2つの遠隔地からその中間点に単一光子レベルの微弱な信号を配信し、中間点でこれら光子の干渉パターンを観測することで鍵配送距離を倍増させる技術である。
ここで、安定した光干渉を実現するためには量子通信に用いる光ファイバ網の高精度な位相制御が不可欠である。本研究室では超低損失な2コアファイバを開発し、
本ファイバの一方のコアで高精度位相同期、他方で量子鍵配送を行うといった、空間分割多重方式による新たな量子通信システムの構築を目指している。
