結晶構造解析
新規物質の開発研究には結晶構造に対する正確な知見が必要不可欠です。 本研究室では単結晶を用いた従来の結晶解析法による精密構造解析を実施する一方、 高分解能中性子粉末回折や低温粉末X線回折を用いて実験を行っています。 計算機による粉末回折図形の自動解析手法(Rietveld法)の確立によって、 迅速に精度の高い結晶学データが得られるようになりました。
構造の異なった二種類以上の結晶が単位格子レベルで周期的に積み重なり、 それらの部分構造間にミスマッチや歪みが存在する物質を複合結晶といいます。 複合結晶の中の各々の部分構造は、 格子の歪みをできるだけ解消するために原子密度や原子座標が変調することが多いです。 複合結晶は3次元空間の格子並進対称性を持たないことから、 高次元超空間群を用いて構造を解析しなくてはなりません。
本研究室では結晶構造の決定に加え、スピンや格子のダイナミクスの研究も行っています。 日本原子力研究所内で波長4Å以上の冷中性子を用いた分光測定により、 固体および液体中での低いエネルギー励起(数meVから100meVまで)を解明、 現在も続々と新しい知見を得ています。