超伝導と酸化物半導体
超伝導とは低温環境下において物質の電気抵抗がゼロとなり、物質内部の磁場の排除(マイスナー効果)と磁束の固定(ピン止め効果)が同時に見られる現象です。応用するにあたって、超伝導状態の維持にかかる冷却コストを低くするために、より高い温度で超伝導を実現する物質探索が進められています。
最近、高温超伝導を示す強相関電子系の酸化物半導体が相次いで発見されました。 現在までに知られている酸化物高温超伝導体の結晶構造は全てペロブスカイト型で、3d遷移金属と酸素が作る八面体がシート状に並んだ層を持っています。転移温度が100Kを越えるような高温超伝導体は、この金属酸化物層にキャリアを一定量ドープすることによって経験的に作ることができます。
酸化物半導体は超伝導のような特異な電気伝導を示すだけでなく、大きな熱電係数や光伝導性を有することが知られています。 しかも温度や組成の僅かな違いで、絶縁体から金属まで、また常磁性体から強磁性体あるいは反強磁性体まで物性が大きく変化します。 従ってこれらの物性を上手に利用できれば、超伝導磁石・熱電素子・光ホログラム材料等次世代の機能性材料として将来大いに発展することが期待されます。