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新着情報
シンポジウム(日本物理学会・年会)
「科学者の役割とは何か:不確実性の中での科学と社会」
2012年3月25日(日)13時30分~17時
関西学院大学上ケ原キャンパス
プログラム:
座長:佐野雅己(東大理)
13:30〜13:35
趣旨説明 佐野雅己(東大理)
13:35〜14:00
「科学者の社会的責任の現代的課題」
藤垣裕子 (東大総合)
14:00〜14:25
「科学裁判における科学者の役割:専門家証人として考えたこと」
本堂 毅(東北大理)
14:25〜14:50
「医学と倫理と法」
米村滋人(東北大法)
休憩(14:50〜15:00)
座長:小林泰三(九大基盤セ)
15:00〜15:25
「社会が知りたい科学:科学の不定性」
平田光司(総研大先導)
15:25〜15:50
「社会の意思決定と専門家」
尾内隆之(流経大法)
15:50〜17:00
パネルディスカッション
内容説明:
大震災以降,社会の中での専門家のあり方が問われている. 物理学会員も,専門知識の生産者として,その
知識の発信者として,あるいは市民の科学観に関わる科学教育を担う者として,社会的な位置を占め,その責
任を負っている.
本シンポジウムでは,社会的意志決定における専門家のあり方について,社会との接点で実践と論考を重ねて
きた物理学会員に加え,科学技術社会論の最前線で活躍している研究者,現役の医師の問題意識から科学と社
会の問題を問うている法学者,科学政策論をテーマとする政治学者を招き,社会的意志決定における科学や科
学者の位置・あり方を幅広い視点から議論したい.
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論文掲載
岩波書店「科学」
2011年9月号
特集「科学は誰のためのものか」
「御用学者がつくられる理由」
(岩波書店許諾によるPDF版)
尾内隆之,本堂 毅
東北大学高等教育開発推進センター紀要(2011)
「法と科学の接点:科学を通して法を,法を通して科学を考える」
本堂 毅
日本物理学会誌2011年4月号
談話室
「JSSTS-4S合同国際会議開催記念・市民講演会
『社会のなかの科学: 21世紀の科学および市民の社会的責任』に参加して」
(物理学会許諾によるPDF版)
本堂 毅
岩波書店「科学」
2010年2月号
「法廷における科学」
本堂 毅
(岩波書店許諾によるPDF版)
Latin American Journal of Physics Education
"What are the limits of validity in science? new lab class to improve scientific literacy of humanities students"
Tsuyoshi Hondou, Tsutomu Sekine and Shozo Suto
科学技術社会論学会 第10回年次研究大会
日時: 2011年12月4日 9時〜9時30分、京都大学
B-2-1【オーガナイズドセッション】
不確実な科学的状況と社会的意思決定:科学の現場から考える
オーガナイザー:本堂 毅(東北大学)
久利 美和(東北大学)
「科学の現場から(1) 防災における科学と社会的意思決定」
小林 泰三(九州大学)、平田 光司(総合研究大学院大学)
「科学の現場から(2) 科学技術自身の決定不定性と巨大技術」
本堂 毅(東北大学)
「科学の現場から(3) 科学の適用限界と専門家」
尾内 隆之(流通経済大学)
「科学の不定性を前提とした民主的意思決定の可能性」
オーガナイズド・セッションの趣旨
不確実な科学的状況と社会的意思決定:科学の現場から考える
オーガナイザー 本堂 毅(東北大学)
裁判をはじめとする様々な社会的判断では,作動中の科学を含む不確実性の高い科学的知見を多くの場面で取り扱わねばならない.また,科学的妥当性(合理性)が確立されていると当該学界において見なされる場合であっても,その合理性が科学者集団(ジャーナル共同体)の「相場感覚」(小林,
2007)に基づくものであることに注意を要する.相場感覚による科学的合理性は,社会的判断に十分な厳密性を常に有するとは言えないし,同じ対象を扱いながらも,手法の違いによって分かれている学会間では,その相場観が大きく異なることもありうる(久利氏の講演を参照).また,仮に社会的意思決定を科学者集団の妥当性判断により直接的に行うとするなら,それは価値判断を伴う社会的意思決定を科学者集団が行うという点で,科学からの踏み越え(科学技術に対するシビリアンコントロールからの逸脱)とも言える.
科学的不確実性にも,様々な階層がある.疫学的な記述が妥当性を持つような,すなわち狭義のリスク論が成り立つ領域においては,
sound
scienceの描像に基づく議論(たとえば,risk-benefit論)などが相応の妥当性を持つだろうけれど,Andrew
Stirling の “Uncertainty Matrix” (Stirling 2007) における
“uncertainty”, “ambiguity”,
“ignorance”に該当する場合に,科学の名の下に狭義のリスク論に基づく議論を行うことは,Stirlingも指摘するように非科学的で妥当性がなく,むしろ社会に混乱と科学不信をもたらすだけであろう.
非専門家が社会の側から科学技術の可否や対策などを適切に判断するためには,科学的合理性判断に潜入しがちな価値判断や,科学技術の決定不全性,科学の適用限界などを洗い直し,それらのメカニズムや問題を言語化する必要がある.これは,科学技術のシビリアンコントロールを行う非専門家のためばかりではない.科学者自身が,社会的意思決定の前提としての科学的知見の役割を十分理解せずに社会と関わると,その界面において様々な問題を生じてしまう(2011年にあっては説明を要しないだろう).社会が科学者に誤導されないと同時に,科学者が社会に誤導されないために,社会との界面における科学的専門知見の性質と役割について,科学と社会双方の視点による,より詳細な解析が必要とされている.
そのためには,科学論としてのメタな立場から出発するばかりではなく,「営みとしての科学」の現場からの考察も不可欠になるだろう.科学者がどのように研究を進め,仮説を立て,未来を予測し,それを検証しているのか,科学研究を進める上での葛藤,社会的意思決定に関わる情報発信で生ずる問題なども含めて,現場の科学研究者自身が,自らをメタに観察し記述することが,これまで見過ごされてきた問題を明らかにするために有用となろう.
本セッションでは最初に,久利氏が地学研究を踏まえた防災研究とそのアウトリーチ活動を行う中で気づき得た問題点について,特に不確実性を伴う知見の情報発信のあり方について報告と議論を行う.次に,巨大科学技術研究が必然的に内包する,研究という営み自体に内在する決定不全性について,小林氏が加速器研究などを例に報告する.次にオーガナイザーでもある本堂が,トランスサイエンス的な状況下での科学的合理性と社会的合理性の重なりとズレ,科学の適用限界を議論し,社会的意思決定を行う上で必要な,科学的知見の「脱構築」の必要性と問題点を議論する.最後に尾内氏が,上記の議論を踏まえた上での合理的社会的意思決定の可能性について,オーストラリアの裁判所で導入されている手法(コンカレント・エヴィデンス)との比較も行いながら政治学の視点から議論し,会場参加者を含めた討議を行う.
小林傳司, 2007: 『トランスサイエンスの時代』 NTT出版.
Stirling, A. 2007: “Risk, precaution and science; towards a
more constructive policy debate,” EMBO reports,
8,309-315.
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市民講演会
身の周りの科学から震災まで:寺田寅彦とサイエンスの今
主催: ISCS2011国際会議実行委員会
日時: 2011年 12月 3日(土)
場所: 中央大学駿河台記念会館
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科学に対する考え方はこちら
Blog はこちら
論文一覧はこちら
現在,主に行っている研究・教育内容
1. 少数粒子系の統計物理学
2. 電磁場の生物への影響に関する,生物物理学的・臨床環境医学的研究
科研費・新学術領域研究(研究課題提案型)の助成により行っています.
3. 科学教育,特にリテラシー教育
科研費・基盤Cの助成により行っています.
4. 科学技術社会論
JST-RISTEXプロジェクト「不確実な科学的状況での法的意思決定」科学グループHP
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2008年7月11日
日本物理学会誌 2008年7月号 Vol.63,
No.7, p.537-541
「マイクロ波環境と受動被曝: 基礎物理の役割」(PDF版, htm版)
電子情報通信学会長への質問書
(上記論文中の引用文献21, 2007年5月7日〜)
2007年12月27日
ブログを更新しました.テーマは「電波=音波?」です.こちらからどうぞ.
2007年12月24日
日本物理学会誌 2003年6月号 「携帯電話による公衆被曝をめぐって」
の全文をリンク
こちらから(国立情報学研究所の論文情報ナビゲータCiNiiより)
2007年10月25日(論文掲載)
"Equation of state in
a small system: Violation of an assumption of Maxwell’s
demon"
T. Hondou
Department of Physics, Tohoku University -
Sendai 980-8578, Japan and
Institut Curie, Section Recherche, UMR168 - 26 rue d’Ulm,
75248 Paris Cedex 05, France
EPL, 80 (2007) 50001
On-line publication
page at EPL (Europhysics Letters)
doi: 10.1209/0295-5075/80/50001
Full text is avalable here (PDF version)
2007年9月22日(開催)
日本物理学会年会
領域13,領域1,領域2,領域10,領域12合同シンポジウム
「環境科学リテラシー確立の今日的意義」
講演「環境科学と基礎科学
—
物理学に出来ること,出来ないこと」
予稿(PDFファイル)
2007年3月26日
日本物理学会 春の分科会での講演予稿
「自然法則の普遍性と文化の多様性:Evidence-Based Decision
の基礎としての理科実験」を「科学について」の参考文献に追加
2006年7月25日
The Journal of the Physical Society of Japan
(JPSJ)掲載論文
JPSJオンラインの該当ページはこちら
論文全文のダウンロードはこちら
日本語での要約はこちら
英文での要約はこちら
論文より
数値シミュレーション結果(エレベーター内)
1) 反射がない場合(これまでの"公式"を用いた場合)
静止画(PDF) QuickTime形式, MPEG-4, AVI
2) 反射がある場合(現実のエレベータの場合)
静止画(PDF) QuickTime形式, MPEG-4, AVI
(反射がある場合で,ホットスポットが分かりやすい3次元立体ムービーはこちら)
シミュレーションは,エレベータのドアが「全開」の場合です.
("an aperture of sliding door"と書いてある部分が開いているドアの箇所).
詳しい条件設定等は,論文のPDF版をご覧ください.
# Windows ユーザーの方から,QuickTimeムービーの再生が出来ないと指摘がありました.
# QuickTime版をご覧になる際は Window版QuickTime をダウンロードしてください.
# 本シミュレーションは,Ansoft社のHFSSを用いています.
# 論文の参考文献欄にあるproject file を用い,どなたでも再現が可能です.
これまでの「専門家」の認識
2002年5月1日の BBC News を参照ください.
英国保健省の調査委員会委員でもあるProf. Les Barclayは次のようにコメントしています:
"Signals from the antenna and mobile phone decrease very rapidly as you move away from the phone,"
(携帯電話から離れると,電波は大変急激に弱くなる)
"By the time a signal has been reflected by a distant wall it will be at a very low level."
(遠い壁で電波が反射されたときには,電波は大変低い強さである)
以上の考えは,日本の専門家によっても繰り返されてきました.
(例えば,2002年6月3日,朝日新聞(東京版)夕刊第1面のコメントを参照).
筆者はエレベータ内における受動被曝の存在も,2002年の段階で既に指摘しています(JPSJ).
健康影響に関して
パリティ 2006年1月号 (丸善)
クローズアップ「電磁場が引き起こすDNA損傷」 (PDF版,htm版)
* web版はパリティ編集部, REFLEXプロジェクト(Prof. Adlkofer)より転載許諾済.
パリティで解説を行っている,EU7カ国12研究所によるREFLEXプロジェクト報告書はこちら.科学研究に関する公開の原則から,詳細な実験データを含む報告書全文がダウンロード可能になっています.
反射の影響に関する旧来の議論と,学術的誤り
物性研究 2004年4月号 (物性研究刊行会)
「マイクロ波の生体への相互作用:その議論の前提・枠組の妥当性と基礎物理学」(PDF版, htm版)
上記原稿は,京都大学基礎物理学研究所研究会「電磁波と生体への影響」の報告書を兼ねます.第1回研究会の全報告書はこちらです(「物性研究」オンライン公開ページ).
# 学術のあり方,学び方については,筆者が理学部2年生向けに開講している「電磁気学」の
# 授業で学生に配布した 「授業の進め方」もご参照ください.
この問題に興味をお持ちの皆さんには,一次情報(オリジナルの情報)に触れて頂くことを強くオススメします.
不確かな情報を元に議論をしても,得るものはありません.科学的主張には,その根拠が明記されているはずです(参考文献等が伴わないもの,1次情報でないものは信頼度が高くありません).科学的に大事なことは,「権威者」の発言ではなく,その根拠となる事実(エビデンス)です(筆者の科学に対する考え方は,「科学について」を参照ください).
電磁場の生体影響に関する海外の調査報告書の多くは,公開の原則から,だれでも入手出来る形でインターネット公開されています.その研究の質と公平さに驚かれることでしょう.
本研究が明らかにした最も重要な点は,電磁波のリスクに関するアセスメントにおいて長年,大学初年度級の物理学にすら矛盾する,科学的合理性に欠ける議論が行われてきたことです.
予防原則は,現在の科学的知見では良く分からないことに適用される概念です.しかし,この問題においては,現在既に分かっている科学的知見さえ,それも理工系の基礎教育(入門)レベルの電磁気学にさえ矛盾する議論(ドグマ)が長年続いてきたのです.議論の出発点(土台)が誤っていては,以降どのような議論をしたところで,結論は信頼出来ません.エレベータか,電車か,航空機か・・・を問わず,これまでの前提がそもそも科学的根拠を欠いていた,ということです.
# 学術的により正確に述べるなら,境界値問題としての電磁気学を無視した(理解しない)議論が
# 続いてきた,ということです.大学2年生レベルの初歩的な誤りです.
論文のPDF版
科学的不確実性と社会的意思決定の問題について
JST-RISTEXプロジェクト「不確実な科学的状況での法的意思決定」科学グループHPをご覧下さい.
関連資料(新しい順)
日本物理学会年会(2006年3月) 講演予稿(環境物理,企画講演)
「電磁場の生体影響と基礎物理学」(PDF版, htm版)
パリティ 2006年1月号 (丸善)
クローズアップ「電磁場が引き起こすDNA損傷」 (PDF版,htm版)
* web版はパリティ編集部, REFLEXプロジェクト(Prof. Adlkofer)より転載許諾済.
パリティで解説を行っている,EU7カ国12研究所によるREFLEXプロジェクト報告書はこちら.科学研究に関する公開の原則から,詳細な実験データを含む報告書全文がダウンロード可能になっています.
臨床環境医学 第14巻第2号 p.83〜87 (日本臨床環境医学会)
(特集:第14回日本臨床環境医学会総会シンポジウム「電磁波による健康障害」)
「電磁場の基礎概念と生体影響の関係」
電磁場の生体影響を議論した本,ホームページなどには,科学的に誤った議論が少なくありません.一般市民や市民団体が書いたものばかりでなく,専門家と呼ばれる人たちの解説にも,山のように例が見つかります.これらが様々な都市伝説を生み出し,議論を混乱させています.むしろ,研究者が都市伝説に何の疑問も持たず,オリジナルの資料にあたることもなく解説を行い,都市伝説をさらに増幅させている事実があります.この論文は,電磁場の生体影響を考える際に必要な物理学の基礎知識を復習し,その上で,典型的な誤りを正していきます.論文別刷がありますので,ご希望の方は下記アドレスまでご請求ください.
東北大学全学教育「自然科学総合実験」テキスト(科学と文化:弦の振動と音楽)
(2004年度版,2005年度版) (東北大学出版会)
物性研究 2004年4月号 (物性研究刊行会)
「マイクロ波の生体への相互作用:その議論の前提・枠組の妥当性と基礎物理学」(PDF版, htm版)
上記原稿は,京都大学基礎物理学研究所研究会「電磁波と生体への影響」の報告書を兼ねます.第1回研究会の全報告書はこちら(「物性研究」オンライン公開ページ).
京都大学基礎物理学研究所研究会「環境物理学」(2006年6月)のページはこちら.
日本物理学会誌 2003年6月号 (日本物理学会)
「携帯電話による公衆被曝をめぐって」
全文はこちらから(国立情報学研究所の論文情報ナビゲータCiNiiより)
科学 2002年8月号 (岩波書店)
「閉鎖的空間での携帯電話の利用と公衆被曝:反射と重複による電磁波エネルギー蓄積のメカニズム」
数理科学 2002年8月号 (サイエンス社)
特集「熱力学の多彩な展開」
「確率論的熱力学:ゆらぐ過程のエネルギー論」
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ご連絡は以下にお願い致します。
〒980-8578(住所不要)
東北大学大学院理学研究科
本堂 毅
e-mail: hondou[at]mail.sci.tohoku.ac.jp
fax: 022-795-5831
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