シリーズ 青葉山 139  フシグロセンノウ 


 

 

 
の中を歩いていくと、二羽のホオジロが逃げ去った。

地面に落ちた草の種を食べていたのだろう。
ふと横を見ると、鮮やかなオレンジ色の花が目に留まった。

 

フシグロセンノウだ。

花の直径は5cmほど。
五枚の大きな花弁が、
重たげに付いている。

 


落葉広葉樹の葉で日光を遮断された林内は、足元が見えないほど暗い。

カタクリやショウジョウバカマ*は、早春に花を咲かせ早々と種子をつくったが、この季節、"緑の天幕"の下で咲く花も珍しい。湿った暗い場所を好む植物なのだ。

花期は7-10月。山地に生えるナデシコ科の多年草。

(河北新報社提供 初出 1991.9.6)

 


フシグロセンノウ
Lychnis miqueliana Rohrb.
ナデシコ科

現状不明(1959年採集の標本があります)。

本州から九州までの林縁や明るい林内に生育します。高さは80cm程度になり花が咲くと目立ちます。茎にある節が黒みをおびることが多いところから「節黒仙翁」の名が付きました。仙翁(センノウ)は中国原産の多年草で古い園芸植物ですが、今はほとんど見られません。

このページの写真は林床の暗い中で撮影されたもので、色調を補正したためか花の色が少し不自然になってしまいました。こちら (フシグロセンノウの花)もご覧下さい。

* 典型的な春植物です。カタクリ(青葉山54)ショウジョウバカマ(青葉山48)をご覧下さい。カタクリについては他に 制作者のノート にも詳しく記述してあります。