シリーズ 青葉山 140  ミズヒキ 


 

 


 

チャバネセセリの飛び交う坂を、汗をふきながら行く。


 
くしなやかな花穂を長く伸ばしたミズヒキの群生に出合った。

 
祝い事で使う紅白の「水引」に見立てられたこの花は、上からのぞくと"
"、下から見上げると""と、見る角度でその装いを変える。

 

ちりばめられた小花に近づいて、その理由が分かった。四枚の萼(がく)片は上半分が赤、下半分が白に染め分けられているのだ。

 

タデ科の多年草。高さ50-80cm。おめでたい名前なのに、日陰を好む。

(河北新報社提供 初出 1991.9.7)


ミズヒキ
Antenoron filiforme (Thunb. ex Murray) Roberty et Vautier
タデ科

ヤナギ沢などの暗くやや湿った林内や林縁にふつう。

花の紅は、林縁の薄暗がりでひときわ目立ちます。花被が張り付いて残るので、種子の色のようにも見えます。種子に触るとはじけ飛びます。典型的な自動散布型種子ですが、なぜか青葉山周辺のミズヒキではあまり飛びません。花柱の先が、かぎ型に曲がってひっかかりやすく、動物散布型種子でもあります。

 種子の散布型については → 青葉山23ミズタマソウの「種子散布についての長めの注釈」

種子はよく芽生えますが、根茎からも盛んに増え、株状になる植物です。