シリーズ 青葉山 48  ショウジョウバカマ 


 

All by Kahoku Shimpo. 

床に愛らしい花が咲いた。青空が広がり、芽吹きは一段と加速している。ショウジョウバカマの蜜(みつ)を求める昆虫たちが間もなく飛んで来るだろう*。傍らの黄色いヒメカンスゲ**はもう花粉を飛ばし終え、花期も終わりに近い。

葉の先端が地面に触れた所に、新しい芽が出ている***(右上)。"不定芽"だ。ショウジョウバカマは種子で子孫を残すほかに、不定芽でも増える。葉からも増える珍しい植物だ。

一週間前のつぼみ(右下)。先を争って咲き始めた花を見に、さらに林の奥へ進もう。

(河北新報社提供 初出 1991.4.5)

 


ショウジョウバカマ
Heloniopsis orientalis (Thunb.) C.Tanaka
ユリ科

常緑の多年草。亀岡道周辺などのアカマツ−コナラ林、コナラ林の湿った斜面にややふつう。

* 写真の個体は、名の由来ほどは赤くありません。雪国ではもっと緋に近い色。写真全体が暗いのですが、雌しべの先が長くとびだしているのはよくわかります。少し短い雄しべも広がっていて、蜜を求めて訪れたハチやアブの体に触れやすくなっています。
** ヒメカンスゲ(青葉山38)
*** やがて根も出てきます。2年目を迎えた古い葉ほど下側に位置するので地面に触れやすく、そこからカルスを生じ、このような栄養繁殖体(ラメット)になります。古い葉が死ねば、栄養繁殖体は独立していきます。