シリーズ 青葉山 135  キイロスズメバチ 


 

 

 
もほぼ完成したことだろう。キイロスズメバチの"働き手"たちも、樹液や花の蜜(みつ)を求めて、あるいは昆虫狩りにと大忙しだ。

冬、腐った木の切り株などに潜んでいたたった一匹の女王バチから、巣づくりは始まる。どんどん働きバチを産んで育て、今度は彼らが巣を大きくしていく。ついには、家の軒下などに、ひと抱えもある球状の巣が出来上がる。

しかし、この"巨大な帝国"も一年で崩壊。翌年の再建を夢見て、一匹の女王バチ候補*が、再び、冬の眠りに入る。

スズメバチ科。体長25mm。

(河北新報社提供 初出 1991.9.2)

 


キイロスズメバチ
Vespa xanthoptera Cameron
スズメバチ科

キイロスズメバチは植物園でもお目にかかる機会が多い昆虫です。ノリウツギやリョウブ(青葉山124)、ヤブガラシ等の花や、樹液などに集まってきます。蜜をなめることも多いのですが、花の上で虫を狩ることも多いようです。

* 1コロニーから1頭の女王バチ候補しか出てこないということではありません。実際にはおそらく数百の女王バチ候補が生産されています。例えばオオスズメバチ(青葉山106)は、多数の生殖カーストを養うためにキイロスズメバチなどの社会性のハチの巣を攻撃して、餌のやりくりをつけているほどです。上の文章はそうして育てられた1頭1頭がそれぞれ別のコロニーを作り上げるところに注目した表現です。