シリーズ 青葉山 106  オオスズメバチ 


 

 

 
暗い林の中を、鈍い羽音を響かせて、"爆撃機"が飛んできた。オオスズメバチだ。体長は4cmぐらい。ミズナラの周りを旋回した後、根元に着陸した。


刺されれば人が死ぬこともある日本産最大のハチ。おっかなびっくり近づいてみる。

 

働きバチは口器を樹皮のすき間に突っ込み、後肢で腹部をこすり合わせながら、盛んに樹液を吸っている。

今頃、土中に作られた巣の中では、女王バチが産卵の真っ最中のはずだ。成長した子供たちの初フライトの日はいつになるのだろうか。

 

 (河北新報社提供 初出 1991.7.24)

 


オオスズメバチ
Vespa mandarina Smith
スズメバチ科

 上述の通り日本産膜翅目昆虫最大の種で、女王バチは体長4cmに達します。攻撃の時の動きはその大きさを感じさせないほどすばやいので、鈍重な「爆撃機」というより、「戦闘機」といったほうがピタリときます。

 樹液によく集まり、シナノキ、ヤブガラシなど蜜源が浅くたくさんの小さな花が咲く花を中心に訪花も観察されます。しかし餌の中心は他の昆虫で、特に餌の量の少なくなる秋口は、他の社会性ハチ類(キイロスズメバチ(青葉山135)やセイヨウミツバチなど)の巣を襲撃します。植物園でもしばしばあの重低音の羽音を聞いて首をすくめることがあります。