シリーズ 青葉山 134  ノアザミ 


 

 

 
虫の飛び回る開けた野原。イガグリ頭のような花が咲いていた。

ノアザミの花は、小さな花がたくさん集まってできている。"イガ"のように見える一本一本が、それぞれ独立した構造を持った花だ。



 

ハナバチの仲間の止まっている花を、虫眼鏡で見る。

 

「小花」と呼ばれる筒状の花。先端には雌しべの柱頭しか見えない。

雄しべは"筒"に隠れ、昆虫の体が柱頭に触れた圧力で花粉が飛び出す。
子孫を残すためには、虫の力が必要なのだ。

右は葉。トゲは表皮が変形したもの。

キク科の多年草。

(河北新報社提供 初出 1991.8.31)

 

ノアザミ
Cirsium japonicum DC.
キク科

現状不明(1958年採集の標本がある)。

日本には60種以上のアザミが分布しており、多くの種は夏から秋にかけて咲きますが、ノアザミだけは春から咲いています。8月末から咲き始めるノハラアザミとよく似ていますが、ノアザミは総苞(そうほう)*がべっとり粘るのに対し、ノハラアザミでは粘りません。
写真に写っているハキリバチの仲間は、マメ科の送粉昆虫としても重要ですが、腹部に集粉毛(集めた花粉を運ぶ毛)があり、キク科の植物でもよく花粉を集めています。

* 総苞:鱗片(りんぺん)状の葉が多数集まって花序を包んでいる部分(赤い頭花の下部、膨らんでいる部分)