シリーズ 青葉山 130  コバギボウシ 


 

 


湿

 
った緩やかな斜面。高さ40cmほどの花茎に、十数個の花を付けたコバギボウシを見つけた。花は下から順序良く咲いていく。

花に顔を寄せて見る。雄しべも雌しべも、極端にそり返っている。理由はすぐ納得できた。

  

トラマルハナバチが花に来た。蜜(みつ)の場所は花のずっと奥。虫は潜り込み、飛び立つ時に雄しべが体に触れ、花粉が付いた。

遺伝子を確実に虫に運んでもらうためには、こんな形の花糸はぜひとも必要なのだ。

ユリ科の多年草。

(河北新報社提供 初出 1991.8.27)

 


コバギボウシ
Hosta albo-marginata (Hooker) Ohwi
ユリ科

メグスリ台などの明るい林床、林縁、草地にふつう。

青葉山では道沿いなどに点々と生育しています。花が大きく目立つ割に、昆虫の訪花を見ることは少ないのですが、確かにトラマルハナバチが重要な花粉媒介者として働いているようです。

花の基本構造はゼンテイカ(青葉山89)によく似ています(雄ずいや雌ずいが上向きに反り返っているところや、花被片が集合(ギボウシは合着)して筒状になっている所など)が、ゼンテイカは花が漏斗状に大きく開いているのに対して、ギボウシの場合は細長い筒状で、特に基部は合着して小管状になっています。花粉を運ぶのは主に前者ではチョウ類、後者ではハナバチ類で、花の形が花粉媒介者に対応している好例といえます。

 → 秋の日のコバギボウシ(青葉山175)