シリーズ 青葉山 131  ヤマジノホトトギス 


 

 

 
のにおいに秋を感じるようになった。
頭上のコナラには、もうドングリがたわわに実をつけている。

足元に咲く花はヤマジノホトトギス。白地に赤紫色の班点がついた、おしゃれな花びらが特徴だ。

寄り添うように直立した花糸の先端には垂れ下がった雄しべ、さらにその上部にあるのが雌しべ。受粉しやすいように、粘着性の物質に覆われている。

 

この仲間は、ハナバチなどによる虫媒花。最初に雄しべが発達し、花粉が昆虫に運ばれた後に雌しべが成長する。"時間差"をつけることによって、自家受粉を避けているのだ。

ユリ科の多年草。和名は山路のホトトギス*。

 

(河北新報社提供 初出 1991.8.28)

 

ヤマジノホトトギス
Tricyrtis affinis Makino
ユリ科

見晴台周辺などの明るい林床にふつう。

* 和名の「ホトトギス」は白地の花被片を染める紫色の模様が鳥のホトトギスの胸の斑紋に似ているところからつけられたとされています。