Tohoku Univ.
東北大学大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻 / 東北大学機械知能・航空工学科
エネルギー物理工学講座 核融合プラズマ計測学分野
飛田研究室

研究紹介

はじめに

核融合の研究が始まってから早50年以上が経とうとしています。高温プラズマを閉じ込めることに成功するまでには想定されていたよりも長い時間がかかってしまいましたが、ITERでの核燃焼プラズマ実験も間近になってきました。ITERでファースト・プラズマが生成されるのは2025年の予定ですが、当研究室ではITER以降の次世代核融合炉の実現に向けて,核融合プラズマ研究の最重要課題である核熱・粒子制御手法の高性能化を目指した研究に取り組んでいます。

研究室の規模としては小さいのですが、国際/国内の多くの研究者の方々の御指導と御協力を得て、プロジェクトや共同研究の連係の輪の中でおおきく羽ばたく若者達のホームグラウンドになればと思っています。

飛田 健次

研究概要

磁場閉じ込め型の核融合炉ではダイバータと呼ばれる機構を備えた配位が標準的な配位とされています。ダイバータ配位による核融合炉では、炉心から漏れ出したプラズマは最終的にダイバータで終端します。核融合反応を利用するために炉心プラズマは1億度を超える高温となっているため、炉心から漏れ出すプラズマによりダイバータが受熱する熱量は数十MW/m2にのぼる可能性があります。このような高熱流を制御するため、ダイバータ板手前でプラズマを中性化し隔離する非接触ダイバータと呼ばれる熱流制御手法が提案されています。非接触ダイバータの形成過程では体積再結合と呼ばれる過程が極めて重要な役割を担うことが分かっています。しかし、ダイバータ領域はプラズマと中性粒子が強く結合するため、体積再結合に加えて多様な原子過程・分子過程が共存しています。これら素過程の理解や定量的な評価は十分とは言えません。当研究室では、ダイバータプラズマ中で進展する複雑な原子分子過程の解明や、それに基づき先進核融合炉ダイバータの開発を推進し、磁場閉じ込め型の核融合炉実現への貢献を目指しています。