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乳がんの新しい治療法とは?

2021.03.24 note

2017年のデータでは, 日本人女性の乳がんの罹患率は9人に1人, 死亡率は59人に1人である[1].

乳がんでは乳房に近い腋窩リンパ節へ最初に転移する頻度が高い.

『リンパ行性薬物送達法』を用いた転移リンパ節の治療では, センチネルリンパ節を含む複数のリンパ節に直接抗がん剤を投与する.抗がん剤を静脈から注射する全身的な化学療法とは異なり,高濃度のごく少量の薬剤を転移初期段階にあるリンパ節に選択的に送達することができる.

そのため,重篤な副作用を誘発することなしに転移性リンパ節をターゲットとした治療が可能である [2, 3].

「がん」が最初に転移するリンパ節をセンチネルリンパ節という.リンパ行性薬剤送達法による乳がんの転移リンパ節治療では,原発巣近傍に確認できるセンチネルリンパ節を含めた複数の腋窩リンパ節に抗がん剤を直接注射する.抗がん剤はリンパ節内に長く貯留するとともに,リンパ管を介して,上流から下流のリンパ節へ送達される.したがって,センチネルリンパ節のみならず,下流のリンパ節に微小な転移があった場合にも,治療効果が期待できる.

参考文献
[1] 国立がん研究センター, 最新がん統計, 2021.
[2] T. Kodama, D. Matsuki, A. Tada, K. Takeda, S. Mori, New concept for the prevention and treatment of metastatic lymph nodes using chemotherapy administered via the lymphatic network, Scientific reports, 6 (2016) 32506.
[3] R. Fukumura, A. Sukhbaatar, R. Mishura, M. Sakamoto, S. Mori, T. Kodama, Study of the physicochemical properties of drugs suitable for administration using a lymphatic drug delivery system, Cancer science, (2021).