シリーズ 青葉山 49  ホソミオツネントンボ 


  

 

れたススキが折り重なる林の縁で、珍しいトンボを見つけた。羽を閉じ、体を硬直させて、じっと止まっている。体の色は薄茶色。周囲に溶け込んで、ほとんど区別がつかない「保護色」だ。暖地性で、東北地方での生息数は少ない。また、トンボの仲間は普通「ヤゴ」で冬越しをするが、これは成虫で越冬する希少種。

積もった落ち葉を分けて、小さな花たちが咲き始めた。樹木の芽吹きも近い。林の色が変わるころ、ホソミオツネントンボの体色も青緑色に変わる。美しい水辺の色だ。

(河北新報社提供 初出 1991.4.6)


ホソミオツネントンボ
Indlestes peregrinus
アオイトトンボ科

体長38mm。成虫で「年を越す」から越年(おつねん)トンボ。最初は「ずいぶん写りの悪い写真だな」と失礼なことを考えてしまいましたが、保護色だと聞いて納得。もともと見えにくいのです。本サイトに掲載する際には、トンボが見やすいように最小限のレタッチを加えています。