シリーズ 青葉山 47  ヤマハンノキ 


 

 

陽が西に傾き、林の中は暗くなったが、南西の斜面にはまだ春の日が当たっている。高さ10mを超すヤマハンノキが生えていた。枝にぶら下がった、房状の雄花が南風に揺れている。長さは10cm近い。枝先をよく見ると、小さな赤い芽が膨らんでいた。雌花の花芽だ。葉が広がる前に雌花が咲き、風に運ばれた花粉で受粉する「風媒花」。日当たりの良い所でないと生育できない「場所を選ぶ」樹木だ。地温も上ってきた。あすはショウジョウバカマの群生地へ行ってみよう。そろそろ花が咲いたころだ。

(河北新報社提供 初出 1991.4.4)


ケヤマハンノキ
Alnus hirsuta Turcz.
カバノキ科

落葉高木。日本中に広く分布し、崩壊斜面や川岸などのかく乱地に多く見られます。このページのタイトルの「ヤマハンノキ」は葉の表面が無毛のものを指しますが、植物園内では自生が確認されていないため、ここでは一般的なケヤマハンノキとしました。