シリーズ 青葉山 45  バッコヤナギ 

 

 

速道路を走る車の騒音が絶え間なく聞こえる高台。一日中、陽光が当たる斜面にバッコヤナギが立っていた。高さは優に5mはありそうだ。

純白の衣をまとった花芽が鱗片(りんぺん)を割って、日ごとに大きく膨らんできた。よく見ると、地上に近い枝のものほど生育が早い。太陽の反射熱が大きく作用しているのだ。

一般にヤナギといえばネコヤナギ*を連想する人が多いが、属だけで90種あまり**。しかも雑種が多い。白い綿毛のような柳絮(りゅうじょ)と呼ばれる種子が風に乗って運ばれる。

(河北新報社提供 初出 1991.4.2) 


バッコヤナギ
Salix bakko Kimura
ヤナギ科

路傍や林縁にふつう。「ヤマネコヤナギ」が標準和名です。

ヤナギは川べりに生えるイメージがありますが、日当たりが良くやや乾燥した場所に生えるものもあり、バッコヤナギは後者の代表種です。崩壊地や林道の法面(のりめん)などに多く、早春、芽鱗(がりん)を脱いだ大きな花穂(かすい)が銀白色に輝き、人目をひきます。

* ネコヤナギは川沿いに生えるヤナギの代表的な種類です。
** ヤナギ属の中だけでも約90の種(しゅ)があるということですが、数え方はいろいろです。ヤナギ科は1種の例外を除き雌雄異株の木本のグループで、4属400種ほどに分類するのが一般的です。種間雑種がたいへん多く、分類は困難を極めます。種子は小さく、その基部にある白い束毛(そくもう)に包まれて綿のように飛び散るのが
柳絮(りゅうじょ)です。4月〜6月の天気の良い日、川沿いにでかけると柳絮が飛んでいるところに出会います。種子はすぐに発芽し(寿命は短く1週間ほど)、旺盛な成長を示します。
 
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