シリーズ 青葉山 44  ルリタテハ 

 
沿いを歩いていると、足元から一匹のチョウが飛び去った。
物陰に隠れて、しばらく観察する。

戻ってきた*。ルリタテハだ。羽をゆっくり広げ、陽光を受ける面積を多くして、冷たかった体を暖めている。体温は、もう20度を超えただろう。

 

昨年夏の終りに羽化し、成虫で越冬した。枯れ葉の間や、めくれた樹皮などが「冬の宿」。4月になり、気温も上ってきた。照り返しの強い場所や暖かな雑木林で、彼らの活動が始まる。

 

羽を広げるのは、なわばり宣言の意味もある。

(河北新報社提供 初出 1991.4.1) 


ルリタテハ
Kaniska canace
タテハチョウ科

* 翅(し)開張約4cm。記事にもあるように、昆虫少年にとってはつかまえやすいチョウでした。逃げても、なぜか同じ所に戻ってくるからです。