シリーズ 青葉山 46  アサダ 

きく西に傾いた太陽に照らされて、尾根筋に立つアサダの白っぽい樹皮も黄金色に染まっていく。
枝先を注視すると、他の芽に比べて極端に大きな芽を見つけた。鱗片(りんぺん)の表面が粘液質の成分に覆われている。芽を割ってみる。中には小さな幼虫が入っていた。

 

 

「虫コブ」だ。晩秋、冬芽に産みつけられたハチの仲間の卵が成長し、細胞が異常分裂を起こし始めているようだ。根元ではナナホシテントウが緩慢な動きで落ち葉の下に潜り込んだ。

(河北新報社提供 初出 1991.4.3)


アサダ
Ostrya japonica Sargent
カバノキ科
落葉高木。残月亭跡付近などのモミ−イヌブナ林にややふつう