シリーズ 青葉山 200  ナンブアザミ 


 
 

 
ョウブのまだら模様の滑らかな肌、クヌギの深々と切れ込んだ肌、そしてモミの風格のある肌。陽光を斜めに受けた木々の肌触りを、手のひらで確かめながら歩く。

ナンブアザミの冠毛が、純白に輝いて浮かび上がった。夏から秋にかけて、チョウやハナバチなど多くの昆虫が白い花粉にまみれながら、必死に吸蜜(みつ)していたのを思い出す。その花もすっかりうなだれ*、枯れ落ちるばかり。

いつの間にか、粉雪が舞い始めた。裸になった木々をすり抜け、林床は白いベールを重ねていく。

キク科の多年草。

(河北新報社提供 初出 1991.12.13)

ナンブアザミ
Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino
キク科
林縁や路傍、草地にふつう。

園内では特にロックガーデン周辺で観察しやすい植物です。トラマルハナバチを中心とするマルハナバチ類や様々なチョウが訪花して吸蜜するのを観察できます。

* ナンブアザミの花は下または横向きにうなだれたように咲きます。 → ナンブアザミの花