シリーズ 青葉山 86  トラマルハナバチ 


 

 
春、植物たちが冬の眠りから覚め、山全体が動き出してから、もう3カ月余りがたった。

 
5月も今日で終わり。紅色の花をいっぱいにつけたタニウツギ(スイカズラ科)が深緑に彩りを添えている。
 


 
ブーンという羽音。トラマルハナバチだ。花冠の先端に足をかけ、長い口器を舌のように伸ばして甘い蜜(みつ)を吸っている。花から花へ、昆虫たちの舞は続く。

ミツバチ科。体長約2cm。

(河北新報社提供 初出 1991.5.31)


トラマルハナバチ
Bombus diversus Smith
ミツバチ科

マルハナバチ類は一般に大型で体全体が長毛に覆われているため、良く目につきます。世界的に重要な花粉の媒介昆虫として認められています。

植物園には4種のマルハナバチ(トラマルハナバチ、コマルハナバチ、オオマルハナバチ、クロマルハナバチ)が生育しています。トラマルハナバチはこの中で最も長舌の種で、蜜源の深い花を好んで訪花します。創始女王の出現は4種の中で最も遅く、仙台付近では5月頃になります。タニウツギの開花期はちょうどトラマルハナバチの創始女王の活動期に合致しており、コマルハナバチの働きバチに混じっての訪花が観察されます。