シリーズ 青葉山 201  ホンドタヌキ 


 
 

 
えざえとした月が、裸になった木々を照らす夜の森。落ち葉を踏んで、ホンドタヌキが姿を見せた。

この冬、青葉山一帯のタヌキの生息数が減るという"異変"が起きている。ペットのつもりでエサを与えたことによる急激な増加が自然淘汰(とうた)へとつながったのか。専門家の関心を呼んでいる*。イヌ科。

朝を迎えた森で落ち葉を拾う。痛んだ葉には四季の色が込められていた。

春のもえぎ色、夏の深緑。そして鮮烈な秋の紅葉。豊かな森は、再び眠りの季節に入った。

(河北新報社提供 初出 1991.12.14)

ホンドタヌキ
Nyctereutes procyonoides
イヌ科

タヌキは雑食性で高い繁殖力を持つため、人里近くの雑木林から都市部へ生息域を広げています。ところが10年ほど前から、特に都市周辺のタヌキにヒゼンダニによるカイセン症やジステンバーにかかって死んだ個体がたくさん見られるようになりました。

* 仙台市周辺に住むタヌキにも1990年にカイセン症が大流行し、生息数が減少しています。