シリーズ 青葉山 198  オケラ 


 
 

 
い山々を覆う厚い雪雲。強い北西の風に乗って、里にも雪が飛んできた。カラフルだった落葉広葉樹林も日ごとに色を失い、無彩色の世界が広がってきた。

足下の"ドライフラワー"はオケラ。こっけいな名の植物だが、若芽は食用に*、根は漢方薬にと昔から人との"つき合い"は長い。

 

白っぽく見えるのは、白や紅色の花を落とした跡の冠毛が付いた種子。周囲には、魚の骨の形をした総苞(ほう)が、保護するように取り巻いている**。

日当たりの良い山地の乾いたところに生えるキク科の多年草。
高さ30-60 cm。
(河北新報社提供 初出 1991.12.11)

オケラ
Atractylodes japonica Koidz. ex Kitam.
キク科
園内での現状は不明(1961年採集の標本がある)。

園内では現在見ることができませんが、背後に広がる青葉山ではコナラ林やアカマツ林の林内・林縁に自生しています。

* 「山でうまいはオケラにトトキ」とも言われてきました。

** オケラを探すときの特徴になります。

オケラの果実にはオケラミバエが寄生します。このオケラミバエは原記載が行われた後全く見つかっていませんでした。研究の必要上から各地で捜索が行われ、最近になって宮城県や長野県内で実に56年ぶりに発見されました。それでも全国3カ所でしか記録されていない「稀種」ですが、オケラの分布を考えるともっと広く分布していても良さそうに思われます。頭花が熟しかけた時期のオケラに出会ったら、頭花を割ってみて下さい。中に茶色の楕円形の蛹(さなぎ)が入っていたら、オケラミバエの可能性があります。