シリーズ 青葉山 133  ツリガネニンジン 


 

 


 
紫色の釣り鐘型の花が風に揺れている。大きさは約1cm。耳を澄ませば初秋のメロディーが聞こえてきそうな、さわやかな朝だ。

 
開花寸前の花から垂れ下がっているのは、雌しべの花柱。最初、くっついていた雄しべと雌しべは、つぼみが膨らむにつれて花柱が伸長する。

 
その際、ブラシ状の花柱が雄しべの葯(やく)に触れ、花粉をつけて花の外に顔を出す。


吸蜜(きゅうみつ)にきた昆虫に花粉が運ばれてしまった後、ようやく花柱の先端部が割れて受粉可能になる。自家花粉を避けるためとはいえ、受粉のメカニズムは面白い。

キキョウ科の多年草。若芽はトトキの名で知られる食用種*。

(河北新報社提供 初出 1991.8.30)

 

ツリガネニンジン
Adenophora triphylla (Thunb. ex Murray) A.DC.
var. japonica
(Regel) Hara
キキョウ科

草地にまれ。工学部ポンプ室付近にやや多数生える。

上の写真の花はまだ開花し始めたばかりのもので、完全に開くと花弁の先は外側に反り返ります。釣り鐘状の花を持ち、太い根茎がチョウセンニンジンに似ているところから名付けられました。

* 「山でうまいはオケラにトトキ」と言われ、若芽はおひたしやてんぷらなどにされます。