シリーズ 青葉山 178  ハウチワカエデ 


 

 

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月下旬、長い冬の眠りから覚めた混芽が開き、花と若葉がほとんど同時に顔を見せてくれた。


  

6月半ば、大きく広げた葉の先には、昆虫たちの働きによって実ったプロペラのような果実*が、初夏の日差しに透き通って見えたっけ。

 

 

風が枝を揺する。

日が当たると血が通い始めたように見える鮮烈な紅葉が舞う。下向き*についた薄茶色の果実は、くるくると回転しながら旅立っていった。

カエデ科の落葉高木。

(河北新報社提供 初出 1991.11.15)

ハウチワカエデ
Acer japoncum Thunb. ex Murray
カエデ科

最上台などの明るい林内にふつう。

* 「下向き」とありますが、写真のようにハウチワカエデは上向きに果実をつけます。そのため、葉が完全に展開した後は下から見上げても結実状況が観察しにくくなります。

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