シリーズ 青葉山 179 ヤスマツトビナナフシ
々しく動く虫がいた。ヤマツツジの枝にぶら下がるようにして歩いている。
自分の体を、木の枝などに似せる「擬態」が発達した、面白い虫だ。
もともとは、熱帯から亜熱帯にかけての種。寒さに強かろうはずがない。
子孫を増やす役目を終えた虫は死に、卵で越冬する。
コナラやクヌギ、ブナなどの葉が"食糧"だ。落葉広葉樹林が彼らのフィールドとなる。
分布状況も正確にわからないほど、数が少ないヤスマツトビナナフシ。森の伐採で、ますますその数を減らしているかもしれない。
日本ではヤスマツトビナナフシが属するMicadina属には3種が知られていますが、互いによく似ておりしかもしばしば混生するので分類が困難です。分布は大まかに、ニホントビナナフシが西日本よりの沿海地から低山帯、ヤスマツトビナナフシが本州北部から九州までの低山帯から山地帯、シラキトビナナフシが本州、四国のブナ帯、とされています。ナナフシ類には単為生殖を行う種が多く分類自体の混乱も指摘されており、今後の詳しい研究が待たれます。