シリーズ 青葉山 177  サルトリイバラ 


 

 

 
たい北西の季節風も当たらない南斜面。見上げると、鮮やかなマンサクの黄色い葉が1枚また1枚と落ちてくる。

 
マンサクの幼木を"よじ登って"いたのはサルトリイバラ。

ふつう、枝先に10個ほどの実をたわわにつけるのに、なぜか1個だけがしがみついている。

林床を探しても実は見つからない。
 

 

足元では越冬を控えルリタテハの雌が日光浴。来春、サルトリイバラの若葉に産卵後、その一生を終える*。

ユリ科のつる性落葉低木**。

(河北新報社提供 初出 1991.11.14)

サルトリイバラ
Smilax china L.
ユリ科
望洋台などの林縁にふつう。

すべすべした葉は餅やだんごを包むのに使われてきました。赤く熟した実は甘くて食べことができます。訪花昆虫はハナアブやハエ、小型のハナバチが想像されます。

* ルリタテハの幼虫は他にもホトトギス類や、ユリ、タケシマランなどを食草にすることが知られていますが特にサルトリイバラが主要な食草になっているようです。これはルリタテハの近縁属がクワ科、ニレ科、イラクサ科、ヤナギ科などを食草にしているのと対照的で、タテハチョウ科の中では他に例がありません。

** つる性の落葉「低木」ではなく、落葉性のつる植物です。また、従来のユリ科は近年の系統進化学的研究からきわめて多様な植物群を含んでいることが明らかになっており分類体系の見直しが進んでいて、本種の仲間をサルトリイバラ科としてユリ科から独立させる考えもあります。