シリーズ 青葉山 176  ホンドアカネズミ 


 

 

 
もない夜の森。時計の針が午前零時を回った。気温も時間の経過とともに下がってきた。

 

耳を澄ましてみる。静寂な深夜の森に聞こえてくるかすかな音。夜行性の生き物たちの息遣いだ。

 

動物たちを驚かさない"特殊なライト"に浮かび上がったのはホンドアカネズミ。耳を立て、後ろ足で立ち上がり、天敵を警戒しながら林床を歩き回っている。やがてやってくる寒くて長い冬に備え、ドングリなどを巣穴に蓄えるのに大忙しだ。

ネズミ科。山地性で、体長約12cm。

(河北新報社提供 初出 1991.11.13)

ホンドアカネズミ
Apodemus speciosus speciosus
ネズミ科
園内では林縁部から草地にかけて分布しています。

本州・四国・九州の平地から山地の草原・河原の薮・開けた森林に生息しています。本州では最も優勢な野ネズミですが、普段野外で出会うのは非常に難しいと思います。種子と昆虫を主な餌にしていて、特にどんぐりを好み地中に埋めて貯蔵する性質があります。そのためにどんぐりの散布者としての役割も担っており、森林の更新に関わりを持っていると考えられています。

日本固有種で、北海道のもの(とおそらく周辺の島嶼産のもの)は別亜種とされています。本州産の個体は浜松−黒部のラインを境に、東日本のものは染色体数が2n=48、西日本のものは2n=46と異なった染色体数を持っています。

 → 植物園付近で見られる動物たち (生息情報)