シリーズ 青葉山 160  リンドウ 


 

 

 
わやかな秋晴れの朝、枯れ草の中を細長い茎をはわせ、二つ三つと花をつけたリンドウに出合った。

 

青空を映したような薄紫色の花は、雨や曇りの日は開かない。



色づき始めた落葉広葉樹の下では、一足先に花期を終えた同じ仲間のツルリンドウが、赤紫色の実をつけていた。
葉の上で休んでいるのは羽が極端に短いフキバッタ。 

他のバッタのように飛ぶことはできない*。
 
(河北新報社提供 初出 1991.10.23)

リンドウ
Gentiana scabra Bunge var. buergeri (Miq.) Maxim
リンドウ科
園内では自生は確認されていません。

本州〜奄美に生育しますが仙台周辺では見る機会が少ない植物です。花粉を運ぶのはマルハナバチとされていて園内ロックガーデンのエゾリンドウには確かにトラマルハナバチの訪花が見られますが、リンドウは花期が非常に遅く実際にマルハナバチが訪花しているかどうかは疑問です。

リンドウは薬草として有名です。薬効は古くから知られていて、古代ローマの書物や出雲風土記にも登場し、苦味健胃薬、消炎解毒薬として使用されてきました。また最近では観賞用としても栽培が盛んになっています。

* バッタの仲間は後ろ足が跳躍用に発達している代わりに、飛ぶことは一般に下手です。トノサマバッタの群生型(飛蝗;ひこう)のように数十km飛べるものもありますが、たいていのものでは数mしか飛べないようです。地上で生活し、飛ぶことにあまりメリットがなかったためでしょうか。

 ツルリンドウの実の写真はこちらにもあります。