シリーズ 青葉山 159  イカリモンガ 


 

 

 
レンジ色の影が、力なげに低く飛んできた。鈴なりに実を付けたコムラサキの枝の間に、ヒラヒラと滑り込み、"羽を立てて"止まった。

今年最後に発生したベニシジミだろうか?

 

いや、近づいてよく見ると、羽は立てて休んではいるがチョウではない。
イカリモンガだ。昼間活動し、錨(いかり)のような紋が"トレードマーク"のガの仲間だ。

年二回、5月と8月に発生。8月に羽化した仲間は、落ち葉の下や朽ち木の中の「冬の宿」で越冬し、翌春再び活動を始める。

イカリモンガ科。翅開張35mm。

(河北新報社提供 初出 1991.10.22)

イカリモンガ
Pterodecta felderi Bremer
イカリモンガ科

一般の方がチョウと間違えて取ってくるガの中では1、2を争う存在です。昼間活動し、細い体と細い触角、立てて畳まれた翅、鮮やかなオレンジ色の斑紋、どれをとっても「ガ」と呼ばれる昆虫とは一線を画しています。訪花性も強く、園内でも入り口付近の林縁のセリ科植物やアザミ類によく訪花しているのを見かけます。仙台周辺では夏以降の発生が目立ちます。食草はイノデ類で、この辺ではイワシロイノデやジュウモンジシダが食草になっているのではないかと思われます。