仙台周辺ではそれほど珍しい植物ではありません。国内の「半寄生植物」の研究例は非常に少なく、寄生の実態についてはよくわかっていませんが、ゴマノハグサ科やヤドリギ科の半寄生植物は、一般に寄主から水分と無機養分だけを搾取していて、光合成産物まで取っているものはそれほど多くないようです。
コシオガマのような「半寄生性」は草原的な環境下で、水分や無機養分をめぐる地下部の競争の結果進化してきた形質の一つだと思われます。ゴマノハグサ科では、このような進化を遂げたものは非常に限られていて、半寄生性の成立はおそらく1回だけであったと考えられています。ただしこの半寄生性のグループの中から、何度も全寄生性のグループが進化していることがわかっており、現在は一般に別の科にされるハマウツボ科(ナンバンギセル(青葉山146)などの仲間)も、このゴマノハグサ科の半寄生性のグループの中から進化してきた一群であることがわかってきています。つまり全寄生性のハマウツボ科は、ゴマノハグサ科の中に完全に含められてしまうということになり、ハマウツボ科という名前を、図鑑から見なくなる日も遠くないかもしれません。