シリーズ 青葉山 123  ヒグラシ 


 

 

し暑い夜の森。神秘的なヒグラシの羽化に出合った。

午後7時25分。
土中からはい出した幼虫が、
タニウツギの幹をらせん状に上り始めた。
羽化場所の葉の裏で背中が割れ始めたのは2時間後。

午後10時5分。体全体の4分の3ほどが出てきた。
それまで殻をつかんでいた後肢を前肢と中肢に持ち替えると、ようやく体全体が姿を現した。
 

 

完全に伸びきった羽が、ランタンの光に浮かび上がったのは午後10時半。

静寂の森で展開された羽化のシーンは、感動的だった。

(河北新報社提供 初出 1991.8.14)

 


ヒグラシ
Tanna japonensis Distant
セミ

羽抜け殻はよく葉の裏や木の幹についており、植物園でも随所で見かけます。

セミは成長過程で生活圏が地上(ふ化)→地中(幼虫)→地上(成虫)と大きく変わるために、体の形態にも大きな変化が見られます。上の写真でもわかるように、幼虫は土を掘るため太く丈夫な前足を持っています。また、地中生活しかしない2-4齢の幼虫は眼が退化しています。

→ ヒグラシ(青葉山113)