シリーズ 青葉山 113  ヒグラシ 


 

 

 
ナカナカナ。おなじみの声が蒸し暑かった一日を忘れさせてくれるかのように"涼感"を運んでくる。


       

セミの生態については神秘的で未知の部分がまだ多い。

 

「日暮らし」。日中の明るさと高温が苦手なこの種は、もともとは山地性のセミ。 六、七年もの土中生活、夜間の羽化。そしてわずか二週間余りの樹上生活の間、しゃく熱のラブコールの果てに子孫を残して死んでいく。
名前の由来になったように朝夕の涼しい時間帯に鳴くため、この声を聞くと条件反射のように涼しげに感じるから不思議だ*。

セミ科。雄の体長は約3.5cm。雌は一回り小さい。

 

 (河北新報社提供 初出 1991.8.1)

 

ヒグラシ
Tanna japonensis Distant
セミ科

* 薄暗い林内では事情が異なるようです。仙台ではここのところずっとどんよりと曇った日が続いており、植物園の森からは、一日中ヒグラシの声が聞こえています。(1998年8月4日記)